先日の衆院本会議採決で、当選1回の若手である城内実衆院議員が「反対票」を投じた。小泉総理を支える森派が賛成で足並みを揃えようと結束を図っていた矢先、安倍晋三幹事長代理の説得を振り切っての行動だった。所属派閥に「退会届」を出してから、本会議場に入ったらしい。(*この「退会届け」が、どんな扱いになっているのかは分からない。)城内氏にしてみれば、考えた末の決断だったに違いない。

 

 グループの仲間の中には、かなり怒っているメンバーもいる。何より今回の反対が、城内氏のことを(いろいろな意味で)ずっと気にかけてきた安倍さんの「顔をつぶした」ことは間違いない。「あんなに安倍さんにお世話になっておきながら…怒・怒」という声をあちこちで聞いた。が、よくよく考えてみると、彼の行動を理解出来ないわけではない。

 

 城内氏は、郵政関係合同部会でも一貫して政府案への反対を貫いてきた。「永田町の外」の世界では、「自分がずっと言い続けてきたこと」と異なる行動を取ることを迫られる(しかも国民が注視する状況の下で)という「政界ではよく見られる」場面は、ほとんどないはずだ。関係団体からのプレッシャーというより、むしろ城内氏自身の感覚として、心の中の「矛盾」をどうしても解決出来なかったということだろう。(*この頑なさは、ちょっと自分に共通するところがある。)

 

 昨日、安倍さんに会いに党本部に行った。幹事長控え室で、城内氏とバッタリ。会うなり(顔をしかめながら)「いや、本当に申し訳ありません。自分の発言と相反するする行動がどうしても取れなくて…」と頭を下げる城内氏に、「それは城内さんが決めることだけど、安倍さんにだけはちゃんと説明しておいたほうがいいよ!」と話した。「そうなんです。安倍先生にご迷惑をかけてしまって、それだけが…」と言い残して、(城内氏は)幹事長応接室に入って行った。(*安倍さんに会った(?)のかなあ。)

 

 城内氏に続いて、幹事長応接室に通された。安倍幹事長代理にどうしても紹介しておきたい友人がいたからだ。部屋を出る前に2人で短くこんなやり取りをした。「城内さん、やっぱり反対しましたね。」「そうなんだよ。彼はもう(一直線)だからね。まいったよ。でも、仲間で助け合うという意味を理解して欲しかったな。」安倍さんは、城内氏を厳しく批判したり、中傷するようなことは一切、言わなかった。(*相当、悔しかったに違いないが…)

 

 城内実衆院議員が森派にとどまるのか、それとも退会するのかは分からない。そのことは自分と城内氏の関係にはあまり影響を及ぼさない。が、どんなコースを辿るにしても、城内実という国会議員は生き残るだろう。それだけの中身と志を持った政治家だからだ。選挙の勝敗は「候補者」で決まる。彼が本物でなければ、保守新党の代表(党首)を打ち破って「赤い絨毯」まで攻め上って来れるはずがない。個人的には、やけに物わかりがよくて要領のいい若手議員なんかより、「城内タイプ」のほうがずっといいと思う。

 

 でも、城内さん。ひとつだけ、忘れないでもらいたいことがある。「政治家」として、ではなく「人間」として。城内さんが最初の選挙に無所属で出馬した時、安倍さん(当時・幹事長)は、超多忙な日程をやり繰りして、城内さんの選挙区に応援に入った。安倍さんは、自民党本部でも(陰に陽に)様々なサポートを試みていた。連立を組んでいた「保守新党」からの抗議や反発を受けながら…だ。その後も、あらゆるところで(意識して)「城内さんはいいよ。うちのグループの若手エースの一人だ!」と言い続け、前回の米国ミッションにも正式メンバーとして同行を求めた。(*同僚議員はきっと嫉妬したに違いない。)衆議院選挙を勝ち抜いたのは、(最後は)城内さんの実力だ。でも、政界デビューからずっと城内実のことを気遣い、応援してきたのは安倍晋三幹事長代理だ。だからマスコミも城内さんを「安倍チルドレン」としてとらえている。そのことだけは胸のどこかにしっかりしまっておいて欲しい。安倍晋三氏が「勝負をかける」時は、必ず駆けつけてくれますよね!!

 

追伸:城内実氏へーー

1.城内実と山本一太を囲む「静岡県旅館関係者」との会合、どうする?城内さんが必要だと思うなら、計画通りすすめるつもりだけど??

2.「先輩議員」としてひとつ苦言を呈します。昨日放送されたNHKクローズアップ現代「郵政改革法案、衆議院攻防の舞台裏」で、安倍幹事長代理と城内さんが会話を交わす場面がありましたよね。安倍:「まあ、城内さんの主張には皆、きちんと耳を傾けたわけだし…。組織の決定ということだから、ぜひ考えて欲しい。」城内:「分かりました。安倍代理のお言葉を踏まえて、よく考えて結論を出します。」そんなやり取りだったと記憶しているけど。あれって、城内さんのほうから安倍代理に、「NHKが2人で話し合っている場面を撮りたいというので、カメラに入ってもらっていいですか?」と頼んだワケでしょう?最後に「ノー」という結論になる可能性があったのだとしたら、あれはやるべきじゃなかったと思う。だって、まるで安倍さんが「サカナ」に使われたみたいになっちゃうから。

3.まあ、終わったことをグダグダ言っても仕方がない。これからも「一直線」でやってください。オレも「直滑降」で行くから、さ。