2008年8月17日:パート2

 前回と前々回のブログで、久々に安倍晋三前総理のことを書いた。 それは1年前に突然辞任した前首相に、「身体が治ったのだから、政治活動を本格的に再開してどんどん前面に出てください!」と言いたいからではない。 「永田町の人事」がどんなふうに決まっていくのか、口コミの「作り話」によって政治を動かそうとする「時代遅れの文化」が(依然として)政界に蔓延っていることを示したかっただけだ。
 
 山本一太は「本当の安倍ファン」を自負している。 だからこそ、安倍前総理には、当分の間、「表舞台」に出て欲しくないと思っている。 「衝撃の辞任劇」からまだ1年も経っていない。 安倍前首相の「突然の退陣」が、安倍氏を本気で応援して来た人々にどれだけのショックを与えたか。 昨年の参院選挙によってもたらされた「ねじれ現象」によって、安倍内閣の後を引継いだ福田政権と自民党がどれほどの苦難に直面しているか。 一般国民の多くが(「一部の人々」を除いて)安倍前首相にどんなイメージを持っているのか。 次世代エースの挫折が「世代交代の流れ」をどれだけ減速させたか。 安倍前総理には「そうした事実」を正面から受け止めてもらいたいと思う。 
 
 「あんな結末」が待っているとは知らずに安倍政権誕生のために(大した力にはなれなかったが)奔走した自分自身の判断の甘さ、肉体的にも精神的にもボロボロだった安倍前首相を全く支えられなかった応援団としての責任を痛感するからこそ、尚更、そう思わずにはいられない。
 
 数ヶ月前、議員会館事務所に安倍晋三前首相を訪ねた。 2人きりで30分ほど話をした。 自分の思ったことを、率直に、包み隠さず安倍前総理に伝えるためだった。 出来るだけ無礼にならないように言葉を選んだつもりだ。 が、「総理経験者」に対して「かなり失礼なこと」を言ってしまった。 
 
 「安倍総理(その時はこう呼んだ)、これは私の個人的な意見ですが、しばらくの間、雑誌の対談に応じたり、テレビに出演したりするのはやめたほうがいいと思います。ああいう退陣の仕方をしたら、普通の政治家なら政治生命が終わっても不思議はありません!多くの政治家が同情的なのは、安倍総理だからなんです!」「安倍総理が水面下でもいろいろ動いているみたいな噂が広がって、誰のために政治がこんなになってるんだという雰囲気が、自民党の各グループに出てきています。水がこぼれ出す寸前の状況です!」「安倍先生のカムバックに関しては一部に好意的な意見もあります。が、世の中の大半の人々は『こんなに元気なら、なぜ、あの時、政権を放り出したんだ!』みたいに思っています!そこは見誤らないでください!」「無礼を承知の上で言いますが、中途半端な政界カムバックならやめていただきたいと思います。戻って来るなら、もう一度、トップを狙うくらいの覚悟でやってもらえませんか?そのためには、皆が納得するような『苦しい再生の期間』が必要なのではないでしょうか?」 もっと非礼なことも言った気がするが、これ以上は書かない。
 
 安倍前首相は「ボヘミアン政治家」の言葉にちゃんと耳を傾けてくれた。 総理大臣にまで上りつめた安倍氏にすれば、「こんなちび政治家に、なぜここまで言われないといけないのか!」という思いもあったかもしれない。 が、最初から最後まで、しっかり聞いてくれた。 ここらへんが、「いかにも安倍さんらしい!」と思った。 自分が逆の立場だったら、怒り出したかもしれない。(安倍前総理、ごめんなさい!)
 
 安倍前首相に嫌われることを覚悟で「ここまで申し上げた」のは、安倍氏のことを本当に心配し、今でも応援しているからだ。 「世の中の流れ」は早い。 安倍前首相が、数年間「臥薪嘗胆」して充電し、政治家としての幅を広げ、身体の弱みを克服すれば、「窮地に立たされた日本という国」がもう一度、「安倍晋三という政治家」を必要とする時が来るかもしれない。 そう思うからこそ、「本当のこと」を伝えるために会いに行ったのだ。
 
 安倍前総理に対して「言いたかったこと」は、すべて本人の目の前で言った。 もう同じようなことはしない。 後は、安倍前首相が(いろいろな人々の意見を聞いて)ご自身で判断し、自分の道を決めていくだろう。 こんなブログを書いてしまうと、もう、食事に誘ってもらえなくなるかもしれないなあ。(苦笑) が、何があっても、安倍晋三前首相のことは嫌いになれない!! 同僚議員たちの辛辣な批判に反駁出来なくても、最後に必ずこう言ってしまう。 「そりゃあ、そうかもしれない!でも、安倍内閣の目指していた方向は間違っていなかった。そう思わないか?それに、安倍さんには素敵なところも一杯あるよ!」
 
 最後にひとつだけ言っておきたいことがある。 本当に安倍前総理のことを応援していたら、「傷ついた安倍前首相」を軽々にメディアに引っぱり出すような真似はしないはずだ! 「いやあ、先日のマスコミの発言、よかったですよ!これからもどんどん発信していってください!」なんてお世辞を言うわけがない! 少し長い目で見たら、けっして安倍さんのためにならないもの。

 安倍前総理、どうかこれだけは憶えておいてください! 政治家であろうが、経済人であろうが、学者であろうが、マスコミ関係者であろうが、「カムバックはくれぐれも慎重に!」と苦言を呈してくれる人こそ、本当のシンパです! そりゃあ、そうでしょう? 誰だって、「親しい人間」に嫌われるようなことは言いたくない。 ましてや、傷だらけで倒れた安倍前首相の気分を害するようなことはしたくないと思うのが人情だ。 それでも「耳の痛いこと」を言わざる得ないのは、それだけ「思い入れが深い」ということに他ならない!
 
 まあ、安倍氏を引っ張り出そうとする(利用しようとする?)人々にも、「それなりの理屈」はあるのかもしれない。 最悪なのは、本人のいないところでは、「安倍さんがここでしゃしゃり出てくるのはマズい!何とかしないと!」なんて言いながら、本人の目の前では「全く違うことを言う」政治家たちだ、な!(ムカムカ!)
 

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