自分が出演したあるテレビ番組のために、多忙な安倍官房長官が映像の応援メッセージをくれた。「ええと、山本さんは、永田町では『コントロール不可能な政治家』と呼ばれてまして…」などという言葉が並べられていた。何かの集まりで安倍さんが「山本一太」を紹介する時は、「山本さんは、『森派のクラスター爆弾』とも言うべき人物で…取り扱いを間違えると大変なことになります!(笑)」というのが決まり文句だった。「取り扱いの難しい爆弾」から「コントロール不可能な政治家」という表現に変わった。政治家としての破壊力が「一段階レベルアップした」と考えていいだろうか。(笑・笑)

 

 「コントロール出来ない男」が政界に入ったのは今から10年前。37歳の時だった。当選して数ヶ月後に、小泉純一郎という同じ派閥の次世代エース(亡くなった父とも親しかった)が、派の代表として「自民党総裁選挙」に立候補した。何がなんだかわからないうちに、小泉純一郎総裁候補の推薦人集めに奔走する「7人の侍」の一角になっていた。そのまま「選挙対策本部」に組み込まれ、2年先輩の荒井広幸代議士とチームを組んで「企画全般」を担当した。小泉さんのその最初の総裁選挙で、推薦人代表として演説したのが安倍晋三氏だった。

 

 その安倍氏の演説の練習を手伝い、スピーチの分数をストップウォッチではかったのが、荒井・山本コンビだった。この戦いを通じて、小泉さんと安倍さんのことが好きになった。以来、10年間、この2人の先輩政治家をずっと支持してきた。言っちゃあ悪いけど、「小泉人気」や「安倍人気」に途中から便乗してきたそこらへんの政治家とは「思い入れ」が違う。応援団としての「歴史の長さ」が全然、違う。

 

 小泉内閣の4年間を振り返ってみて欲しい。支持率8割以上という衝撃のデビューを果たした小泉首相もずっと「絶好調」だったわけではない。田中真紀子外相を解任した後は、20%以上も支持率が急落した。支持率が50%を切った時は、自分の回りの「小泉嫌い」の参院議員たちが口々に、「いよいよ小泉人気もお終いだ。このまま40%を切り、求心力を失う。時間の問題だ」と囁いていた。それまで小泉改革を応援すると称して官邸を訪ねていたグループの足もぴたりと止まった。そんな永田町の雰囲気を見て「改革決死隊」(山本コピー)を立ち上げた。6人の仲間と総理官邸に行き、小泉総理を励ました。 この時期は、青木幹雄氏(当時参院幹事長)だって、小泉政権に批判的だった。実際、「決死隊」に加わった某若手参院議員が、二度にわたって青木氏から「説教」されるという事件も発生した。

 

 この時期、テレビの討論番組に出演する度に「集中砲火」を浴びた。小泉総理に批判的な(同じ党の)議員から「あんたの意見は間違っている。小泉改革はなっていない!」とか、「小泉外交はピントハズレだ!」と攻撃された。CMの最中に「なぜ、そんなに小泉さんを庇うのか」と聞いてきた某政治家も、党の会議で「小泉はバカだ。止めなければならん!」と公言していた某議員も、その後、小泉内閣の閣僚にめでたく就任した。(*昔、悪口を言っていたから「けしからん!」なんて言うつもりは全くない。人間なんてもともとそんなものだ。しかも、この方々が大臣として小泉改革に貢献したことは間違いない。)

 

 小泉内閣はこの4年間、歴代政権に比べて異例とも言える「高い支持率」を維持してきた。が、2年前の参議院選挙では、明らかに「デビュー当時」の集客力はなくなっていた。実際、今回の衆院選挙に至る数年間は、郵政民営化に反対する勢力、特定の業界や官庁と結びついた族議員の存在感は増幅していた。小泉首相の路線に頑強な抵抗を続けていた。こうした状況下でも、自分は全くぶれずに「小泉支持」を貫いてきた。

 

 安倍官房長官のことを考えてみよう。安倍氏だって最初から「国民的スター」だったわけではない。むしろ、「なかなか個性を発揮出来ずにいた」時期が長かったと思う。5年前、森内閣で初めて有力ポスト(官房副長官)に抜擢された。が、政権に対する逆風の中で、常に「守勢」に立たされていた。当時、若手で目立っていたのは「政策新人類」と呼ばれた石原伸晃氏、塩崎恭久氏、渡辺喜美氏等だった。

 

 その頃、議員会館事務所を訪ねてきた某テレビ局の記者がこんなことを聞いてきた。「山本さんからみて、これぞ次世代のエースっていう政治家はいますか? これからこの人に注目したほうがいいと思う人は誰ですかねえ。」即座に、「そりゃあ、安倍さんでしょう。必ず総裁候補になると思いますよ。」と答えた。某記者は少しクビを捻りながら次のように言った。「安倍さんねえ。うーん。伸晃さんとか、喜美さんとかと比べると、『華』がないんですよねえ。テレビ向きじゃないっていうか。」「そんなことはない。安倍さんは必ず浮上してきます。」と繰り返した。 数年後、同じ記者がこう話していた。「いや、間違えました。あの時、一太さんが言ったことが正しかったですねえ。」 

 

 安倍さんがスターになるずっと以前から、「途中の世代は吹っ飛ばして、早く安倍総理を誕生させたほうがいい!」と言い続けてきた。同じ派閥の先輩議員から、「あんまり、安倍、安倍って言うな!」と注意されたことは一度や二度ではない。しかも、ここ数年間、新世代の総理を創るための「様々な仕掛け」を作り、稼働させてきた。そうしたことを考えれば、安倍首相を実現する「千載一遇のチャンス」を前にして、山本一太が「安倍支持」を叫ぶことは極めて「自然な行動」なんです!!

 

 さて、戯れに「小泉改革支持・一貫性度ランキング」のベスト5(政治家編)というのを考えてみた。断っておくが、これはあくまで自分の私見だ。しかも、小泉改革への「貢献度」を示すものでも、政治家としての「実績」を示すものでもない。あくまで過去の言動や行動から読み取れる小泉改革への「思い入れ度」ともいうべきものだ。30分ほど悩んだ末、以下のようになった。

 

第1位:竹中平蔵:参議院議員、総務大臣

第2位:山本一太:参議院議員、自民党外交部会長

第3位:中川秀直:衆議院議員、自民党政調会長

第4位:河野太郎:衆議院議員、法務副大臣

第5位:近藤剛:元参議院議員、前道路公団総裁

 どうしてこの5人で、なぜこの順位になったのかについては、具体的な理由とデータがある。が、面倒くさいので説明しない。(笑)まあ、このランキングを作れるのは、恐らく自分しかいない。次回は「安倍晋三氏・応援本気度ランキング:ベスト5」を発表する。(笑)このシリーズ、結構、「政治マニア」の間で話題になったりして。

 

追伸:本日も終日、選挙区を回った。高崎市と前橋市の消防隊出初め式に出席。野外のゲスト席は本当に寒かった。今晩は4日ぶりに東京で眠る。