2011年4月16日:パート3

 3月31日の参院総務委員会(議題:NHK予算)に参考人として出席したNHKの松本正之新会長が、質疑の前に、NHKの23年度予算、事業計画及び資金計画について説明した。 その中で、こう述べた。 「組織の改革やコンプライアンスの徹底に全力で取り組み、視聴者の皆様からの信頼を高めるとともに、構造改革を推し進め、効率的な業務運営を行ってまいります。」 新会長には、ぜひ、この初心を忘れず、NHK改革にリーダーシップを振るっていただきたいと思う。

 さて、「NHK新会長に質したコンプライアンス問題:その2」を書く。 松本会長の上記の説明を踏まえた質問の冒頭で、公共放送としてのNHKの重要性を強調すると同時に、松本会長を激励した。 そこから、厳しいトーンに切り替えた。

山本:「今回のこのNHK予算の審議については、私たち自民党の中でかなり厳しい意見がありました。それは、昨年十月のNHK記者による捜索情報漏えい事件、そして、それに続くNHK会長人事をめぐるこの経営委員会の混乱、さらには、年明けからNHK職員の不祥事が相次いで逮捕が続出すると。こういう異常な状況を受けて、やはりNHK問題というものをきちっと議論をしないうちにこの予算を通していいのかと。いっそのことこれは暫定予算を組んでいただいて、NHK問題をきっちり議論をしてもらった方がいいんじゃないかと、そういう意見が総務部会でも相次ぎました。結局、落ち着いたところでNHKの問題についてはしっかり集中的な議論をやると、こういうことを自民党として強く申し入れていくという、そういう条件の下で総務部会でこれが認められて、私たちは今日この審議に臨んでいます。」

 ひと息ついて、続けた。 「私は、民主党の理事の方々にもこのNHK問題をしっかりやらなきゃいけないということについては同じ意識を共有していただいていると思っておりますが、まず、会長、この厳しい見方についてどのように受け止めておられるか、お聞きしたいと思います。」

 松本会長は、落ち着いた様子で、「NHKの公共的な役割、使命の重要性を実感している。NHKにとって最も大切にすべき価値観は、視聴者あるいは国民の皆様からの信頼だ」と述べた後、こう続けた。

松本:「その信頼の要素というのは、一つは、やはりNHKが送り出す放送、報道、番組、これが質の高い公正なものであると、こういうことが必要であるというふうに思います。また二つには、それを実際に携わる人、これはNHKの職員、組織を指しますけれども、この主体がやはり、今のお話にありますように、信頼される主体でなければならない、その主なるものはやっぱりコンプライアンスということでもあるというふうに思います。また、組織全体として、やっぱり効率の最適化というものも求めていくという必要があると思います。」

  この松本会長の答弁を受けて、コンプライアンス問題にストレートに切り込んだ。 質問の全文を、そのまま掲載する。

山本:「私、去年十一月二十六日の総務委員会で、このNHK記者による捜索情報漏えい問題、これを取り上げました。そのちょっと資料を見ているんですが、私は、これは報道倫理の上からも公共放送としてはあってはならないことだと。これ、記者本人が停職三か月、停職期間中は無給という処分で、トップを始めとする幹部の方々も減給処分になったと。今御出席の今井環理事が一か月減給三〇%、吉国理事も一か月減給二〇%という処分ですが、私は、この処分は過去の事例に比べて軽いんではないかと、これで本当にコンプライアンスを徹底するという覚悟を示せるのかという意味の御質問をしたんですけれども、吉国理事の方からは、いや、これはもうトカゲのしっぽ切りではなくて、全体で責任を取っていると、これはNHKとして重く受け止めているんだというお話がありました。放送副総局長もお務めの今井環理事に対しては、やはりこの報道の責任というのは非常に重いと、二度とこういうことがないようにきちっとやってくださいと申し上げたら、今井理事から、いや、これは二度とこういうことがないように、記者教育、研修の在り方、再構築をして取り組みたいというお答えをいただいたんですね。」 前日に作ったメモを見ながら、さらに言葉を続けた。

山本:「私もよっぽどのことがなければ言いませんが、年明けからそのコンプライアンスを一生懸命やっているNHKで、まず元旦に首都圏放送センターの職員が車上荒らしで逮捕されました。一月三日に松江放送局のディレクターがのぞきまがいの行為で逮捕されました。一月四日、これは委託スタッフかもしれませんが、受信料契約担当の委託スタッフが飲酒運転で玉突き事故を起こしました。二月に入っても、二月十七日、名古屋放送局の技術幹部職員が静岡局でオシロスコープを盗んで逮捕されました。二月二十一日に大津放送局の男性ディレクターがビデオリサーチのデータを不正投稿して諭旨免職になりました。同じ日に札幌放送局の千歳報道室の男性記者が無免許運転で懲戒免職になりました。そして、二月二十八日の金沢放送局の委託カメラマンの事件は、会長おっしゃったように、これはNHKの職員じゃありませんからNHKの責任ではないと思いますが、長い間NHKの委託カメラマンということでNHKの信用を使っていろんなことをやっていたということを考えれば、それは簡単に済ませられない。これは異常事態ですよ。今まで、過去の不祥事調べましたけれども、こんなにNHKの不祥事が続いたことはありません。」 コンプライアンス担当の吉国理事のほうに顔を向けて、こう結んだ。 「これは吉国理事、どんなコンプライアンスをされていたんでしょうか?」

 あ、そろそろ次の日程に向かわないと。 「NHK新会長に質したコンプライアンス問題:その3」に続く。


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