2010年1月3日

 昨晩、ふらりと本屋に立ち寄った。 ずっと読みたかった2冊の本(「村上春樹の1Q84」と「川上未映子のヘヴン」)を買った。 ハルバースタムの「朝鮮戦争」と「小沢一郎・嫌われる伝説」にも手が伸びたが、パラパラとめくっただけで書棚に戻した。

 「ヘヴン」は3時間で読破。 ちょっぴり辛い話だった。 「1Q84」を読み始めたが...なるほど、これまでの村上作品とは違う感じがする。 何を読んでも「政治」を連想してしまうのは、頭脳が「政治家モード」に切り替わっている証拠だ。(苦笑)

 今日の産経新聞朝刊の1面に「民主、北と極秘接触」というタイトルの記事が掲載された。 この記事によると、昨年の夏以降に「複数の民主党関係者」が中国で北朝鮮側と極秘に接触していたとのこと。 北朝鮮側の対応によっては、7月の参議院選挙の前に日朝交渉が始まる可能性があるとも書かれている。 

 これが事実だとしても、驚くにはあたらない。 鳩山総理が、正式な外交チャンネル以外の「独自のルート」で平壌と接触し、「電撃訪朝&首脳会談」の準備を進めているという噂は、永田町周辺でかなり前から囁かれていた。 何度もこのブログで指摘して来たが、鳩山総理の「政権浮揚を狙った安易な訪朝」は日本の対北朝鮮政策、ひいては日本の安全保障に大きなマイナスを及ぼす可能性がある。 

 ましてや、過去3ヶ月のあまりにナイーブで、戦略的視点を欠いた鳩山外交を見せつけられたら、「新政権は北朝鮮に翻弄されるのではないか」という強い懸念を持たざる得ない。 なぜ、この時点での鳩山総理の訪朝が日本の国益を損ねると思うのか? それは次の3つの理由による。

 まず第1に、現段階で鳩山総理が北朝鮮に乗り込んだとしても、北朝鮮との交渉を有利に進める(=金正日総書記から譲歩を引き出す)外交カードがない。 え? 日本の経済支援?! それは核や拉致の問題を解決に導くための最後の手段だ。 軽々に切れるようなカードではない!

 鳩山首相には、是非とも1月6日の深夜に再放送されるNHKスペシャル「秘録日朝交渉~知られざる核の攻防」を見ていただきたい。 北朝鮮が小泉訪朝を受け入れ、日朝首脳会談の席で「拉致という国際犯罪」を公式に認める判断をしたのは、小泉首相(当時)に「米国ブッシュ政権との橋渡しを頼みたい」という思惑があったからだ。

 オバマ政権は北朝鮮との対話路線。 「六者協議」のシステムは維持されるとしても、米朝2国間の直接交渉が始まるのは「時間の問題」だ。 事実、北朝鮮政府は、1日の労働新聞の社説でも「米朝間の敵対関係を終わらせる必要性」に言及。 米朝交渉の地ならしを進めている。 現時点で、北朝鮮から見た「日朝交渉のインセンティブ」は極めて低い。 そのことはしっかり頭に置いておかないと。
 
 加えて、平壌は日本の政治状況を詳細にフォローしている。 鳩山内閣の支持率が低下を続けていること、日米関係がギクシャクしていること、小沢幹事長の訪中に対する世論の反発等々。 鳩山政権が「政権浮揚のために拉致や核の問題の進展を(喉から手が出るほど)欲しがっている(?)」ことも十分、承知の上だ。 知ってますか? 北朝鮮は、こんな取るに足りない「山本一太のブログ」でさえ、チェックしていることを。 そうじゃなかったら、党の機関誌である「労働新聞」に山本一太が名指しで登場するワケがない。(苦笑)

 こんな状況の下で鳩山総理が訪朝したとしても、金正日総書記とギリギリの厳しい交渉が出来るだろうか?! 核開発や拉致問題に関して、本当に意味のある「外交的成果」を上げることが出来るだろうか?! 答えは明らかにノーだと思う。 いや、多分、訪朝を受け入れるだけでも、(水面下で)「大きな見返り」を要求される恐れがある。

 あ、お湯が沸いた。 「性急で安易な鳩山訪朝」に反対する残り2つの理由に関しては、次回のブログ「鳩山電撃訪朝はなぜマズいのか?:その2」で。

 
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