8月21日:パート2

 

 9月の総裁選挙における安倍官房長官の「絶対優勢」が伝えられるにつれて、党内には「バスに乗り遅れるな」症候群が広がりつつある。明らかに「安倍路線」とは違う考え方を持っているはずの実力者たちまでが、次々に「安倍支持」を公言しはじめた。他方、安倍政権を想定した「アンチ勢力」を立ち上げようとする動きもあるようだ。9月20日の決戦に向けて、(何でも先読みして突っ走るマスコミの性質を考えれば)「安倍内閣の組閣はこうなる」とか、「安倍総理誕生で得する人、損する人」みたいな報道がますます多くなっていくに違いない。

 

 いいタイミングなので、山本一太が「早々と安倍支持を打ち出した」ことへの批判に対する「反論のその2」をやっておこう。依然として「山本はポストを狙ってあんなことをやっている!」などとクレームしている方々がいるらしい。これこそ、まさにピント外れの批判だ。(「ばっかじゃねーの!(笑)」)だってそうでしょう。そんなの(普通なら)「あたり前のこと」ではないか!!(笑)

 

 山本一太という政治家が、今回、「安倍内閣が誕生したとしても、ポストは一切求めない(受けない)」と宣言した上で、政治生命をかけて安倍長官を応援してきたこと自体が、「永田町の常識」を逸脱した行動なのだ。(*過去には、ほとんど例がないと思う。)それはそれとしても、「永田町のルール」の権化のような政治家たちに「あいつはポストのために行動している」などという(自分たちが常にやってきた)ことについて、非難を受ける道理は全くない。私の言ってること、おかしいでしょうか?(笑)

 

 与党の国会議員が「総裁選挙」で誰かを一生懸命応援する。ひとりの政治家として「総理になって欲しい」と思う人物を堂々とサポートする。もし敬愛するその政治家が総理大臣になったら、自ら内閣に入って近くで支えたい(政治家として表舞台で力を発揮したい)と考えるのは当然のことだ。

 

 たとえば今、安倍官房長官への支持を表明している政治家たちの中に、ただの一人でも「自分は安倍内閣が出来ても、何のポストも求めない。何の見返りも期待していない」などと本気で思っている国会議員がいるだろうか?(*少なくとも自分が知る限り、そういう議員に会ったことはない。)安倍政権の実現に向けて自らの存在感や貢献度をアピールし、次の内閣では重要ポストを射止めようと競争する。権力闘争の世界で「功名争い」や「猟官運動」が起きるのは自然なことだ。「あさましい行為」でも何でもない。さすがに、外交や内政でも明らかに安倍さんと違う路線をとってきた大物政治家とかが、あまりに簡単に「勝ち馬に乗ろう」としていることについては、違和感がないわけではない。が、それが政治家同士の権力をめぐるゲームというものだ。きれいごとばかりでは通用しない。

 

 以前の「直滑降レポート」でも、発売中の「なぜ、いま、安倍晋三なのか」でも、本音を書いた。自分は過去10年間、ずっと小泉純一郎と安倍晋三という2人の政治家を一貫して応援してきた。特に党内でリーダーの世代交代(新世代総理を創るアピール)の旗を振ってきただけに、安倍さんには人一倍の「思い入れ」がある。

 

 その安倍官房長官が「闘う政治家」として命がけでポスト小泉のチャレンジに名乗りをあげている。本心を言えば、自分だって(矢面に立って)安倍総理のために仕事をしたい。官邸か内閣に入って、あるいは「安倍チーム」の一員になって働きたい。山本一太は敵にしたら面倒臭いが、味方になったら最後まで決して逃げたりしない。政界のどこを見渡しても、自分以上の「覚悟と狂気」を持って「安倍首相を守れる」政治家がいるはずがない。そう自負している。

 

 だから気に喰わない。自分は損しないように、実力者は敵に回さないように、出来るだけカッコよく、スマートに「応援していることをアピールしよう」とする姑息な連中が。「山本一太と違って、オレはうまくやっている」などと思い込んでいる政治家が、とても滑稽でこざかしく見える。だからムカムカくる。本当は自分のことしか考えていないくせに、「山本一太の応援はかえって安倍さんにマイナスだ」などと嘯く政治家の言動に。

 

 この気持ちは、「なぜ、いま、安倍晋三なのか」にも書いた。あまりに「聖人君子」みたいなカッコいいことばかり言っても、回りの人間には見透かされてしまう。不完全な人間としての「本音」(曖昧な感情の部分)に触れなければ、言葉は説得力を持たないと思ったからだ。そういう感情がありながら、自分は(「抜擢される」などという自惚れは持っていないという前提で)戦略的に「ポストを求めない」という選択肢を選んだ。余分な感情や虚栄心をそぎとって、「安倍首相を創る」という目的を達成するために自分の出来る最大限のことを考えた末の判断だった。なぜこのポジショニング(ポストはいらないというスタンス)を決断したのかについては、改めて真意を述べたい。

 

 もう一度だけ言っておくが、自分が9月の組閣で内閣や官邸に入る確率はゼロだ。もともと「抜擢される」可能性もないし、万一そんな奇跡が起こっても、絶対に受けない。その代わり(安倍政権が立ち上がった時には)9月以降は「素浪人」として一生懸命応援する。仮に自分が「安倍チーム」に入ったとしたら、安倍総理のためにはどんな反発を受けることも、どんなにやっかいな敵を作ることも厭わない。安倍内閣が出来たとして、安倍政権の中枢を担う若手・中堅の方々には、ぜひともそういう覚悟で「安倍首相」を支えていただきたいと思う。




 9月以降、「素浪人・山本一太」は(申し訳ないが)安倍チームの面々にとって「うるさい存在」になるだろう。安倍さんの回りにいる政治家の本質を最もよく知っているのは自分だ。中途半端なことをしたり、敵前逃亡したりしたら、その時は「山本基地」から言葉のミサイルが遠慮なく飛んでくることを覚悟していただきたい。

 

 あ、また激しいレポートになってしまった。(笑)続きは次回のレポートで。

 

追伸:安倍選対(正規軍)がいよいよ産声をあげそうだ。ゲリラである自分の役割は「ほぼ終わった」と思っていた。が、そう思うのは少し早いかもしれない。安倍さんのためになるなら「悪役」も喜んで引き受ける。