2008年3月20日:パート2

 京都から東京に向かう新幹線の中にいる。 先ほど、高市早苗後援会の関係者に持たせてもらったお弁当を食べた。 ふう。 やっと生き返った。
 
 福田内閣が、発足以来最大の窮地に陥っていることは疑いのない事実だ。 今日から「日銀総裁」のポストが空席になった。 この戦後初の「異常事態」は4月まで続く可能性もある。 今月末で切れる「暫定税率」の問題については、福田首相が「全額一般財源化」というかなり踏み込んだ修正提案を示した。 にもかかわらず、「暫定税率そのものの廃止」を主張する民主党との隔たりは依然として大きい。 
 
 「宙に浮いた年金記録」の問題は、3月末に「政府が解決を約束した期限」を迎える。 これについても、舛添厚生労働大臣がすでに「3月中に全ての未確認記録を付き合わせることは出来ない!」と明言している。 したがって「公約破りショック」の衝撃は少ないという見方もある。 が、マスコミも世論もそんなに甘くない。 3月末から4月初めにかけて、TVのワイドショーが一斉に「公約を果たせなかった問題」を取り上げるかもしれない。 そうなったら、内閣支持率は更に低下するだろう。 「株価」は依然として予断を許さないし、イージス艦と漁船の衝突事故を含む防衛省内の火種はくすぶったままだ。
 
 これだけ悪条件が重なると、福田政権の「4月危機説」が囁かれても不思議はない。 が、それでも「福田内閣の退陣」や「衆議院の解散」は起こらない。 山本一太はそう分析している。 ここに至っても、「チャッピーの尻尾」は光らない。 与野党衆議院議員(特に自民党衆院議員)の「今、選挙をやりたくない願望」は、政治家としての理念や政策を上回るほど強いからだ。
 
 ちょっと考えればすぐ分かる。 たとえば、2年前の郵政解散選挙で巻き起こった「2度目の小泉ブーム」がなければ、けっして当選出来なかった(あるいは復活出来なかった)政治家たちにとって、「現時点で選挙をやる」ことは、「自分たちが議席を失う」ということとイコールだ。 こうした人々は「いかなる手段」を使っても、選挙を回避しようとする。 政治生命がかかっているのだから当然だ。 
 
 政治家としての「生存本能」は、(時として)あらゆるものに優先する。 ひとつタイムリーな例をあげよう。 4月に「暫定税率」が切れ、税率(ガソリン価格)が一時的に下がるとする。 この場合、自民党としては憲法に定められた「3分の2条項」を使って法案を再可決し、暫定税率を元の状態に戻す(=いったん下がった税率を再び上げる)という手段に訴えるしかない。 が、衆議院が再可決するまでの1ヶ月間(?)に「税率の引き上げ」に反対する世論が巻き起こったらどうなるか? 選挙基盤の弱い若手議員を中心に、「この際、暫定税率を撤廃することはやむを得ない。この状態で再可決するというなら、自分は一票を投じない!」という議員が(恐らく)出現する。 その結果、賛成が「3分の2に届かない」という可能性さえある。 国会議員の「生存本能」は、そのくらい強烈なのだ。
 
 一見すると「袋小路」に入っているとしか思えない難問が、どんな糸口で解決していくのか。 具体的なシナリオは分からない。 が、危機の直前に与野党の「選挙回避症候群」が一気に広がり、結局、政局にならない(そのままズルズルいく)というケースは十分に考えられる。 ふうむ。 今年の夏頃には永田町界隈でこんな会話が交わされているかもしれない。 「なあんだ!やっぱり、民主党は途中で腰砕けになった。福田政権は続いているじゃないか!!」 ついでに言うと、こんな話も囁かれたりして。 「最近、福田総理の顔つきが変わってきた。このまま洞爺湖サミットを乗り切ると、かなり強いリーダーになるかも。やっぱり、衆議院選挙は来年だ、な!」
 
追伸:え? 福田内閣の支持率が落ちると、党内から「福田降ろし」の声が強くなるって?? そんな単純な話ではない。 万一、福田総理が辞職したとしたら(そんなことするはずないが)、スグに「自民党総裁選挙」になる。 「新しい総裁」(首相)が誕生すれば、「早期に解散して国民の信を問う」ことが求められる。 つまり、このケースも「解散回避願望」と矛盾するのだ。

追伸:山本一太という政治家にたった1つ「いいところ」があるとすると、それは(何をやるにも)「卑怯な手段」を使わないことだ。 欠点だらけの、自分勝手な人間だけど、常にこう思っている。 「せいぜい生きても、あと20年か、30年。せめて、まっすぐに生きて、まっすぐに死にたい!」と。

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