朝8時。TBS「朝、ズバッ!」のスタジオ。司会のみのもんた氏が、電話で亀井静香氏と会話を交わしていた。ええと、たしか、こんなやり取りだった。「亀井さん。法案を否決して、小泉さんが衆議院を解散したら、戦う準備は出来ているんですか?」「いや、そんなこと(解散)はあり得ない。(参院で否決されたから衆院を解散するなんて)そんな無茶苦茶なやり方を国民が認めるはずがない。小泉さんにも、そこは良識というものがあるだろう。」

 

 この言葉を聞いて、「あれ?」と思った。普通なら「もちろん、我がグループとして、いつでも戦う態勢は出来ている」と前置きしてから、「しかし、そんな無茶苦茶なことは…」と続くはずだ。小泉総理と正面から激突してきたもう一人の「戦国武将」にしては、やけに弱気な発言だ。この生中継電話インタビューを聞いて、「亀井氏は解散総選挙を恐れている」という印象を持ったのは、自分だけではあるまい。亀井先生、小泉総理に「永田町的良識」などというものがあるはずないじゃないですか!!(笑)

 

 午前中の本会議で答弁に立った小泉首相が、「戦後、内閣不信任を受けて解散したのは4例にすぎない。あとはすべて7条解散だった。」とわざわざ解説を加えていた。自分の耳には、「オレが解散を決意したら、これを阻む手段はない!」と宣言しているように聞こえた。

 

 亀井静香氏も平沼赳夫氏も練達の政治家。しかも、筋金入りの武闘派だ。この2人が小泉首相の内閣総辞職なんて「起こるはずのないこと」を期待しているはずがない。最初から解散総選挙に追い込むことが目的だ。自民党が分裂するのも覚悟の上だと思う。「選挙」によって大きく政局を動かし、混乱の中で「新たな局面」を作り出すつもりだろう。「このまま小泉ペースで引っ張られてたまるか!」そんな強い怒りが、郵政改革反対グループの幹部を突き動かしている。

 

 が、本会議で法案に反対した37名の衆議院議員が皆、そこまで考えているとは思えない…いや、政治家なのだから、そのくらいのことは「想定の範囲」だったと思いたい。(*法案賛成派にも反対派にも、それぞれ信念というものがあるのだから。)青票(反対)を投じたメンバーの中に、万一、「反対しても(次の選挙で公認されない)などということはあり得ない。前回と同様、郵政民営化反対を主張して選挙を戦う。同じ構図だ…」と考えている議員がいるとしたら、それは完全な「思い違い」だ。

 

 法案が否決され、総選挙に突入したとしよう。小泉総理は法案にノーを突き付けた議員をけっして「公認」しない。すなわち、分裂選挙になることは最初から決まっている。「公認」がないのだから、「復活当選」などというシステムは働かない。党からの通常のサポートもない。自分に代わって公認された若い候補者が戦線に加わってくる可能性だってある。もう、二度と「日常」は戻ってこない。法案に反対したということは(*それ自体はちっともおかしなことではないが)そこまで踏み込んだということなのだ。

 

 もう一つの、ありがちな誤解。それは、衆院本会議で反対票を投じた政治家が、世間で「ヒーロー」扱い(?)されており、それが選挙で有利に働くということだ。と、ここまで書いたところでタイムアップ。続きは次回のレポートで。