午後6時。新幹線で東京に向かっている。たった今通りすぎた車内販売のカートには紅茶のメニューがなかった。(怒)ま、いいか。数時間前にある場所で「美味しい紅茶」をいただいたばかりだった。

 

 朝から終日、吾妻郡の企業後援会メンバーを回った。あちこちで、先日亡くなった吾妻地区担当秘書の話題が出た。「一太さん。00さんは大変だったねえ。一生懸命、やってくれたのにねえ」「長い間、いろいろとお世話になりました。なかなか代わりの務まる人はいないと思いますが、皆で力を併せて頑張ります!」と丁重にお礼を言った。 故人の遺族と相談の上、あえて県内の後援会関係者に通知を出すようなことはしなかった。(*地元紙の「お悔やみ欄」に載せただけで、県内から多くの方々が葬儀に参列してくれた。)「ええ?!ちっとも知らなかった」「しばらく顔を見ないから変だと思ってたけど、驚いたなあ」と半分叱られた場所もあった。「吾妻郡」は自分が生まれ育った地域。選挙では常に高得票をマークする「牙城」だ。早急に体勢を立て直さないと。

 

 さて、昨晩、9月の総裁選挙の有力候補として取り沙汰されていた福田康夫元官房長官が、「総裁選に出馬しないと正式に表明した」というニュースが飛び込んできた。ご本人の説明では、「自分が出馬すれば靖国参拝が争点になる。国論が2分するような状況は国益にそぐわない」「世代交代を逆行させるべきではない」等が不出馬の理由ということだった。

 

 マスコミ等の報道では、「国会議員票でも、党員票でも、安倍長官の優位は動かない」などと分析されていた。が、万一、福田元長官が出馬したとしたら、(結果はともかく)「大変な選挙」になっていたことは間違いない。福田元長官としては、対中政策や東アジア外交に関して安倍長官と温度差があったとしても、「日本の首相を決める選挙で『靖国参拝問題』ばかりがクローズアップされ、国論が2分しているかのような印象を内外に与える状況は外交上のマイナスになる」と、純粋にそう考えたのではないかという気がする。福田元長官には(あの世代の多くの政治家と違って)「利権の匂い」もなければ、「ドロドロした損得勘定」というものが全く感じられない。この点では、小泉総理と似ているところがある。

 

 「直滑降」レポートにも、繰り返し書いた。どんな状況になろうと「安倍支持」のスタンスを変えることは出来ないし、そのことによって生じるリスクやマイナスは最初から覚悟していると。それでも、総裁選挙が「新旧官房長官の対決」になることは、自分にとって「辛い選択」を意味していた。必ずそうなると確信していた「最悪のシナリオ」は、一応、回避された形になった。だからといって、「地元の反発がすぐに解消される」とか、「選挙が有利になった」などとは露ほども考えていない。が、ここ数ヶ月、苦しい立場に立たされていた地元スタッフは「安堵」しているにちがいない。

 

 福田元長官の不出馬が確定的になったことで、総裁選挙が「安倍氏の独走になる」かのような憶測が飛び交っている。が、自分は全くそんなふうに思っていない。総裁選挙の告示まで、あと1ヶ月半以上ある。政局なんて1週間あれば激変する。(*「オセロ政局」が最近の流行だ。)党内の「アンチ安倍勢力」だって、このまま手をこまねいているはずがない。安倍路線を批判する「強力な対抗馬」だって必ず擁立されるだろう。思わぬ「ダークホース」が出現する可能性だってある。だから、「ちびゲリラ作戦」は最後まで貫徹する。一切、手を抜かないでやる。

 

追伸:「美しい国へ」(安倍晋三著)の第4章を読んだ。とても面白かった。あと3章残っているが、この新書はきっと多くの人に読まれると思う。「つまらない本」は絶対に売れない。「売れていない本」を(表面的には)「売れているように」みせたり、数字だけは上がっているように繕うことは可能だろう。が、そんなことをしても、社会には何の影響力も及ぼせない。




 「なぜ、いま、安倍晋三なのか」にメッセージ力があれば、読みたいと思う人が出てくる。自然とアマゾンに「書評」を書いてくれる読者が現れるはずだ。この「本」は、政治資金パーティーで配るために書いた「本」ではない。どこかの組織に購入を頼んで「業績」のつじつまを合わせるなんてことはしない。現時点で山本一太という政治家が発信した「思い」にどのくらいのインパクトがあるのか。「等身大の波紋」をこの目で確かめてみたい。