8月21日




 断っておくが、山本一太は「チーム安倍」のメンバーではない。 内閣にも、官邸にも入っていない。 安倍政権が発足してから約1年、安倍総理のメディア戦略に何かのインプットをしたことは一度もない。 首相官邸に「具体的な提言」を持って行ったこともない。 というより、(残念ながら)安倍内閣の政策に影響を与えたことは皆無と言っていい。 

 

 にもかかわらず、この11ヶ月間、安倍総理の政策や理念について発言する機会はけっして少なくなかった。 安倍首相の「側近」でもないのに、総理に直接モノが言えるかのように誤解するムキもあった。 昨年の総裁選挙で発信された「安倍応援団としてのイメージ」は、それだけ強烈だったということだろう。 

 

 テレビでもラジオでも、安倍首相の行動や決断に異を唱えるような言動は、極力、避けてきた。 山本一太の言葉に大した発信力があるとも思えないが、それでも「安倍総理の選択肢を縛る」ようなことはしたくないと思っていたからだ。 が、この姿勢は明らかに間違っていた。 総理には頻繁に会えなくても、下村副長官、世耕首相補佐官、井上総理秘書官には「いつでも会える」関係があった。 総理官邸にいると、どうしても世の中の動きに疎くなってしまうところがある。 「この発言はちょっとまずい!」とか、「これは世論と乖離している!」とか、少しでも懸念を持った時には、官邸に押しかけて「チーム安倍」に直言するべきだった。 場合によっては、総理にも直接会って進言すればよかった。 つくづくそう思う。

 

 小さいことで言うと、たとえば安倍総理のカメラ目線。 新しいことを試みるのは悪くない。 要は「評価されない」と分かったら、早めに政策を転換することだ。 選挙区で何度ポケット世論調査をやってみても、「安倍首相のカメラ目線は不自然だ!」「やめたほうがいい!」という意見が大勢だった。 が、安倍総理にも、官邸のメンバーにも、そのことは言えなかった。 「安倍さんが正しいと信じていることなら仕方がない」と思っていた。 が、自分にはスタンダードなやり方を好む安倍総理が、この「国民へのカメラ目線」を発案したとはどうしても思えない。(*誰がこのやり方を安倍首相にアドバイスし、何が間違っていたのかをちゃんと検証する必要がある。) 安倍首相が「自然な目線」に戻すずっと以前に、「本当の評判」を伝えておくべきだった。 

 

 参院選挙の終盤戦になって総理官邸や党の一部(?)から「自民党が盛り返している」かのような「誤った情報」が伝わってきた際も、よほど安倍総理に電話しようと思った。 「総理、逆バネは働いていません。このままだと40を切る惨敗になります!」と言いたかった。 が、結局、出来なかった。 そんなことをしても情勢が変わるとは思えなかったし、過酷なスケジュールで全国を飛び回っている安倍首相の気持ちをダウンさせるようなことはやりたくなかった。 が、これも正しくなかった。 参院選挙の苦戦(爆弾低気圧の発生)を最も正確に予想していたのは山本一太だった。 少なくとも総理宛の手紙くらいは官邸に届けておくべきだった。

 

 27日の内閣改造には、安倍政権の命運(ある意味では自民党の存亡)がかかっている。 これまで「必要なことを言ってこなかった」という反省を踏まえ、ポストへの執着(最初からあまりないけど)を捨てた上で、幾つかの進言をさせてもらう。 と、ここまで書いたところでタイムアップ。 続きは次回のレポートで。

 

  




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