9月6日:パート2




 結論から言うと、山本一太と世耕弘成は、安倍総理を守るために「スクラム」を組まなければならない。そして、本当の「信頼関係」を築くために、今回の「直滑降レポート」は避けて通れない。「本音」をぶつけ合わなければ、先には進めないからだ。世耕さんには悪いけど、思っていることをそのまま書く。「YS懇談」を真の「同盟関係」として定着させるために。

 

 過去8年間、自分より2年遅れてデビューした世耕弘成参院議員とは、いろいろなことを一緒にやってきた。総理の訪米に勝手に同行した(?)「勝手補佐官」、候補者ディベートの司会を2人で務めた「インターネット総裁選挙プロジェクト」、5人の仲間とポケットマネーを出し合って開催した「マニフェスト策定セミナー」(*河野太郎の総裁選挙公約の骨子にもなった)、「新世代総理を創る会」、「改革決死隊」等々。もちろん、総裁選挙でも安倍官房長官を共に支援する「同志」だ。頭の回転も早いし、行動力も抜群。度胸もある。メディア戦略の分野では、他の追随を許さない「優れたセンス」の持ち主でもある。昨年の郵政改革選挙の際、彼が率いた「コミュニケーション宣伝チーム」の活躍は(最も大きな勝因は小泉首相というカリスマがいたということに尽きるが)与党の勝利に大いに貢献したと思う。

 

 ところが、昨年の総選挙が終わったあたりから、その世耕氏の政治行動に「違和感」を憶えるようになった。ひとことでいうと、あまりにも「処世術」がうまくて、自分だけは傷つかないように行動するパターンが目についたからだ。「ポストを得なければ何も出来ない」というゴルバチョフ理論(?)なるもののためか、昔のような「信義のかけら」を見つけられなくなった。口では「一太さん。僕も同じこと(安倍支持を公言)をやってます。一太さんばかりが責任を問われるようなことになったら一緒に戦いますからね」と言うものの、肝心な時にはいつもいなかった。過度に「八方美人」で、実力者のご機嫌をうかがってばかりいるように映った。出世コース(?)が見えてきたために、「戦うこと」より、常に「損をしない」ことを優先するようになったんじゃないか。少なくとも、自分にはそう見えた。

 

 具体的なエピソードやこれ以上の詳細は書かない。世耕氏が「嫌なヤツ」だと思われても困るからだ。正直いうと、「嫌いな政治家のリスト」に入りそうになった時期もあった。(笑)(*むこうはとっくに「要注意リスト」に入れていたかもしれない。)ふうむ。もしかすると、昨年の総選挙以降、急激に存在感を増してきた5つ年下の同僚議員(*同い年くらいに見えるでしょう?)に対するライバル意識?(警戒心、嫉妬??)もあったかもしれない。うーん。それもあったのかなあ。

 

 ある時、妻から「あなたって、心が狭いわね」と言われて、ハッと気がついた。「あなたは普通じゃないんだから。他の人が同じような行動をとれるなんて思わないほうがいい。」とも。そこで「あたり前の事実」に気がついた。人間は皆、パーソナリティーが違う。他人が自分の期待したとおりに動くはずがない。相手の立場に立ってみれば、同じ現象についての解釈は180度違ってくるものだと。

 

 「派閥の長から吊るしあげられても、全く発言を変えない」とか、「地元の選挙区事情を考えずに安倍支持で突出する」とか、「新総理から重要ポストに抜擢されても(あり得ないけど)絶対に受けないと宣言する」とか、そんな行動をすること自体が(永田町の常識からみたら)「異常な振る舞い」だ。え?世耕氏は「優等生」で要領が良すぎるって??よく考えてみたら、政治家がある程度「八方美人」なのは当然だ。彼のやっていることは政治家なら誰でもやっている普通の「処世術」ではないか。世耕氏がテレビの画面や部会等で「政敵と激烈にやり合う」とか、実力者に面とむかって異論を唱えるとかいうことをしないのは、彼の「育ちの良さ」とか「良識」からくるものではないか。最近、やっとそう思えるようになった。それに(好き嫌いはともかく)世耕氏の「人間性」を疑う人は誰もいないだろう。

