11月8日:パート7




 「郵政民営化に反対する立場」で昨年の総選挙を戦い、結果として党を離れたメンバーの中には、衆院選挙後の本会議で民営化法案に賛成票を投じ、加えて今回の首班指名で「安倍首相」の名前を書いた議員たちがいる。彼らの立場からすれば、「選挙後に招集された本会議では、これまでの姿勢を変えて郵政民営化に賛成した。しかも首班指名の本会議では安倍首相に一票を入れた。これだけでも、政治家としては大変な決断だ。これ以上、復党に条件をつけるというのは、一体どういうつもりなのか!!」という気持ちだろう。

 

 仮に、中川秀直幹事長が「復党の最低条件」としてあげている「郵政民営化の方針に賛成」「安倍内閣の政策を支持」がクリアーされたとする。「永田町の相場観」からすれば、党内には「これなら説明がつく」という意見が出てくるだろう。かつては(2年前までは)同じ政党で活動していた仲間だ。「ここまで復党したいと言ってるんだから、もう十分に苦労してるんだから、いいじゃないか!」という気持ちになるのは自然なことだ。が、ことはそう簡単ではない。国会議員同士の関係では「納得出来る」ことであっても、国民の側には「理解の難しい」理屈だからだ。

 

 先般、地元の熱烈な山本ファンから連絡があった。約20分、「復党問題」についてお叱りを受けた。なるほど、これが昨年の選挙で自民党を応援した有権者の気持ちなんだなと思った。この人の言葉をそのまま書くと...

 

「あのねえ、一太さん。今回の復党問題は扱いを間違えると、オレのように本気で自民党を応援してきた人間はもちろん、昨年の選挙で小泉自民党に投票した無党派層にも『裏切られた』『やっぱり自民党は変わっていない』と思われてしまうよ。郵政民営化って、自民党の選挙公約(マニフェスト)の核心部分じゃないか。 自民党の公認候補者は、この政策を掲げて全国で選挙を戦った。反対派のいるところには、賛成派の新人まで立てて、さ。それを支持した国民があれだけの議席を与えたんだ! ここを曖昧にしたら、あの選挙はインチキだったと言われかねない。そうなったら、国民はこう思う。なんだ、自民党の約束は2度と信用出来ない。どうせ、すぐにひっくり返すだろうって。このイメージは深刻だよ。」 




 さらに怒りの言葉は止まらない。「皆、小泉さんが命がけで約束を果たそうとする姿に感動して、自民党が改革の党になったという言葉を信じて、自民党の候補者に投票した。普段は民主党を応援している無党派層までが、ね。あの選挙からまだ1年しか経っていない。それなのに、反対組を復党させないと来年の参議院選挙が戦えないとかいって、(選挙のために)ちゃんとした説明もなく戻そうとしている。オレたちにはそうとしか映らない。あのねえ。反対組で当選した人たちだって、『民営化反対』を訴えて当選したわけでしょう?2重の意味でおかしいじゃないか。国民を馬鹿にするなって言われちゃうよ! 昔のように融通無碍な政治は通用しないからね。」

 

 厳しい批判は続く。「一太さんの最近のブログを読むと、随分、遠慮してる。同じ政治家として『反対組の気持ちも分かるなんて』書いたり、さ。安倍総理に迷惑をかけたくないと思ってるんだろうけど、山本一太らしくない。政界の感覚では『郵政民営化に賛成する』と姿勢を変えたんだからいいじゃないかとなるのかもしれないけど、選挙で自民党の候補者を選んだ有権者には説明がつかない。政治家と政治家の関係で考える問題じゃない。政治家と国民の約束という面から見るべきじゃないか!!そこをないがしろにするようなら、もう2度と自民党は応援しない。ま、山本一太だけはしょうがないけど、な。」 

 

 とどめの一発があった。「オレも安倍さんには期待してる。一太さんの本も買って読んだし、安倍さんの外交姿勢も立派だと思うよ。でも、国民に説明がつかないことはやっちゃいけない。復党問題が変な決着になると、一太さんが一生懸命応援してきた安倍さんだって、『なんだ、安倍さんも曖昧で、分かりにくいことをする古いリーダーじゃないか』と思われかねない。いったん、清新なイメージが壊れてしまうと、これはなかなか回復出来ないよ!!」

 

 次のように反論するのが精一杯だった。「おっしゃることはよく分かります。しっかり胸において置きますが、ひとつ言わせてください。安倍総理は根っからの改革派ですよ。国益のためには批判を恐れずに行動する胆力もあるし、包容力もある。回りが思っている以上に、戦略的でしたたかな面もある。来年の参院選挙を乗り切れば、きっと『本格政権』になると確信しています。復党問題についても、いろいろと悩んでるところはあると思いますよ。そこは小泉さんのように非情になり切れない面がある。そこが安倍さんの魅力でもあるんです。復党問題の件は...最後は(幹事長と相談して)『きちんと説明のつく形』におさめてくれる。そう信じてますから!!」 熱血漢が笑いながら言った。「一太さんて、本当に安倍さんが好きなんだねえ!!」

 

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