2010年10月17日

 先週金曜日の自民党総務部会で、「NHK記者が取材先に不適切な情報を提供した」問題が取り上げられた。 この不祥事について、NHKの広報担当理事、総合リスク管理室長等から説明を聴いた。  

 この事件は、名古屋場所開催前の大相撲野球賭博をめぐる取材の過程で、報道局スポーツ部の30代の記者が、取材先であった日本相撲協会の関係者(時津風親方)に「捜査情報と受け取られかねない情報」を携帯メールで送っていたというものだ。 

 本人から事情を聴いたというNHK側の説明によると、この記者は「大相撲の野球賭博をめぐるNHK内部の取材情報ではなく、日頃から付き合いのある他社から聞いた話だった。相手の反応をとって、その後の取材に活かそうと思った」と話しているとのことだった。 

 こんない言い訳は、とても通らない!(怒) 捜査に関わる情報を、その対象者に伝えるなどということは、報道関係者として「あってはならないこと」だ。 NHKには、事実関係を詳細に調べた上で、厳しく対処してもらいたい。

 総合リスク管理室長(だったと思う)は、「いろいろと調査をした結果、現時点では、この情報がNHK内部から出たものではないと判断している」という意味のことを言った。 え? 現時点では?! 仮にこの情報がNHK内部からのものだったら、大問題になる。 そこらへんは、きちっと調べて、納得のいく説明をして欲しいと思う。

 NHKでは、全国の報道現場で、毎月、コンプライアンスや報道倫理についての研修を行って来たらしい。 総合リスク管理室長は、「研修の趣旨が徹底されていなかったのは、残念。全ての現場で緊急の職場討議をやり、再発防止の取り組みを徹底させたい」と肩を落としていた。

 出席していた議員たちからは、厳しい意見が続出した。 柴山昌彦衆院議員は、「NHKは本当にコンプライアンスというものが分かっているのか!これが氷山の一角だとしたら、組織全体に問題があるのではないか!」と指摘。 柴山氏に続いて、自分も次のように苦言を呈した。 

 「NHKの影響力は、いつになく増している。それだけ、社会的な責任も大きい。そのことを、ぜひ、自覚してもらいたい。これがNHKの内部情報でないことは、ちゃんと確認して欲しい。最も責任が重いのは、記者を教育する報道局だ。この問題は、参院の政策審議会でも、取り上げたい。必要があれば、参院の委員会でも説明を求めていくつもりだ。」

追伸:総務部会でNHK側から配られた2ページの簡単な資料「大相撲取材でのコンプライアンスに関わる不適切な事案について」の一部を掲載しておく。

○スポーツ部の記者が時津風親方に送ったメール

「明日、賭博関連で数カ所に警察の捜査が入るようです。親方の部屋も名前が上がっています。既に知っていたらすいません。また、ガセ情報だったらすいません。あと他言無用で願います。NHKから聞いた、とバレたら大変な問題ですので。」

○これまでの経緯

7月6日(火) 福地会長が会見。「大相撲名古屋場所の中継を中止」
7月7日(水) 午前0時頃、記者が親方にメールを送信。
10月6日(水) 取材活動の中で、メールの件を把握。報道局が本人に事実関係を確認後、総合リスク管理室に連絡。
10月7日(木) 総合リスク管理室が記者から一度目の聴取。NHKが内部調査の概要を警視庁に説明。
10月8日(金) 記者の業務用携帯電話のメールを調査。総合リスク管理室がスポーツ部の上司から聴取。記者が警視庁に出向き経緯を説明。報道局長、スポーツ担当編集主幹が報道発表。総合リスク管理室が記者から2度目の聴取。


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