11月15日:パート4




 昨年の2月、島根県議会による竹島条例の可決をめぐり、日韓関係が悪化した。盧大統領が演説で「外交戦争」(だったと思う)という表現まで使って日本政府の立場を厳しく批判。3月以降、韓国議会でも日本に対する激しい抗議の声が起こった。この時、次世代の日韓議員交流を共にすすめてきた韓国政界の与野党の若手エースたちも、「領土問題」に対する日本政府の姿勢を非難せざる得ない立場に追い込まれた。竹島問題に対する韓国の世論やこれまでの韓国政府の姿勢を考えれば、韓国の政治家として「やむを得ない」行動だったと思う。

 

 そうした中でも、たとえば若くして野党ハンナラ党の最高幹部の1人になったウォン・ヒリョン議員とか、ソウル市長選挙のハンナラ党公認候補レースに加わったパク・ジン議員とか、野党ウリ党を代表する若手ホープであるソン・ヨンギル議員等の発言には、日本の立場を批判しつつも、同時に「日韓関係を重視する」姿勢が感じられた。

 

 ところが、竹島問題に火がつく前までは、「知日派」を自認し、日本政界とのパイプを売り物の1つにしていたハンナラ党のある若手議員が豹変した。竹島問題に関する抗議文をとりまとめて日本大使館に送りつけ、韓国のメディアに登場しては、繰り返し「激しい日本批判」をやった。ある韓国のテレビ討論番組では、恐らく会ったこともない石原伸晃氏や石破茂氏を「日本のネオコン」とまで断じた。選挙区の事情は、いろいろとあったかもしれない。が、この人物の発言には「日韓関係への配慮」や「日本政界の友人たち(?)への心遣い」は、微塵も見あたらなかった。

 

 これには、本当に驚いた。(というより、がっかりした。)韓国の国政選挙に出馬する以前、日本の国会議員のスタッフとして働いた経験もあるこの国会議員は、日本語も堪能だったし、何より日韓議員交流の韓国側の窓口として活躍してくれると信じていたからだ。しばらくして、竹島問題の熱がおさまり、日韓関係は再び(ある種の)「平穏」を取り戻した。そのとたんに、この議員は再び「知日派」の仮面をかぶった。何事もなかったように「日韓議員交流の立役者」であるかのように振る舞い始めた。が、自分にはハッキリ分かった。この人物は「本当の知日派」でもなければ、日韓関係に「真の思い入れ」も持っていない。他の政治家は騙せても、山本一太の目は誤摩化せない。

 

 「竹島騒動」が激しくなる中で、自民党の外交部会等でも盧大統領の発言や韓国政界の日本攻撃に対する批判が噴出した。ある議員などは、「自衛隊の艦船を出せ!」とか、「防衛出動をかける覚悟が必要だ!」などという極端なことまで言った。その時、日韓議員交流に携わってきた若手議員が次々に手をあげて、次のような発言をした。「竹島は日本の領土。日韓のこの領土問題について、日本の立場を主張するのは当然だ。盧大統領の日韓の外交戦争などという発言も、極めて不適切だと思う。が、どんなに対立しても、日韓関係が重要であることは忘れてはいけない。武力衝突になるような馬鹿げた事態だけは避けねばならない!!」

 

 先週、この4月までソウル市長を務めていたイ・ミョンバク氏が来日した。イ・ミョンバク氏は、次回の大統領選挙におけるハンナラ党の最有力候補と目される人物だ。現時点の世論調査では、もう1人の有力候補であるパク・クネ党首の支持率を上回っている。イ・ミョンバク前市長に同行して来日した知人の大学教授から携帯に電話がかかってきた。「安倍総理にアポを申し込んでいるが、まだ返事がない。あなたのほうから総理官邸に頼んでもらえないか?」というお願いだった。たまたまその日は官邸で「IY懇談」(井上・山本懇談)があった。井上総理秘書官に、「安倍総理の日程が調整出来るようなら、ぜひ、イ前市長に会わせてあげてほしいんです。次回の大統領選挙で、ハンナラ党の候補者になるかもしれない人物です。ま、総理のスケジュールが許せばということでしょうけど。」「分かりました。山本先生の言うことは、頭においておきますよ。」 結局、前ソウル市長の安倍総理表敬は実現した。韓国に帰国した大学教授からお礼の電話があった。(*井上さん、ありがとう!!)

 

 あとになって分かったことだが、イ・ミョンバク前市長の訪日には(安倍総理との面会にも?)前述したハンナラ党の若手議員も同行していたらしい。(*なんという要領のよさ!)そうだと分かっていたら、井上秘書官に面会のお願いなんかしなかった。明日、井上秘書官にも、安倍総理周辺にも、しっかり説明しておくことにしよう。この韓国の若手議員の政治活動を妨害するつもりはない。が、この際、はっきりと言っておく。日韓の次世代交流に本気でとりくんできた政治家・山本一太の目が黒いうちは、このハンナラ党議員が(少なくとも日本で)「知日派議員」とか、「日韓交流に貢献してきた政治家」みたいに振る舞うことは決して許さない!!




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