政界入りして10年。この間、小泉純一郎と安倍晋三という2人の政治家を一貫して応援してきた。特にこの4年間は、小泉総理の「構造改革路線」を支持し、同時に、「ポスト小泉には安倍政権を!」と言い続けてきた。この点について、自分の姿勢がぶれたことは、ただの一度もない。

 永田町の自称・安倍応援団(?)の中には、「来年9月の総裁選挙では、国民の人気が高い安倍官房長官が勝つに決まっている」とか、「安倍さんが総裁選挙に手をあげた瞬間にレースは終わりだ」などということを言う人々がいる。「党内の偉い人々が『安倍さんは早い』とか、『安倍氏は温存すべきだ』などと言っても、結局は安倍さんがなるのだから『いちいち反論する必要はない』」とも。さらには、「総裁選挙は来年の9月。あまり早く名前が出ると、かえってマイナスだ。あえて声をあげないほうがいい」というもっともらしい理屈もちらほら耳に入ってくる。

 

 山本一太流に解釈すると、この手のコメントは以下のように翻訳出来る。「国民的な人気度から言うと、やはり安倍さんが有利のようだ。が、政界は『一寸先は闇』という世界。何が起こるか分からない。所属派閥の関係もあるし、ここは様子をみよう。今ここで『安倍氏を応援する』などと明言するのは愚の骨頂。党内の反発を招くし、今後、安倍人気が凋落するようなことがあったら、政治家として損をする。」 

 つまり、「安倍氏がなるに決まっている」とは言うが、「安倍氏に次の総理になって欲しい」と発言しない国会議員は、安倍官房長官の「潜在的な支持者」(*これはこれで大事だけど)ではあるが、「真の応援団」ではない。理由は簡単だ。こうした人々は、安倍官房長官が政治的に躓くとか、国民的人気に陰りが見えるとかいう状況になった瞬間に、(手のひらを返すように)他の「より有力な候補者」に乗りかえるに決まっているからだ。誤解のないように言っておくが、自分は「安倍さんが有利だ」と発言しているのではない。「安倍さんにぜひ立って欲しい」「安倍さんしか、改革路線を継続出来ない」と主張しているんです。

 

 現時点で「国民的人気が高い」からといって、それがそのまま「安倍総理」に繋がるとは限らない。しかも、政治は予測不可能なビジネス。あと10ヶ月のうちに何が起こるか、全く分からない。「次回の総裁選挙に安倍氏を出すべきではない」というムードが与党内で先行すれば、安倍官房長官の出馬(=世代交代の流れ)が封じ込められる可能性もある。 実際、党内実力者が発信した「安倍温存論」を、明確に(公然と)否定する意見は、永田町界隈でほとんど聞かれない。(*実は多くの若手議員が『次回は安倍さんしかない』と思っているのに、だ。) だから自分が言わなければならない。損得抜きで「安倍政権の実現」を叫ぶ議員がいることを、内外にアピールしなければいけない。そう考えている。

 

 先日、地元のある支持者(某企業の若手社長)からこう言われた。「一太さん。傍目から見ていると、あそこまでハッキリ『次は安倍さんしかいない』って言っちゃうのも、どうかなって心配しちゃうよ。総裁選挙まであと9ヶ月もある。政治的に損するんじゃないかって、さ。しかも、群馬県の有権者の中には反発する人もいる。」 こう答えた。「ええ、ご心配かけて申し訳ありません。でも、安倍さんを総理にっていうのは、ずっと前からの私の信念なんです。安倍応援団としての歴史は長いんです。自分の心にウソをいうことは出来ません。反発は覚悟の上です。この数年間、ずっと『世代交代』を訴えてきたんですから。」 苦笑いしながら聞いていた某経営者が言った。「そこまで思ってるなら、仕方がない。一太さんらしいけど、ね。それにしても、山本一太が、これだけのリスクをかけても、『絶対、安倍がいい!!』って言うくらいだから、やっぱり安倍長官ってのは、それだけの魅力を持った人物なんだろうなあ。」(*そりゃあ、そうですよ。)

 

 ポスト小泉の有力候補と言われる政治家は複数いる。が、たとえば、「オレは、何があっても麻生外相を総理にしたい!」とか、「谷垣総理を創るために全力を尽くす!」と熱っぽく語る政治家には、全くお目にかかったことがない。皆、「損しないように」情勢を見守っている。他方、安倍さんには(本人に頼まれたわけでもないのに)「小泉改革を引き継げるのは安倍氏しかいない!」と公言する国会議員が少なくとも1人(*ホントはもっといるんだけど)いる。そこが、安倍官房長官と他の候補者との決定的な違いだと思う。

 

追伸:

1.「安倍内閣を実現するために奔走する」ことと、「睡眠時間を削ってこのHPレポートを更新する」ことは、自分にとっての(政治家としての)「カクゴノ・シルシ」だ。

2.え?今から総裁選挙のことを言うのは早すぎるって??冗談じゃない。本当に総理になろうと思ったら、まともな「国家ビジョン」や「政策綱領」を作るだけでも半年以上かかる。年が明けたら、9ヶ月後は選挙だ。え?あせらなくても、安倍さんが出馬を表明したら、そこで当選確実だって?ボケたことを言わないで欲しい。政界というところはそんなに甘くない。自分に言わせれば、「安倍官房長官が立てるかどうか」は、この数ヶ月が正念場だ。