午後12時40分。東京へ向かう新幹線の車中でキーボードを動かしている。車内販売のカートに熱い紅茶があった。ええと、今日4杯目だな。

 

 昨晩は高崎泊まり。朝8時から高崎駅西口の街頭に立った。先週と同様、すがすがしい秋の空気を吸い込んで、40分ほどマイクを握った。その後は、昼まで前橋市の企業経営者を回った。「選挙、よかったねえ。一太さん、頑張ったよな!」皆がそう声をかけてくれた。最後の訪問先は、前橋市女性後援会「すずの実会」会長の自宅。「杉村さんだっけ。いろいろと批判されてるけど、あの子は面白い。ちゃんと勉強すれば、今までと違ったタイプの政治家になるかもしれないわね。」と話していた。地元を回ってみると、杉村氏の評価は真っ二つ。「あんなヤツを候補者にするなんて、けしからん!国民の税金で養ってるんだぞ!!」ベテラン経営者は総じて厳しかった。対して、50代以上の女性は「好意的」だった。「なんか、年寄りがよってたかっていじめてるみたいよね。いいところを伸ばしてあげたら、いいじゃないの。」

 

 杉村太蔵氏といえば、党本部が新人議員に対して「マスコミ対応マニュアル」なるものを作成したと聞いた。こうやって次々にタイムリーなメディア戦略が飛び出してくるのは、いいことに違いない。9月の総選挙を契機に、党の「広報体制」は明らかに強化された。微力ながら、自分自身もこの動きを応援したいと思う。が、以前もこのレポートに書いた「懸念」を、どうしても払拭出来ない。自らの政策や考え方を発表することは、国会議員の最も重要な責務だ。党が個々の議員の自由な「発信」まで管理することは、絶対によくない。自民党は、あの選挙の大勝利に「酔ったまま」の状態ではないか。「メディアに対するプレゼンがうまくいったから選挙に勝てた」という一種の幻想を持ち続けているのではないか。

 

 政治におけるマスメディアの役割は益々大きくなりつつある。マスコミをうまく活用出来ない政党や政治家は、有権者にアピール出来ない時代だ。同時に、政府・政権与党とメディアの間には、常に健全な「緊張関係」がなければいけない。「メディア戦略」と「メディア・コントロール」は違う。「コントロール」のほうに過度に重点を置くことは、各議員の個性を殺し、党のイメージを悪化させることにつながる。このマイナスに気がついている議員が、果たしてどのくらいいるだろうか。

 

 マニュアルを作って、「ルーキーたち」にプレゼンテーションのやり方を指示するのはいい。が、彼らを旧来の「自民党色」に染めることだけはやめたほうがいい。何度も言うが、新しく誕生した政界の「ニューブリード」(新人類)に「行儀を教えた」ところで、次回の選挙を有利に戦えるわけではない。どんな経緯があろうと、それぞれ民意で選ばれた「国会議員」だ。多少の「問題児」が出てきたって、構わないではないか。「優等生ばかり」の新人議員グループなんて、考えただけでも気持ちが悪い。「党は何も知らない新人議員をこんなにちゃんと教育しているんですよ」と一生懸命宣伝することが、本当に自民党のためになるのだろうか。自分にはどうしてもそう思えない。(*これは、政治家としての直感だ。)

 

 物事にはすべて「Trade off」(プラスとマイナスの両面)というものがある。組織というものは、機能が強固になればなるほど「官僚化」する。ここらへんのバランスが難しい。なぜそう思うのかについては、自分自身の経験を交えて(そのうち)ゆっくり文字にしたい。ここでは、ひとつのことだけ言っておこう。今回の総選挙で山本一太が多少なりとも役に立てたとしたら、それは「参院自民党の支配ルール」に飼い慣らされなかったから。すなわち、政治家としての「特徴」や「個性」を持ち続けたからだ。

 

追伸:

1.午後5時過ぎに総理官邸に行った。先週に引き続いて飯島ー山本の「アイ・ワイ懇談」をやった。

飯島秘書官に「あること」を報告しておいた。




2.10月中に「2つの勉強会」を立ち上げる。そのための同志を募らなければならない。今週から来週にかけて「アポに次ぐアポ」の毎日になるだろう。「優等生」などという「不気味な生物」になるつjもりは、毛頭ない!!