午前11時。新幹線で東京に向かっている。昨晩は石川県の加賀温泉で一泊。夜の宴会では、後援会女性部の面々とゆっくり話すことが出来た。皆、とても優しかった。カラオケタイムでは3曲も歌ってしまった。久々に5時間以上の睡眠時間を確保した。

 

 食事前の短いスピーチでは、総裁選挙のことは触れなかった。が、宴会の会場をお酌に回った際に、何人かがこう声をかけてくれた。「一太さん。信じたとおりにやればいいわよ。」「皆、ちゃんと見てますからね。山本先生らしく頑張ってください。」「いろいろとあるみたいだけど、私たちは何があっても、応援するから。来年は大変だものね。」

 

 今朝は午前7時30分から一行とともに朝食をとった。ホテルの前で全員が乗り込んだバスを見送ってから、タクシーで加賀温泉駅へ。特急「しらさぎ」で米原まで行き、そこから東京行きの「ひかり」に乗り換えたというわけだ。

 

 さて、ここからはスキャンダル騒動の続き。米原駅で記事が掲載されている週刊誌を買った。昨晩、東京の秘書からの連絡で「記事の概要」は分かっていた。が、今日の発売を待ってレポートを書くことにした。先ほど米原駅の売店で週刊誌を買い、新幹線の車中でじっくりと「問題の記事」を読んだ。

 

 ええと、記事の長さは1ページで、ワイド特集の一つという扱いだった。記事のタイトルは「安倍応援団長・山本一太がひた隠す朝日記者の履歴」ですか。(*「ひた隠していた」(笑)わけじゃないんだけど、ま、前のレポートに書いたとおり、「朝日新聞の記者を2ヶ月やっていた」ことは事実だ。)

 

 記事の内容は意地悪なトーンではあるが、とても「スキャンダル報道」と呼べるようなものではない。そりゃあ、そうだ。どうやっても、ここまでしか書けないだろう。だって、「記者時代に捜査情報を亡父に渡した」ということ自体が全くの「事実無根」なのだから。いくら調べても証拠なんて(最初から)見つかるわけがない。しかも、20年前の話だ。

  

 「実名で署名記事を書く」ということには、責任が伴う。逆にいえば、フリージャーナリストと呼ばれる人々は「リスクをかけて勝負している」ということだ。政治とジャーナリズムの間には「緊張関係」があって当然だし、政治家になった以上、多少なりとも知名度や存在感が出てくれば、ある程度の「批判」や「中傷」は覚悟しなければならない。それが自分の政治活動に大きな影響を及ぼしたり、人間としての名誉に関わるような不当な攻撃だったら、あらゆる手段で対抗措置を取る必要がある。が、この程度の記事を書かれたくらいで、取材に来たジャーナリストにクレームをつけたりするつもりはない。バタバタ騒ぐほどのことでもない。 ただし、この「ガセネタ」を流した「地元関係者」だけは許せない。情報の「発信源」だけは突き止めておかないと、必ず禍根を残すことになる。

 

 それはそうとして、いくつか記事についての「感想」を述べたい。まず、「経歴の隠蔽は有権者に対する背信行為だ」というフレーズがあって、その後に「千葉県の衆議院補欠選挙で当選した民主党の女性候補が選挙中にある経歴を暴露されて慌てて申し開きをした」となっているが…あのケースと今回の話は違う。(笑)個人的には「職業に貴賎はない」と思っているので、千葉の女性代議士が「弁明した」のかどうかは分からない。が、少なくとも自分にとって「新聞記者の経験をした」ということは恥ずかしい過去ではない。「2ヶ月でやめてしまった」ことはかっこわるい失敗だとしても。

 

 「20年前の収賄事件で捜査対象になった(?)草津町の元町長が、亡父から(自分を通じて)捜査情報を得ていた」という根も葉もないストーリーに関しては、山本一太の有力地元後援者からの伝聞という形で次のように書かれていた。「一太君は駆け出し記者としてサツ回りをしていましたが、この時、親父さんの盟友だった(群馬県)草津町の町長が贈収賄事件の容疑者として捜査対象になった。それで心配して捜査の動きを親父さん経由で伝えていた。結局、町長は翌年1月の町長選への再出馬を断念、3月に起訴猶予処分となり事件は終結しました。この経緯は後日、町長から聞きましたが、ずいぶん感謝していましたよ」

