2008年6月19日:パート4

 午後3時15分。 党本部で行われた「新しい総裁選挙を実現する会」の会合を終え、消費者問題調査会にも一瞬だけ顔を出して、議員会館事務所に戻って来た。 あ、蜂蜜入りの紅茶が来た。 なんて気の利くスタッフだろう!(ニッコリ)
 
 「新しい総裁選挙を実現する会」の設立総会(メンバーは現時点で35名)には、20名以上の議員が参集した。 マスコミ(ペンの記者)を入れたまま、活発に意見を交わした。 本格的な活動は臨時国会開幕後になる。 最初の総会で了承された趣意書は次のとおり。

          ー新しい総裁選挙を実現する会:趣意書ー

 自由民主党は、結党以来の危機に瀕している。「既得権益にしがみつく政党」というイメージが定着していることに加え、後期高齢者医療制度への反発、宙に浮いた年金問題に対する怒り、税金無駄遣いスキャンダルの続発等に起因する国民の「自民党に対する不信感」はこれまでにないほど高まっている。特に昨年の参院選挙で与党が過半数を失ってからは、「一度民主党にやらせてみよう」シンドロームが、都市部ばかりか、農村部にまで万延しつつある。党のイメージを一新するような「起死回生の手」を次々に打っていかない限り、次回の総選挙で野党に転落する可能性が高い。

 私たちは、自民党のイメージを刷新する最も効率的で効果的な手段は、党のリーダー(=内閣総理大臣)を選ぶ「自民党総裁選挙」のルールを変え、「ドラマチックな総裁選挙」を演出することだと考えている。すなわち、総裁選挙に「意外性」という要素を組み込み、「将来のスター政治家」を発掘するシステムを作るということだ。私たちは、この「新しい総裁選挙」を実現するため、自民党総裁選挙に「予備選挙」のシステムを導入することを提案する。

 現行の自民党の制度によれば、総裁選挙に立候補するための要件は「党所属の国会議員20名の推薦」となっている。が、この基準は極めてハードルが高く、「20人ルール」そのものが、すでに過去のものとなりつつある「派閥中心の総裁選挙」を助長する役割を果たして来た。加えて、自民党の政策や理念を国民にアピールする最高の機会である「総裁選挙」に、「意外性」や「ドラマ」が生まれ難い状況を作り出している。5年前の韓国大統領選挙における逆転劇や米国大統領選挙の民主党候補指名争いでのオバマ・ブームなど、予備選挙によって党のイメージが高揚されたり、大きく変わったりするケースは枚挙に暇がない。

 私たちは、現行の自民党総裁選挙に「予備選挙」の仕組みを創設することで主に次の3つの効果が生まれると確信している。第一に、オープンで透明な自民党というイメージが国民に向けて発信されること。 第二に、自民党最大のイベントであり、実質的に日本の首相を決める総裁選挙のプロセスの中に「未来のスター」を発掘するシステムを組み込めること。 第三に、米国のオバマ大統領候補の誕生やテレビドラマ「チェンジ」の「新人議員総理」のようなドリーム・ストーリーの可能性を総裁選挙に盛り込むことで、自民党の党首選びをよりドラマチックに演出出来るということだ。

 加えて、政権与党である自民党の総裁選挙を改革することは、党の利害を超えて「真に時代や国民が求めるリーダー」を生み出すこと、すなわち「国民全体の利益」に繋がる。これこそ、本会の最大の目的だと言っても過言ではない。党内力学に左右されない党首選びの仕組みを作ることで、自民党と国民との間の意識や感性のギャップを埋める。こうした努力なくして、自民党が21世紀に「国民に必要とされる政党」であり続けることは到底不可能だ。私たちは、現状の自民党が国民の目から見て「賞味期限切れ」になっていることを、もっと深刻に受け止めるべきだと感じている。

 たとえば、「総裁選挙」(本選挙)に立候補するための要件(20人の推薦ルール)はそのまま据え置き、代わりに新設する「本選挙」の前の「予備選挙」の立候補要件を10人の推薦人に下げるというアイデアもある。そうするだけで、若手・中堅を含む多くの自民党議員に「立候補のチャンス」が生まれる。予備選挙の段階で国民の支持を集めた候補者が党内の求心力を高め、本選挙では20人の推薦人を確保して本選挙にエントリーする可能性(意外性)があるというだけで、国民の「総裁選挙への注目度」は倍加するはずだ。その他、総裁選挙の立候補要件に何らかの形で「世論調査の数字」を加味することも考えられる。

 念のために言っておくが、本会のメンバーが総裁選挙でどの候補者を支持するかは(当然のことながら)個々の判断だ。会の目的は「特定の総裁候補」を一致して押し立てたり、支持したりすることではない。あくまで「改革に逆行する自民党」の古いイメージを払拭し、党内に「常に新しいスターを発掘するシステム」を作ることだ。前述したとおり、それは党内力学によらないリーダー選びのルールを確立し、自民党と国民との距離を縮めることに他ならない。

 更に言うなら、本会の活動は「政局」を意識したものでもない。私たちは、次の総裁選挙まで1年以上あるこの時期だからこそ、落ち着いた議論が出来ると考えている。加えて、新しいシステムを導入するために要する時間を考えれば、早めに勉強を始める必要があることも指摘しておきたい。

 改めて強調したいのは、自民党総裁選挙に「予備選挙」を新設することは、本命視される「有力な候補たち」にとっても、「まだ見ぬ候補者たち」にとっても大きな意味があると私たちが考えていることだ。誰が総裁に選ばれようと、国民を巻き込んだ「ドラマチックな選挙」に勝ち抜いてこそ、リーダーとしての求心力が高まるからだ。
 
 本会は秋の臨時国会開会後に本格始動する。毎週1回程度の勉強会を通じて「新たな総裁選挙モデル」を研究する。10月末には会としての「提言」を公表し、同時に「新しい総裁選挙」の実現を党内外に精力的に働きかけていくものとする。


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