2009年7月20日:パート5

 自分は一貫して「麻生総理は早く勝負(解散総選挙)に打って出るべきだ」と言い続けて来た。 ここに何度も書いたとおり、政権発足以来、何度か「伝家の宝刀」を抜くチャンスはあった。 が、麻生総理はその度に(身内の進言で?)好機を逃して来た。(ガクッ!) 
 
 「麻生総理の手で解散するのが筋だ」という考え方は今でも変わらない! が、しかし、未だかつてない逆境(内閣支持率2割弱、政党支持率、比例の投票先調査で民主が大幅なリード、党首の人気で大きく劣勢)の中で選挙に突入しなければならないのは事実だ。 今さらゴチャゴチャ言っても仕方がない。 いったん決めたら、「一瀉千里」に進むしかないのだ。 が、しかし、「総理がもう少し早く決断していれば」という思いは拭えない。
 
 麻生総理を支えて来たある大物政治家が「今、選挙をやるのは得策ではない。自民党は大敗する」みたいなことを麻生首相に(内々に)進言したらしい。(真偽のほどは分からない!) この時点で「選挙の先送り」を勧めることは「麻生総理の辞任を促した」ということに他ならない。 その噂を聞いて思った。 「もし事実だとすれば、この人物にそんなことを言う資格はない!麻生総理が解散しようとする度に羽交い締めにして押さえ付けて来たのはあなた方ではないか!(怒)」と。
 
 昨年の夏、福田総理が「大幅な内閣改造」をやった。 誰もが「選挙が近い」と思ったこの時、某若手衆院議員から電話がかかって来た。 「あまり選挙、選挙って言わないでください!今、やったら自民党は苦しい。私も勝てません!少なくとも来年までは延ばしてもらわないと!」
 
 福田総理が突然辞任し、麻生内閣が誕生した。 「10月には必ず選挙がある。ここでやれなかったら勝負のチャンスを失う!」と連日、このブログに書き、メディアでもそう発言した。 ある有力議員から携帯に連絡があった。 「山本さん、今、選挙なんかやったら多くの仲間が討ち死にする。私だって分からない。あまり選挙をやるべきだなんて言わないでくれ!」と。
 
 「自分が総理になったら早急に解散する」と豪語(?)していた麻生首相は、結局、選挙を見送った。 「少なくとも年内にやったほうがいい!」とテレビで発言したら、朝の部会で遭遇したある中堅議員に声をかけられた。 「年内にやったら自民党は大きく負ける。うちの選挙区も勝てない。山本ブログはあなたが思っている以上に影響力がある。年内選挙なんて書かないでよ!」と言われた。
 
 年が明けても、「幾つかの重要法案や予算案への野党の反対を理由に解散する」という話が散発的に囁かれた。 が、麻生総理は決断しなかった。 いや、正確には出来なかった。 「内閣支持率」は低下を続け、「政党支持率」でもリードを許し、唯一の支えだった「どちらが次の総理にふさわしいかアンケート」でも小沢一郎民主党代表(当時)に逆転されていた。 永田町では「この状況では選挙は無理だ。任期満了近くまで延ばすしかない!」という雰囲気が強まっていた。 さっそく、あるメディアで「任期満了選挙なんて絶対にやってはいけない!」と主張した。 複数の若手議員からメールや電話が来た。 「じっと我慢して流れが変わるのを待つしかありません。今やったら、勝つ自信がありません!」という内容だった。
 
 3月に入って、「小沢一郎民主党代表」(当時)の公設秘書が逮捕されるという「衝撃のニュース」が飛び込んで来た。 この(自民党にとっての)「神風」で、民主党の評判が下がり始めた。 「どちらが次の総理にふさわしいか調査」で麻生首相が小沢代表を再逆転。 民主党の政党支持率も大きく落下した。 党内からも「補正予算でこれをやるというのをしっかり掲げて、勝負に打って出たほうがいい!」という意見が出た。 ある民主党議員が「山本さん、地元の雰囲気が悪くなっている。今、選挙をやられるとマズい!」とつぶやいていた。 
 
 再び、「これは自民党にとって反転攻勢の最後のチャンスかもしれない!麻生マニフェストを掲げて一気に選挙をやるべきだ!」とテレビで発言した。 またまた「お馴染みの若手・中堅」から電話があった。 「流れがよくなったと言っても逆風が少しおさまった程度。今、解散されたら自民党は多くの議席を失う」と訴えていた。 5月の連休後に民主党代表選挙が行われ、「鳩山由起夫氏」が代表に就任。 民主党は一気に勢いを回復した。
 
 今から10ヶ月前。 麻生政権が発足した時の内閣支持率は50%近かった。 300の小選挙区のうち、民主党の公認候補が決まっていない空白区はたしか「50程度」あったと思う。 麻生総理はこの時も、その後も「何度か勝負をかけよう」と試みた。 が、回りの反対で踏み切れなかったのだ。 「今、選挙になったら自民党も自分も勝てない!」「勝負は出来るだけ延ばしたほうが賢明だ!」 そう言い続けて来た人々は「ほぼ任期満了に近い総理のこの決断」をどんなふうに受け止めているのだろうか?!
 
 ハッキリしていることが1つ。 「他力本願」の政治家は必ず「責任転嫁」する! このタイプの人々は、選挙で負けたらこう言うに決まっている。 「そもそも麻生総理で選挙をやったのが間違いだ。前倒し総裁選挙をやればマシな結果だった」と。 逆に「前倒し総裁選挙」が思惑どおり運ばず、当選出来なかった時も(きっと)同じことを言う。 「国民の反発が分かっていた総裁選挙の前倒しをやった連中が悪い。そのために負けた!」と。(ため息)
 
 「逆風」が吹いていようといまいと、いつ選挙をやろうと、「生き残る政治家」は必ず生き残る。 「淘汰される政治家」は淘汰される。 それが「政治の真理」というものだ。 お馴染みの「言い訳」は2度と聞きたくない! 要は「困難を乗り越えて勝ち上がって来れるかどうか」だ。
 

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