 

 ふむ。山本一太の「有力支持者」みたいに書いてあるが、これは違うな。「有力な後援者」がこんなことを言うはずがない。どうみても「後援者」ではなく、「政敵」だ。「この経緯は後日、町長から聞いた」だって? 町長も父親ももう亡くなっていて事実を確かめようがない。それが分かって言っている。なんて卑怯なコメントだろう。

 

 午後から東京日程だ。幾つかの会議やブリーフィングの合間を縫って、まず東京での「情報収集」を始める。総理官邸の飯島秘書官にも会っておくことにしよう。「逆探知オペレーション」の成果が上がったら、このレポートを通じてで報告する。「直滑降」に新しいシリーズが加わった。ええと、タイトルは「スキャンダル発信源、逆探知プロジェクト」なんてどうだろうか。(笑)

 

追伸:

政治家には「被害妄想にならない程度の」推理能力とイマジネーションが求められる。アガサ・クリスティーの小説に出てくる「名探偵ポアロ」のような「灰色の脳細胞」は持っていないが、山本一太の「空色の脳天気細胞」を働かせると「様々なシーンやセリフ」が心のスクリーンに浮かんでくる。

取材したマスコミ関係者(?)と情報提供者の間にこんな「やり取り」があったかもしれない。(*あくまで、私自身の想像であって、事実に基づくものではありません。)

某地元関係者:「君ねえ。なんかいろいろと嗅ぎ回っているようだけど、そんなことよりもっと面白い話があるんだよ。」

マスコミ関係者:「え?それは何ですか?」

某地元関係者:「うん。山本一太に関するスキャンダルだ。これを出したら大変なことになる。」

マスコミ関係者:「それはすごいですね。ぜひ、教えてください。」

某地元関係者:「君は山本一太が昔、朝日新聞の記者だったことを知ってるかね?」

マスコミ関係者:「いや、初耳ですね。経歴には出てませんよ。」

某地元関係者:「そうだろう。それは書けない理由があるからなんだ。」

マスコミ関係者:「どんな理由なんでしょうか?」

某地元関係者:「いや、山本一太が福島支局で記者をやっていたのと同じ時期に、福島が震源地になったある贈収賄事件があってね。それに山本の地元の当時の町長が絡んでるんだ。親父さん(山本富雄)にも関係がある。ザッというと…みたいな感じだ。ちょっと調べてみたらどうかな。」

マスコミ関係者:「分かりました。さっそく関係者にあたってみましょう。」

 もう一度言っておくが、これは単なる自分の想像だ。こんな会話はなかったかもしれない。が、せっかくなのでもう少し「小説家」の才能(?)を披瀝しておこう。(*たまにはこんなバカなことを書くとストレス解消になるもんだな。)

 

某地元関係者:「どうかな。いろいろ分かっただろう。」

マスコミ関係者:「ええ、地元や東京で関係者に取材して、なんとなく全体のストーリーが浮かび上がってきました。」

某地元関係者:「うん。とにかく山本一太が総裁選挙で取っている行動は許せない。誰のおかげで国会議員になれたと思ってるんだ。身の程知らずもいいところこだ。もう少し、どんな行動をするかを見極めた上で、決定的な情報を渡すよ。とにかく、一番タイミングのいい時を狙って出したほうがいいからな。」

マスコミ関係者:「分かりました。また相談に来ますよ。」

 今回の「スキャンダル情報」を流した人物が、どのくらい亡父と親しかったのか、どんな関係にあったのかは分からない。が、少なくとも「亡父に好意を持っていなかった」ことだけは確かだ。そうでなければ、亡くなった人間の「名誉を汚す」ような悪意に満ちた行動を取るはずがない。(*あ、もう東京か。)とにもかくにも、こんな卑劣な連中に負けてたまるか!!