2010年3月6日:パート6

 ハワイ選出のダニエル・イノウエ上院議員に会うのは、3回目。 あのマンスフィールド元米国駐日大使が院内総務だった頃から、議員を務めている。 在職年数は、上院でも3番目の長さだと聞いた。 現在は、上院歳出委員長という影響力のあるポストにいる。 政治家としての力量は言うまでもないが、とにかく「人柄」が素晴らしい。

 知日派のイノウエ上院議員は、(キャンベル国務次官補と同様に)民主党政権自体には、好意的な見方をしていた。 「米国ではオバマ政権が生まれ、日本でも政権交代が起こった。(新しくスタートしたのだから)最初は、多少の問題もある。が、我々は、日米のちっちゃな亀裂が大きな問題に発展しないように努力しなければならない!」と話していた。

 とりわけ普天間基地の移設問題に関しては、「米国は(上から目線で)日本に解決を命じるような傲慢なことをやってはならない!」という意味のことを力説していた。

 ただし、イノウエ議員も(鳩山総理が何度も明言している)「普天間基地問題の5月末までの決着」を強く期待していた。 「万一、鳩山総理が普天間問題の決着を5月以降、又は7月の参院選挙後まで先延ばしにしたら、どうなるか?」という質問に対して、「We can not be patient forever!!」(我々の忍耐も永遠には続かない!)と答えた。

 「そうなると、議会の予算は難しくなる。(日本の立場を理解する)私も、歳出委員長として、同僚議員にも、国務長官にも、大統領にも、説明が出来なくなってしまう!」と警鐘を鳴らしていた。

 こんな質問もぶつけてみた。 「この問題で日米関係が悪化していくと、米国は米軍の沖縄駐留自体を見直す方向に進むのではないか?かつてのフィリピンのスービック基地のように、米軍が出ていく(=日本の抑止力が維持出来なくなる)という事態に陥る心配はないのか?」

 ダニエル議員は、ニヤリと笑って言った。 「日本とフィリピンは違う!」と。 その上で、とても気になる言葉を発した。 「しかし、スービック基地のことは、記憶にとどめておくべきだ。もし、日本が米軍駐留を本当に望まないということになれば、米軍は日本から出ていくだろう!」 知日派の実力者であるダニエル・イノウエ上院議員のこの言葉は、重く受け止める必要がある。

 気がつけば、日本まであと約3時間。 ちょっとお腹が空いて来た。

追伸:ダニエル・イノウエ上院議員は、リコール問題に関しても、トヨタに同情的だった。 キャンベル国務次官補は、日本とのパイプを、とても大事にしている様子だった。

 米国の友人たちは、(口を揃えて)「オバマ政権に知日派はいない!」と言う。 日本の影響力が低下する中で、米国の「中国重視」は一層、強まっている。 米国政府も、米国議会も(よくも悪くも)「中国との関係」を注視しているのだ。 その意味で、キャンベル国務次官補やダニエル・イノウエ上院議員のような「良識のある知日派」は、日本にとって「貴重な存在」だと思う。

 
直滑降レポートを応援していただける方は、blogランキングへ

山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」無料配信中!