何度もこの「直滑降」に書いた。自分は「聖人君子」ではない。欠点だらけの、不完全な人間だ。だから、あまりカッコいいことは言いたくない。今回も「本音」のレポートで勝負する。

 

 この5年間、小泉総理の改革を一途に応援してきた。小泉外交についても、一貫して総理の立場を擁護してきた。自分ほど「損得抜きに」小泉首相を支持してきた政治家は数少ないと思う。特に昨年9月の解散総選挙の前後は、「四面楚歌」の中で「解散支持」「改革支持」の論陣を張った。衆議院選挙後の組閣では、一部マスコミから「入閣候補」の1人にあげられたりした。(*ま、これは飯島秘書官の宣伝のお陰だろう。(笑))

 

 正直言って、小泉総理を応援することで「いいポストに抜擢してもらおう」などと考えたことはただの一度もない。「ポストに興味がない」からではなくて、小泉首相が参院対策を「青木氏に丸投げしている」状況の中で、「山本一太の抜擢」などといものは「論理的にあり得ない」と最初から考えていたからだ。つまり、小泉総理の目から見て「青木氏との戦略的同盟に多少のダメージがあっても登用するだけの存在感やメリットが自分にはない」という冷徹な事実をちゃんと受け止めていた。自分にとって、「小泉総理を一生懸命応援してきた」ことの最高の勲章は、解散の後に総理官邸で小泉首相から言われた「ありがとう!」という言葉だった。(*このエピソードについては、改めて書きたい。)

 

 しかしながら、(これも正直に言うが)安倍官房長官が総理大臣になった時は、「ぜひ近くで支えたい」と思っていた。「別に大臣でなくてもいい。たとえば、官房副長官とか、あるいは首相補佐官とか、近くでサポート出来るポジションがあったらいいのに」と考えていた。「安倍内閣が誕生したら、生まれて初めて猟官運動をやろうかな」と思ったことさえある。それは、「新世代総理は、新世代のグループが支えないといけない。回りを見渡しても、この世代で山本一太以上の戦闘力(行動力と覚悟)を持った政治家は見当たらない。24時間、安倍総理のために走り回って、政権への攻撃や陰謀と戦い、身体を張って次世代総理を守れるのは自分だけだ」という確信(というか僭越な勘違い?(笑))があったからに他ならない。

 

 しかしながら、ある時からそういうケチな考えは捨てた。だいたい、自分が側にいなくても、安倍さんの回りにはもっと有能で、力のある同志が大勢いる。それより何より、ポスト小泉に向けて「安倍応援団の急先鋒」として突き抜けていく戦略を固めた以上、「あいつはポスト目当てでやっている」と言われることは、自らの発信力や説得力を弱めることになってしまう。要は「安倍総理」を創るために最も効果的な方法を考え、実行するということだ。

 

 永田町の実情を知っている人からは、「安倍さんが山本一太程度の政治家を抜擢するなんて、もともと考えてないよ!」と言われるかもしれない。同僚議員からは、「まだ頼まれてもいないのに、自意識過剰だ!」と笑われるかもしれない。山本サポーターからは、「わざわざ損になるようなことは言わないほうがいい!」と諭されるかもしれない。でも、事情を知らない一般国民の中には、「安倍総理になったら、山本外務大臣じゃないか」などと「500%あり得ないこと」を本気で考えている人が意外に多い。だから、ここでハッキリさせておきたい。

 

 4ヶ月後の自民党総裁選挙で「安倍内閣総理大臣」が誕生したとする。自分はこの内閣で「重要ポストをせしめよう」などということは、一切考えていない。万一、安倍総理から要請されたとしても(*そんなことはないと思いますが(笑))、大臣はおろか、副大臣も受けるつもりはない。だいたい「政治基盤」が固まるまでは、あちこちから協力を得なければならない。山本一太なんか「重用」したら、それこそ安倍首相にとってはマイナスだ。もう一度言っておく。安倍晋三という政治家を総理にしたいのは、それが自民党政権にとって「最後の希望」であり、「日本の国益」だと信じているからだ。

 

 「安倍支持」を叫び続けていることで、所属派閥では「除名寸前」の状況に追い込まれ、仲間からは「魔女狩り」の対象にされている。選挙区では、「同郷の先輩を応援しないとは何事だ」と叱られ、そうでなくても苦戦が予想される来年の参議院選挙は、更に厳しい戦いを余儀なくされる。「アンチ安倍勢力」からも、「ふわーっと勝ち馬に乗りたいグループ」からも反発を受け、「突出しすぎだ」とか「そいうことは、かえって安倍さんのためにならない」などと批判される。加えて、安倍内閣が実現したとしても、何の見返り(ポスト)もない。

 

 それでも「安倍総理を作りたい」と言い続けている。その意味を国民と党員に感じ取ってもらいたい。その理由を、言葉だけではなく、行動で伝えていきたい。小泉総理が教えてくれた。人の心を動かすのは「捨て身のメッセージ」だけだ。