ちょうど午前9時35分。新幹線で京都に向かう車中からのレポート。通路を挟んで左側の奥の席に小泉総理が座っている。右隣には丹後総理秘書官。総理はややリラックスした面持ちで、朝刊に目を通している。同じグリーン車の車両に、遊説局のスタッフ、同行記者団等もいる。たった今、総理の席を横切った乗客(40歳くらいの男性)が、「頑張ってくださいね!」と声をかけていった。小泉総理は軽く右手を挙げて応えていた。

 

 東京駅のホームに停車していた新幹線に(遊説局スタッフと一緒に)一足先に乗り込み、総理の到着を待った。SPに付き添われて入ってきた総理の表情は(昨日と同様)キリっと引き締まっていた。(*余分なことは何一つ言わなかった。)そういえば、昨日の吉祥寺駅前の第一声の前も(遊説カーの中で)こんな様子だった。戦いに入る前に集中力を高めている。そんな感じだ。

 

 さて、昨日の総理遊説(第一日目)について(忘れないうちに)少し書いておこう。小泉首相の動員力は2年前の衆議院選挙、昨年の参院選挙の時に比べて、明らかに回復している。4年前のあの「小泉ブーム」に迫る勢いだ。が、4年前と比較して、聴衆の反応が変わっていることに気がついた。

 最初のデビュー戦では、旬の「人気スター」にファンが熱狂するみたいな構図だった。どこへ行っても、「純ちゃん、こっち向いてー!」「純さま、ステキ!」「キャー!」といった声に包まれた。が、今回は、もっと「落ち着いた」声援になっている。実際、「純ちゃん、ステキ!」とか、「キャー!」とかいうタイプの声援ではなく、「小泉さん、しっかりやってくれ!」とか、「郵政民営化、頑張って!」という声が多かった。小泉総理個人の人気(まだまだ根強いものはあるが)というより、小泉総理が進めようとしている改革と。それを断行した総理の姿勢に対する期待や評価が有権者の関心(支持)を集めているといえるだろう。

 

 「聴衆の反応がこれまでと違う」ということに加え、もうひとつ印象的だったこと。それは、小泉総理が「自らの改革に反対する勢力」に対して「全面対決」する覚悟を固めているということだ。総理の決意は、すでに郵政方案に反対した現職議員を一切公認しなかったという姿勢に現れている。が、この日、演説した8カ所すべての会場で、「与野党の議員に働きかけて法案成立を阻んだのは、一部の国家公務員の利益を守るために与野党の議員に反対を働きかけたグループ(労働組合等)なんです。」「この体質を壊していかなければ、行政改革(公務員削減)も、官主導から民間主導の経済も出来るはずがありません。」「国会議員は一部の特定業界や団体の利益を守ることが仕事ではない。いったん当選したら、(苦しくても)国民全体の利益を考えねばならない。そうでしょう?!」と言い切った。(*全く、同感だ。)ここまでのことが言える政治家は、小泉さん以外にちょっと見当たらない。

 

 ふと、首相の席のほう(左)に目をやると、小泉総理は、シートを倒して休んでいる。(眠っている?)移動中の車の車中や新幹線の席は、総理にとって身体を休められる数少ない空間だ。けして(余分なことで)邪魔しないようにしよう。

 

 あ、もう午前10時か。車内の売店で熱い紅茶でも買ってこよう。

 

追伸:

1.昨日、遊説が終わった後で、党本部に立ち寄った。連日、党本部の幹事長室につめて、「選挙戦略」や「メディア対応」を錬っている(汗をかいている)飯島秘書官、官邸スタッフ、世耕弘成参院議員(広報本部長代理)等に会った。幹事長室が注文してくれた中華弁当を食べながら、30分ほど話をした。帰り際、世耕氏が、「一太さん、後半戦になったら、総理同行を外れて接戦の選挙区に入ってくれませんかねえ。集客力、あるんだから。」と(半分困ったような顔で)言ってきた。「え?オレなんか行っても、全然、効果ないよ。ちゃんと総理にくっつくつもりなんだから。ダメダメ、言うこと聞かないよ!(笑)」と答えて(少し脅かして)おいた。飯島秘書官は、ニヤニヤしながら聞いていた。

2.役人って、大きく言うと2種類ある。「人の話をよく聞くタイプ」と、「自分の意見ばかり言いたがって、実は相手の話を聞かないタイプ」だ。官僚としては優秀(?)でも、後者は政治家に向かない。有権者には(どんなに誤魔化しても)「嫌なヤツ」に見える(本質を見破られてしまう)からだ。

 

3.考えたら、他の政治家の国政レポートって、ほとんど読んだことがない。唯一、目を通すのは河野太郎の「ごまめの歯ぎしり」だけ。(*これは刺激的だ。時々、勝手に自分の名前を使われるけど。(笑)ま、お互い様かな。)このHPのレポート「気分はいつも直滑降」も、アクセス数はかなり増えてきた。(ピークは6000/日)が、目指すべきライバル「ごまめ…」には、まだとても追いつけない。でも、「臨場感」から言ったら、政界で一番面白い国政レポートは、「ごまめ」か、この「直滑降」でしょう?!(*誰も言ってくれないので、自分で宣伝しておきます。(笑・笑))

4.朝。昨日のTVで対決した荒井広幸氏(新党日本・幹事長)と電話で話した。荒井氏の考え方は、明らかに間違っている。(*向こうもそう思っているだろう。)が、この不思議な友情は途絶えそうもない。「なんか、午前中に公開討論会(?)かなんかに呼ばれたんだけど、どのくらい時間とられるのかなあ。あちこち、応援に行かなきゃいけないんだよ。オレは幹事長だから。幹事長は忙しいんだぞお。(笑)」と話していた。