2010年1月29日:パート4

 一昨日の昼。 党本部の会議室で行われた「北朝鮮外交を慎重に進める会」のゲストスピーカーは、安倍晋三元総理。 官房副長官として小泉総理の2度の訪朝(日朝首脳会談)に同行し、総理大臣として北朝鮮問題に取り組んだ経験と実績を踏まえて、「最も効果的な対北朝鮮戦略」を語ってもらった。 書いてもいい部分だけ、ブログに掲載する。

 先ずは、日本政府の動きに対する「これまでの北朝鮮の反応」を検証。 小泉総理の2度の訪朝の前後、日朝間に何が起きていたのかを解説した。 ブッシュ大統領の真意、ライス国務長官とヒル国務次官補の思惑、韓国政府や中国政府の反応、拉致被害者の方々の帰国の真相等について、次々に生々しいエピソードが飛び出して来た。

 「2002年、ブッシュ大統領による『悪の枢軸』発言で、北朝鮮(金正日総書記)は動揺した。私もインタビューで登場しているNHKスペシャル『秘録日朝交渉』で描かれているように、金正日総書記には小泉総理にブッシュ大統領との橋渡しを頼みたいという思惑があった。それで日朝首脳会談が実現した!」と安倍元総理。 やっぱり、NHKのあの迫真のドキュメントは、全て事実だったようだ。(ふう)

 安倍元総理は、「外交交渉は要求が強い方が、弱い立場になる!より譲歩しなければならないからだ。日朝首脳会談では、北朝鮮のほうが立場が弱かった!」と断じた。 加えて、「首脳に面会すること自体を交渉材料に使うのは、旧共産圏諸国の特徴。かつてのソ連や、今の北朝鮮は典型だ。」とも指摘していた。 更に、「北朝鮮は今、米朝交渉で行こうとしている。しかも、鳩山政権になって日米関係がギクシャクしている。普通で考えれば、今の北朝鮮が日朝協議を積極的に進めるとは思わない!」という分析もあった。

 鳩山総理の訪朝に関しては、「それをやって本当に解決するなら応援してもいい。が、それは無理だ。仮に今の状態で日朝首脳会談をやれば、たとえば日本側が知らない数名の拉致被害者の名前を出して来て、それで一件落着にしようとするかもしれない。そのまま、国交正常化交渉に持っていかれる危険性がある。外交的な野心は、ある時はエネルギーを生み出すが、野心が先行しすぎると相手の思う壷になる。常に国益を考えるべきだ!」と、否定的な見方を示した。

 安倍元首相の結論は、「北朝鮮はそれをやらないと、自らが立っていられない時だけ譲歩する」というもの。 つまり、対北朝鮮政策は「圧力に重きを置いた、対話と圧力のアプローチしかない!」ということだ。 これ以上、細かいことは書けないが、極めて「説得力のある元総理の発言」だった。

 日本経済新聞の最新の世論調査によれば、鳩山内閣の支持率は45%にまで下降した。 4ヶ月で、30ポイントも急落したことになる。 鳩山総理がそんなことをするとは思わないが、「電撃訪朝」によって政権を浮揚させようという誘惑に駆られないという保障はない! 万一、水面下で「清算なき極秘訪朝計画」が進んでいるとすると、断じて阻止しなければならない!!(キッパリ)

 あ、お湯が沸いた。


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