 

 自分にとってはもっと大事なポイントがもうひとつある。それは、世耕氏が「安倍さんにとって大事な存在かどうか」という点だ。これは紛れもなく「イエス」だ。4時間のYS懇談の中で改めて分かった。世耕氏は安倍長官を心から支えたいと思っている。そして安倍長官は、世耕氏のことをとても信頼している。安倍氏の近くでここまで一生懸命、心を砕いて安倍さんのために尽くしている政治家は他に見あたらない。安倍氏の出馬記者会見のセッティングは見事だった。安倍総理の「コミュニケーション戦略」に欠かせない人材であることを改めて証明することになった。




 さらに(安倍側近と言われる政治家たちの中でも)「政治センス」は頭ひとつ抜けている。その証拠に「YS懇」で交わされる情報は「やばすぎて」(笑)レポートに書けない。安倍長官と連絡を取り合っているからこそ分かる緻密な世耕情報と山本一太の独特の情報プラス政治感覚みたいなものが合体すると、表面的には分からない政局の様々な「構図」が浮かび上がってくる。こうしたことをすべて考えあわせると、自分には世耕氏と「チームを組む」以外の選択肢はない。

 

 マスコミ報道によれば、世耕弘成氏が9月の組閣で抜擢されるのは間違いなさそうだ。ここまできたら(石にかじりついても)「安倍チーム」に加わって欲しいと思う。どこかの省の大臣ではなくて、(出来れば)「官房副長官」か、第一号の「内閣広報官」になってもらいたい。いや、ポストの肩書きは何でもいい。とにかく、近くで安倍首相をサポートする役割を担ってもらわないと困る。

 

 もうゴチャゴチャ細かいことは言わない。世耕弘成氏には中から(表舞台で)安倍首相を支えてもらう。そして山本一太は外から(素浪人として)安倍総理のための援護射撃をやる。イメージもクリーンだし、弁舌も爽やかだ。安倍首相のためにどんどんメディアに露出して、安倍内閣の政策を説明してもらわねばならない。自分は「安倍チーム」の手の届かないところをカバーする。政権にいないからこそ、言えることだってあるだろう。

 

追伸:

1.これから組閣まで「こんな役職(たとえば副長官)についてもらいたい」などということは一切、言わないことにする。「ほめ殺し」(逆効果?)になってしまうからだ。マスコミでは「100%間違いない」などと言われている世耕氏の「官邸チーム入り」は、実は予断を許さない。(安倍さんはきっと決断してくれると信じているが。)この人事を阻止しようとする動きがすでに表面化しているからだ。




 嫉妬(?)も手伝って、最近は「売り出し中の広報スペシャリスト」に対する党内(特に参院内)からの風当たりも強くなってきた。手厳しい「世耕批判」も耳に入ってくる。世耕氏が「安倍側近チーム」(官邸でもどこでもいいが)に抜擢されたら、その時は山本一太が「安倍首相を支える2人の側近」(世耕氏と井上氏)を全面支援する。外からガッチリと守ってみせる。

 

2.「YS懇談」の席でひとつ約束した。もし世耕氏が官邸に入った場合には、毎日1回、「YS懇談」をやる。世耕さん、これは公約だから、ね。(笑)




3.先日、参院森派の会長である同期の谷川秀善参院議員に会った。参院自民党の人事は(依然として)派閥の話合いで決まる。そこで(念のために)谷川氏に次のようなリクエストを出しておいた。「当選年次からいくと、9月の組閣では有力な副大臣候補の1人になります。が、ぜひ、私を推さないでください。副大臣なんかやったら、来年の選挙で落選してしまいます。ポストは何も要りませんから!」