午後3時30分。新花巻駅から東京方面に向かう新幹線の中でパソコンを引っ張り出した。 前の席には岸信夫参院議員(=安倍官房長官の弟)が座っている。

 

 岩手県の県議補選に立候補した候補者の応援に入った。森派の先輩議員である玉澤徳一郎衆院議員から「強い要請」があったからだ。(*『ガハハハ、あんたのこと、岩手でも、みんなが知ってるんだよー』って、本当かなあ(笑)) 市内の大型スーパーの前で行われた街頭演説会に参加。遊説車のステージの上から約15分の応援演説を炸裂させた。スピーチの後、遊説カーから飛び降りて、集まっていた支持者(約100名の聴衆)の中をスラロームした。1人1人と握手をした。 「あんた、テレビで見るより、実物は100倍、元気だなー!」「声がでっかくて驚いたよう!」 岩手県の人って、正直で、とてもあったかい感じがする。

 

 街頭演説終了後、候補者の選挙対策事務所を訪問。ここで玉澤代議士や岸参院議員と一緒に昼食をとった。食事の後、事務所のスタッフや激励にやってきた支持者を前に、玉澤氏が再び演説した。「えー、本日、山本さんと一緒に応援に来てくれた岸さんは、あの岸信介元総理の孫。そして安倍晋三官房長官の弟さんにあたるわけであります。安倍家はこの東北地方を治めていた豪族、安倍一族の末裔。安倍の貞任・宗任の血筋です。ここらへんにも源氏(八幡太郎義家)に滅ぼされた安倍の落ち武者が大勢いた。つまり、我々のDNAにはこの岸さんや安倍さんと同じものが流れているということなんですよ。(*へえ、山口県の安倍家は、あの安倍一族から来ていたのか。)」

 

 玉澤徳一郎氏といえば、防衛庁長官も務めた重鎮。「小沢王国」と呼ばれる岩手県で孤軍奮闘している。親分肌で義理人情に厚い岩手人だ。森会長の下に設けられた4人の代表幹事の1人、すなわち森派の最高幹部でもある。その玉澤氏から(この後)驚くべき発言が飛び出した。 「えー、私は安倍晋三官房長官のことを(安倍の貞任・宗任にちなんで)安倍の晋三さんと呼んでいます。いいですか、皆さん。今からお願いしておきます。この安倍の晋三さんは…」(*ここからはちょっと書けない。ぐっと我慢する。)玉澤氏がニコッとしながら小さな声で囁いた。「おい、山本君。これは森会長に内緒だぞ!」

 

 「玉澤先生、私もスピーチさせていただいていいですか?」 そうお願いして挨拶に立った。山本スピーチの中身も…やっぱり書けない。が、玉澤代表幹事の「問題発言」(笑)を聞けただけでも、岩手まで行った甲斐があった。 玉澤先生。今日のスピーチの中身は(約束どおり)「直滑降レポート」には書きません。が、おっしゃったことは、私の心のメモリーチップにしっかりと刻みました。この点は、ご了解ください。(笑・笑)

 

追伸:

1.永田町(政界)には、「触媒の法則」というのがある。誰かが勇気を持って発言したり、覚悟を決めて行動したりすると、それが回りの賛同や反発を生む。結果として「さらなる発言や行動」を誘発する。 このウェイブの中で、個々の議員の性格や本音が浮かび上がってくる。新たな「サムライ」や「小心者」が再発見されるというわけだ。

2.それにしても、安倍官房長官の家系が、11世紀初めの「前九年の役」で源義家に滅ぼされた東北地方の「安倍一族」に繋がるとは知らなかった。 そう言えば、中国地方に「安倍」という字の性は、ほとんどないらしい。

3.ううむ。玉澤さん。あまりに思い込みが激しかったり、話が長かったりするけど…。人情家だし、正直だし、嫌いじゃないなあ!!