一昨日の晩、日本経団連会館で行われた経団連と参院自民党の懇談会に出席した。 立食パーティーの会場で奥田会長を発見。 2人の参院議員と何やら話し込んでいた奥田氏のすぐ近くに立って、話しかけるチャンスを待った。 2人の同僚議員が離れた瞬間に、すかさず割り込んだ。 「奥田会長、山本一太です。ご無沙汰しております」と話しかけた。 「経済界のカリスマ」はニッコリしながらこう言った。 「あ、山本さん。あなたは参議院議員だったかなあ。衆議院議員だと思ってましたよ。 相変わらず、元気よくやってるじゃないか。(笑)」 

 

 そこからこんなやり取りが続いた。 「いやいや、いつも偉い方々から怒られてばっかりなんです。」「え?偉い人って、誰に怒られてるの?」 「まあ、参院の幹部とか、派閥の偉い方々とか、いろいろです。」「ふうん。でも、(どこの世界でもそうだけど)『年寄り連中』は若い者が何かをやれば、面白くないんだから。 必ず邪魔するんですよ。 そんなこと気にすることはない。 坂本龍馬じゃないけど、頑張ってください。 期待してますからね!」 そう言えば、昨年同じ会で会った時にも、同じようなことをおっしゃっていた。 奥田さんて、きっと様々な前例や古いルールを打ち破って、勝ち抜いたきた人なんだと思う。

 

 通常ならここで奥田会長との会話は終わりになるところだ。が、もう一歩踏み込んで、こう聞いた。 「ところで、会長、経団連の立場は『JBIC存続』だとうかがってますが、本当でしょうか? 党としては、国際金融と円借款を切り離すという方向を決めました。 そこのところは、会長にもぜひご理解をいただきたいと思っています。」 奥田会長は、「ええと、それは機能を分ける話か、それとも組織のことですかね」とつぶやきながら、「まあ、いろいろなこところから、いろいろな話があるので…」と話していた。(*詳細は書かない。ご迷惑をかけてもいけないので。) この間、約10分。会の主役(VIP)をあまり独占してもいけないと思って、待機組にチャンスを譲った。

 

 近くで聞いていた経団連某幹部が近づいてきて、次のように言った。 「山本さん。ODAの問題ではご苦労様です。経団連としては、JBIC機能存続という立場なんですよ。 今日の関係合同部会で大勢を占めた『国際金融と借款を切り離す』という議論、あれが党の正式方針なんですかねえ。」 その後、様々な言葉のピンポンがあった。が、詳細には触れない。 こちらから次の点だけ繰り返し伝えておいた。 「近く、小泉総理と奥田会長が個別に会われると聞きました。 この時、奥田会長のほうからJBICの組織問題について、党の方針と違うような意見が出されたりすると、ちょっと心配な事態になります。 そうなると、総理にも迷惑がかかるし…。 そういうことがないように、ぜひ会長にも話しておいていただきたいんです。」(*まさに『直滑降』的アプローチだな。(笑))

 

 JICAの緒方貞子理事長を招いて行われた8日(一昨日)の合同部会(オープンな議論)では、「援助のツール(技術協力、無償、円借款)はまとめたほうがいい。」「国際金融と円借款は機能が違う。」「JBICから円借款の部分を切り離してJICAと統合することは、昨年末の合同部会ですでに決まったことだ。」という意見が8割を占めた。 閉会の前に、政策金融合同部会座長の園田博之氏からも、又、党行革本部長の衛藤誠士郎氏からも、「JBICから円借款を切り出すことは、党の正式な方針だ。これを変更することはない!」という見解が改めて表明された。 が、国際金融と円借款を切り離すことが出来るかどうかは、依然、予断を許さない。 官房長官の下に設けられたODA有識者会議では「異なった結論」が出される可能性もある。 何よりも、あの「戦闘意欲旺盛な」財務省とJBICが、このまま手をこまねいているハズがない。

 

 このレポートにも何度か書いた。 「JBICから円借款部分(旧OECF)を切り離して、JICAと統合させる。」 このことが出来なければ、今回の戦いは自分の「負け」だ。 負けたらどうするか? もちろん、簡単にあきらめたりしない。 舞台を移して戦い続ける。 参院ODA特別委員会と外交防衛委員会で、毎回質問に立ち、徹底的にこの問題を取り上げる。 武見敬三氏や舛添要一外交防衛委員長とスクラムを組み、委員会の場でJBICという組織の問題点を洗いざらい調査し、質していく。 国民の代表である1人のLawmaker(しかも与党の議員)が本気で動いたら、ここまでのインパクトを与えられるということを示してみせる。 野党やメディアも巻き込んだ「騒動」になる可能性もある。が、国益(JBIC解体の流れを復活させる)のためにはやむを得ない。

 

 財務省にもJBICにも全く恨みはない。が、今回の結果によっては「ドッグファイト」になることは避けられない。 財務省の機動力やネットワークは全く侮れない。(お互いにとって)「長く辛い」戦いになるだろう。