2010年3月6日:パート3

 最初に言っておくが、キャンベル国務次官補からも、ダニエル・イノウエ上院議員からも、鳩山政権を批判するような発言は、一切、なかった。 キャンベル氏は、冒頭、与野党双方の人脈を大事にしたいという意味のことを言っていた。 だからこそ、野党の外交委員会の2人の筆頭理事の会談要請にも応じてくれた。 歳出委員長として上院で影響力を振るうイノウエ議員は、「日米間の小さな亀裂を大きくしないように、皆が努力しなければならない!」と強調していた。 日本の政府も議会も、こうした米国内の「良識ある知日派」を大切にしなければならない。 改めて、そう思った。

 ただし、米国政府内でも議会でも、「鳩山総理が普天間問題を5月末までに決着させる」という認識(期待感)は、すっかり広がっている。 鳩山首相が繰り返し明言しているこの約束を果たせなかった時には、鳩山政権への失望が一気に加速するだろう。 そうなると、(すでにギクシャクしている)日米関係への悪影響は、避けられなくなる。 ここが一番、心配だ。

 さて、国務省内で行われたキャンベル国務次官補との会談には、国務賞の日本担当部長、国防総省のスタッフが同席した。 普天間基地問題に関して、キャンベル氏は、次のような意味の発言をした。

 「民主党政権に対しても明言していることだが、我々(米国側)は、日米両政府が合意した現行案(辺野古)がベストだと考えている。長い期間をかけて、様々な選択肢を検討した上での結論だからだ。」 キャンベル氏は、こんなふうに言葉を続けた。

 「それはそうとしても、(普天間問題は)米国が日本に対してこうしろああしろというべきものではない。我々はパートナーシップに基づいて日本政府と協力し、話を聴き、日本政府の示す他の選択肢があれば検討するという姿勢だ!」と。

 次に口をついて出たフレーズに、普天間問題に関わって来たキャンベル氏の難しい立場がよく現れていた。 キャンベル次官補は、こんな趣旨のことを言った。 「一方では、我々の確固たる姿勢(現行案)を示し、他方で、フレキシブルに(柔軟に)対応する。ここらへんが、難しい道(difficult path)だ。」 指がちょっと疲れた。 この続きは「その4」で。

 
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