2010年2月23日:パート2

 午前8時50分。 沖縄に向かう飛行機の中で、パソコン画面に向かっている。 たった今、機内食(朝食)を食べ終わった。 ええと、熱い紅茶をもらえますか? うん、ミルクも!

 自民党が、昨日から「審議拒否」を続けている。 長崎県知事選挙と町田市長選挙で勝った勢いに乗って、与党側に小沢幹事長の証人喚問等を迫るという戦略は、理解出来なくもない。 が、自分は、この「作戦」が功を奏するとは、どうしても思えない。 展開によっては、むしろ、2つの首長選挙での勝利によって得たポイントを、減らしてしまうのではないか、と危惧している。 理由は、大きく言って、3つある。

 ひとつ目は、「審議拒否」という手法が、国民の理解を得にくいということだ。 世論が、「自民党が審議拒否する理由はよく分かる。与党民主党は小沢幹事長や鳩山総理の関係者の証人喚問に応じるべきだ!」というムードにならない限り、民主党がこうした要求を呑むとは、なかなか考えにくい。 地元を回った感触だと、支持者の反応は逆。 「小沢さんや鳩山さんのおカネの問題はヒドいけど、審議をしないのはよくない!」という意見が大勢だ。

 国会の果たすべき責任として、「政策の議論」(景気対策や雇用問題等)と同時に、「政治資金問題の解明」も進めていく必要がある。 国民の9割が、小沢幹事長の説明に納得していない。 野党として、予算案を厳しく精査しつつ、並行して「小沢幹事長を含む関係者への証人喚問」を求めていくのは当然だ。 が、「審議拒否」という手段ではなく、むしろ「国会審議」を通じて政府与党への追求を続けたほうが、自らの政治資金をめぐる問題で3人の秘書が逮捕・起訴されても、国会で説明しようとしない政権No.2の与党幹事長の「異常性」を、国民にアピールすることが出来ると思う。

 長崎と町田で勝った後だからこそ、昔の民主党のようなやり方をせず、国会の舞台で、正々堂々と、政府与党の姿勢を厳しく質していく。 そちらのほうが、自民党のイメージは上がる(=参院選挙にもプラスに働く)気がする。

 2つ目の理由。 それは、仮に小沢幹事長の証人喚問が実現しなかったとしても、「民主党の失政」を突く方法はあるということだ。 以前のブログにも書いた。 長崎知事選挙と町田市町選挙で「自民党の推す候補者」が当選したからと言って、4ヶ月後の参議院選挙に勝てるなどと油断してはいけない、と。 それどころか、自分は(これも何度も指摘しているが)今の状態のままで参院選に突っ込んだら、「衆院選挙に続く惨敗」を喫する可能性のほうが高いと分析している。 国民の信頼は、まだ、自民党に戻って来ていないからだ。

 ただし、国民の間に「民主党に対する幻滅」が広がりつつあることは、紛れもない事実だ。 選挙で掲げたマニフェストの度重なる修正、総理と幹事長の秘書が5人も逮捕又は起訴されているという異常事態、普天間問題に象徴される鳩山総理のリーダーシップの欠如等々を見せつけられた有権者は、鳩山政権への失望感を強めている。 

 自民党が「これまで経験したことのない逆風」に見舞われた昨年の衆院選挙の前に比べたら、「自民党の正論」は、国民の胸に届きやすくなっている。 マニフェストの財源問題、誤った経済政策、総理と幹事長以外の閣僚や党幹部の倫理問題等を丁寧に攻めていけば、反転攻勢のきっかけを掴めるかもしれない。

 3つ目は、「審議拒否」に関して、「野党の足並み」が揃っていないことだ。 最大野党とは言うものの、自民党だけが審議拒否を主張しているという構図は、与党に対する圧力を弱めるだけでなく、国民に対しても、説得力を欠くという結果になる。

 あ、飛行機が降下を始めた。 ハイ、紅茶をもう一杯、ください。 この続きは次回のブログで。

 
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