午後5時。 赤坂プリンスホテル1階のホールで、清和政策研究会(森派)の「新年総会」が行われた。 会場に置かれた8つの(?)丸テーブルに、8,9人ずつ別れて座った。 夕食がセットされていた。 派閥の役員と新たに派閥入会が決まった新人議員がステージに近い指定席に陣取り、残りは自由席だった。 ステージから見て二列目の右から2番目のテーブル席を確保した。 左は小林温参院議員、右は山谷えり子参院議員だった。

 

 総会が始まる前に、マスコミ各社の「頭撮り」があった。(*あれえ? メディアはシャットアウトじゃなかったのか。) カメラと記者が退出した後で、森喜朗会長が挨拶に立った。 座っていた椅子の向きを変え、森会長がまっすぐ見える位置にリセットした。 

 

 スピーチの中身は大きく言って2つ。1つは、「小泉首相は、我がグループから出ている総理。派閥が一致結束して小泉改革を最後まで支えていかなければならない。ポスト小泉などと言う前に、それぞれが先ず国会を乗り切ることに全力を尽くすべきだ!」ということ。 もう1つは、「ポスト小泉では我が派に2人の有力候補がいる。 今の時点から、自分は『00を支持する』などと発言することは、厳に慎まなければならない!」ということだった。 さらに、「今までは党内融和を考えて優しくやってきた。が、これからは厳しくやる。 自分は怒ると恐い!」とも言った。

 

 ここから、やや厳しい口調に変わった。 「このグループのメンバーの中にも、ポスト小泉は00がいいなどと発言したり、『派閥が割れても仕方がない』などと言っている人間がいる。」 その後、いよいよ演説のハイライト(?)に突入した。森会長がこちらを見ながら、こう続けた。「今までは我慢してきたが、ハッキリ言う。特に、山本一太君、君だ。君はあちこちでずっと『安倍さんがいい』と言い続けてきた。 今後もそんな発言を続ける人には、この派閥を出て行ってもらう!!」 ここで条件反射のように「今の会長のお話は…」と言おうとしたが、「もし反論があるなら、後で言ってくればいい!」という言葉に遮られた。 まあ、こんなところで「言い争い」になってもみっともない。 大人しく最後までスピーチに耳を傾けることにした。 予想したよりは「ソフトな表現」だった。

 

 断っておくが、自分は森喜朗会長のことが、けっして嫌いではない。(*むこうは相当、嫌いみたいだけど…(笑)) 10年前、亡くなった父の後継候補として立候補した際には、三塚派の最高幹部として、わざわざ群馬県まで応援に来てくれた。 政界に入った後も、義理人情に厚く、気配りの細かい森会長には、いろいろな場面でお世話になった。 そのことは忘れていない。 元旦の「朝まで生テレビ」で司会の田原総一郎氏から「森さんのこと、どう見ているの、山本さん!」と聞かれて、「いや、チャーミングな人です!」と答えたのは皮肉でも、冗談でもない。 

 

 だから、森さんが以前、あるパーティーで会った他派閥の若手議員(具体的には大村秀章代議士)に、「山本一太と一緒に何かやるのは、あなたのためにならない!」という意味のことを言ったとしても、同じ派閥の同僚(具体的には世耕弘成参院議員)に、「(仲がいいんだから)最初からすべての誘いを断るのは難しいだろう。山本に2回声をかけられたら、1回は断るようにしたらどうだ?」とアドバイスしたとしても、ある著名なマスコミ人に、「山本一太をあなたの番組に出さないでくれ!」と頼んだとしても、某テレビ局の偉い人に、「山本一太を使うな!」と示唆したとしても、さらには(草津温泉の老舗旅館の息子として)10年間一生懸命務めてきた観光関係の議員連盟の事務局長を、「全国旅館組合の長として参院選比例候補に立った候補者を(議員連盟事務局長として)当選させることが出来なかった&ポスト小泉でけしからん発言をしている」という理由で突然「解任された」としても、森会長を恨んだりしていない。 苦しかった最初のデビュー戦で助けてもらったこと思い出すと、とても「嫌いになんて」なれない。 そうでなければ森内閣が支持率6%を切った時期に「勝手補佐官」などというグループを立ち上げて、テレビの討論番組や地元の集会で「集中攻撃」を浴びるようなバカなことをするわけがない。

 

 正直言って、森会長の考え方は「座標軸が古い」と感じることもある。 「どうしてこんなに細かいことで怒るんだろう」と思うこともある。が、少なくとも公の場(活字メディアのインタビューやテレビカメラの前)で森会長の「悪口」を言ったことは一度もない。(と思う。) 上記のこと(森会長に対する気持ち)を踏まえた上で、本日の会長スピーチに反論させてもらう。 と、ここまで書いたところで、午後11時を回った。 この続きは「山本一太君、君のことだ!:その2」で。

 

追伸:

1.派閥総会の会場を出たところで、テレビカメラに囲まれた。 「森会長もいろいろなことを考えておっしゃっているんだと思います。が、今日の発言を踏まえた上で(それでも)安倍総理がいいと言い続けるつもりです。安倍内閣の実現のために努力したいと思います!!」と答えた。 幸か不幸か、このインタビューは今晩のニュースでは使われない。直感的にそう思った。(大事件だらけだもんなあ。)

2.ああ、またODA(JBIC問題)のことに触れられなかった。 ふう。毎日、あまりにいろいろなことがありすぎて、あまりに発信したいことが多すぎて…とても書き切れない!!

3.総会では、あえて「反論」しなかった。森会長のテーブルにもいかなかった。派閥のルーキーたちの前で「内輪もめ」みたいなシーンを見せるのはよくないと思った。感情が高ぶって、森会長に対して「失礼な態度」を取ってしまったり、「激しい言葉」をぶつけてしまうようなリスクを避けたかったからだ。