10月2日:パート3




 もうすぐ午後10時。 熱い日本茶をすすりながら、キーボードを動かしている。 テレビのニュースでは、巨人が5年ぶりにリーグ優勝したことを伝えている。 原監督がシーズンの初めにスローガンとして掲げた「ペナント奪回」を果たした。 終盤まで激戦が続いただけに、感激もひとしおだろう。 インタビューに答える原監督も感無量の表情だった。 原監督、そして巨人ナインの皆さん、おめでとうございました! 

 

 もうずいぶん昔のことになるが、「長島監督の解任」を機に「巨人ファン」を辞めた。 「巨人ファン」というより、「長島ファン」だったからだ。 最近は大リーグ中継ばかり見ている。 これを契機に、日本のプロ野球にももう少し注意を払うことにしよう。 それにしても、イチローが首位打者を逃したのは悔しかった。

 

 さて、気持ちも落ち着いてきた。 そろそろ「安倍首相の辞任と山本一太の責任」の続編を書きたいと思う。 その1で、「いかにしても、あの辞任劇を正当化することは出来ない」「批判されるのは当然だ」と記した。 実際、自分の回りの「安倍シンパ」の人々の反応は「驚き」や「同情」というより、「怒り」だった。 安倍首相を本気で応援していた人々ほど、「落胆」を通り越して「激高」していた。(*まさしく「可愛さ余って憎さ百倍」みたいな状況だった。)

 

 もちろん、自分もガックリきた。 「安倍総理は、なぜ、ここで踏ん張れないのか!」「イバラの道であることは最初から分かっていたではないか!」と思った。 が、あの衝撃の一報を聞いて胸の中に湧き上がってきた感情は、「悔しさ」だった。 とにかく、悔しくて悔しくて仕方がなかった。 理由は大きく言って3つあった。

 

 ひとつは、この退陣の仕方が、安倍総理の政策や理念、政治スタイルを執拗に批判してきた「永田町内外の勢力」、とりわけ安倍首相が必死に闘ってきた「旧体制の政治家たち」にとって「鬼の首をとったような」大戦果になるだろうと思ったこと。 2つ目は、この辞任記者会見によって、安倍内閣が過去1年間に成し遂げた多くの実績や功績(東アジア外交の再構築、教育基本法の改正、国民投票法、防衛庁の省昇格、道路特定財源システムの見直し、公務員制度改革等)が台無しになってしまう可能性があること。 3つ目は、支持率の低迷プラス参院選挙の敗北(参院逆転)という厳しい状況にあったとはいえ、安倍総理に気力と覚悟さえあれば「テロ新法を含む数々の難局」を切り抜けるチャンスは十二分にあると確信していたことだ。

 

 安倍首相には不運な面もあった。 「任命責任がある」と言われればそれまでだが、再浮揚のきっかけを掴みそうになる度に、「閣僚の相次ぐ不祥事」に足を引っ張られる形になってしまった。 特にメディアがかつての「年金未納スキャンダル」を彷彿とさせる「魔女狩りムード」になっていたため、以前の内閣では問題視されなかった部分まで「政治とカネ」の問題として大きく報道されるという状態が生まれていた。 政治資金の透明化を怠ってきた政治の責任については、深く反省しなければならない。 が、10年前の事務所費(法的には公開義務のない領域)まで調べられたら、何かのミスが出て来ない国会議員事務所のほうが少ないと思う。 かつては自民党に籍を置いていた民主党のベテラン議員だって例外ではない。

 

 が、しかし、そうしたマスコミの論調も含めた逆風に晒されていたとしても、安倍総理に「熱烈な意思」と「捨て身の気持ち」があれば(そして「既存の自民党」を守るなどというケチな考えを捨て去って取り組めば)、必ず活路を見いだせたはずだ。 そう思えば思うほど、悔しさが止まらない。

 

 安倍首相の辞任記者会見の直後、あちこちのテレビ番組に出演した。 以前のブログに書いたように、「調子のいい時ばかりで、都合の悪い時は逃げる!」と言われたくなかったからだ。 安倍首相の思いを少しでも代弁しようと思って、録画した記者会見を何度も見た。 が、どうしても「辞任の理由」は分からなかった。 どう考えても「健康問題」としか思えなかった。 「体調が悪化して、闘う気力が折れてしまった」と解釈するしかなかった。 その意味では、慶応病院での記者会見には意味があったかもしれない。 安倍総理辞任の「本当の理由」が分かったのだから。

 

 気がつくと、午後11時40分になっている。 CDプレーヤーからは、サラ・ブライトマンの美しい歌声が流れている。 亡くなった父親がふとつぶやいていた言葉を思い出した。 「一太なあ、政治はなくてはならないものだけど、時々、空しいよ!そう言えば、亡くなった安倍晋太郎先生も同じようなことを言ってたっけなあ。」 「政治」は苦しい。 時に空しい。 でも、政治家という職業は、1人の人間が命をかけてやるだけの価値がある。 そう信じている。 

 

 ふむ。 もう少しヨーグルトを食べようかな。 この続きは「安倍首相の辞任と山本一太の責任:その3」で。 次回は「安倍前首相が考えているより、山本一太ははるかに安倍前総理のことをよく知っている」という話をしたい。

 




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