2011年4月4日:パート2

 たった今、柴山昌彦衆院議員から電話があった。 柴山氏も、「大連立」には慎重だった。 自分の考えは、しっかり伝わっていた。 直滑降ブログ、ちゃんと読んでくれているんだ、な!(ニッコリ)

 午後2時からの政策審議会長記者会見で、連立問題についてコメントした。 集まった記者は16人。 誤解のないように、発言の内容を(少し補足も加えて)記しておく。

1.小坂幹事長が、土曜日のTBS番組で、「時限的な連立はあるだろう」と発言した。 連立にかなり前向きな(前のめりの)言葉だと思う。 小坂幹事長は、個人的には尊敬出来る政治家。 が、しかし、この問題に関しては、政審会長である私と意見が違う。 したがって、この幹事長の発言は、参院自民党の総意ではない。 実際、世耕弘成幹事長代理、脇雅史国会対策委員長も、自分の考え方に近いと思う。 いずれにせよ、ここのところ党内で出ている「大連立をなし崩し的に進めよう」みたいな動きには、懸念を抱かざる得ない。

2.民主党との連立に関しては、谷垣総裁が助言をもらうために行脚している総理大臣経験者との会談で、容認する発言が相次いでいると報道されている。 が、必ずしも、全員が前のめりではない。 森元総理が連立を進めようとしているのは明らかだとしても、安倍元総理は、極めて慎重だ。 電話でも直接、話をしたが、「仮に民主党が連立を組みたいというのなら、谷垣総裁が首相をやるのが筋。しかも期限を切ってやる必要がある!」という見解だった。 麻生元総理は(報道によると)「政策協議のない連立はダメだ」(さすが正論!)と明言しているし、福田元総理も慎重に言葉を選んでいる。 党の幹部が、「こぞって連立に傾いている」という見方は、ちょっと違うと感じている。

3.山本一太の意見をひとことで言うと、「菅総理がトップに座ったままの、まともな政策協議も、期限の取り決めもない『なし崩し的な大連立』には反対!」ということだ。 そんな中途半端な連立は、かえって政府の危機対応を混乱させ、問題解決(=国民の利益)に繋がらない。

4.連立は1つの選択肢だ。 が、連立する目的は、現在の危機的状況に対する政府の対応能力を向上させるということに尽きる。 要は、与野党が叡智を結集して、問題に取り組める(=政府の実行力が上がる)態勢を作れるかどうかだ。 何でもかんでも連立すれば、政府の対応能力が向上するというものではない。 連立をやった場合と閣外協力を続けた場合のメリットとデメリットをよく検証し、慎重に検討すべきだ。 だいいち、自民党は、今、政府への様々な政策提言、情報提供、国会での対応等、閣外から最大限の協力を行っている。 連立すると、これがどう変わるのか? 連立するかどうかの判断の前に、その点をしっかり分析する必要がある。

5.大連立をやれば、巨大な与党が誕生する。 国会で与党に対抗する勢力がなくなるということは、どんな法案も政策も簡単に成立するということだ。 国会審議は形骸化し、政府与党の対応を国会でチェックする機能は、実質的に消滅する。 「野党として政府との一定の距離を保ちつつ、政府の正しい政策には全面協力し、正当に評価する。それと同時に、政府与党が誤った政策を打ち出したり、必要な情報公開を怠ったような時には、間違いを指摘し、情報公開を求め、政府の政策全体をより適切な方向に修正していく。」 こちらのほうが、最大野党としての正しい姿かもしれない。 むしろ、そのほうが、政府の問題解決能力を高める可能性もある。

 たとえば、国会の審議(予算委員会の質疑等)を通じて、「今の政府の原発事故への対策は、本当に適切なのか?」「原発の状況や放射能に関する情報公開は、的確に行われているのか?」「原発事故に対する政府の初動に問題はなかったのか?」「米国を始めとする諸外国からの援助、特に原発問題に関するサポートを、もっと迅速に受け入れることは出来なかったのか?」「(これは自民党にも責任があるが)東京電力の体制、経産省・保安院・東電の関係は適切だったのか?原発の危機管理に構造的な問題があったのではないか?」といったことを明らかにすることが出来なくなる。 臭いものにふたをして、問題点の検証をやらなかったら、次に起こるかもしれない大災害に対応出来なくなってしまう。

6.菅内閣の支持率が30%前後まで回復したというが、この数字は極めて低い。 未曾有の大災害という国家の危機に直面して、国民は政府に頼るしかない状況だ。 しかも、野党は政府批判を控え、協力姿勢を取っている。 他の国で同じことがあったら、支持率は7、8割になってもおかしくない。 (以前のブログでも触れたが)民主党政権は、この数字を深刻に受け止めてもらいたい。

7.民主党との連立の問題は、自民党の命運というより、この国の政治のあり方(=国難にどう対応すべきか?)を決める重要な話だ。 執行部会や役員会(ひと握りの幹部)で簡単に決定するようなことがあってはならないと思う。 今回の震災については、自民党議員全員が、それぞれの持ち場で頑張っている。 総理経験者の見解も重要だが、平場の全体会議をやって、出来るだけ多くの議員の意見(賛成も反対もあると思うが)を聞くべきだ。 谷垣総裁は、必ずそうしてくれると信じている。 少なくとも、参院自民党では、オープンな議員総会をやることになるだろう。 さっそく、中曽根議員会長にお願いしたいと思う。

 いずれにせよ、連立をやるかどうかは、党内の丁寧なプロセスを経て、決めるべきだ。 現在、行われている地方統一選挙の結果も見極めた上で、少し精緻な議論をやったほうがいい!

8.最後に言っておきたいこと。 それは、民主党との「なし崩し的な連立」は、前回の衆院選挙で落選し、捲土重来を期して頑張っている自民党の候補者(小選挙区支部長)たちを、見捨てることに繋がりかねないということだ。 国会に戻って来てもらいたい優秀な人材も多い。 民主党候補者に「実現不可能なマニフェスト」を掲げられ、選挙に負けた彼らには、もう一度、フェアの状況の下で、国民の審判を仰ぐ権利がある。

 あ、そろそろ夕食を食べる時間だ。 その後は、何人かの「恐るべき情報通」に会う。


直滑降レポートを応援していただける方は、blogランキングへ

山本一太オリジナル曲「マルガリータ」「素顔のエンジェル」無料配信中!