ニューヨークからミネアポリスに向かう飛行機の機中でレポートをしたためている。小型の飛行機だけに揺れて書きにくい。ミネアポリスまでは約2時間。そこで東京行きのフライトに乗り換える。

 

 5日の夜は(これも安倍さんの好意で)安倍チームと同行記者団との懇親会に参加させてもらった。さらにその後のミュージカル観賞にも(*議員チームの1人が抜けた分、チケットが1枚余ったらしい)ちゃっかり滑り込んだ。昨年のブロードウェー全体の興行収入は過去最高を記録。ブロードウェーで最も大きい劇場はほぼ満席だった。観客はアメリカ人と外国人が半々といったところだろうか。こうやってシアターに足を運んでみないと、ニューヨークの実際の雰囲気(現状)は分からない。

 

 ミュージカルが終わったのは夜の10時過ぎ。議員チームと同行記者の一団はシアターの近くで待機していた車に乗り込み、そのまま滞在先のホテルへ。議員団の車を見送った後、自分も歩いてミッドタウンのホテルに向かった。(*どのみち、タクシーはつかまりそうになかった。)ブロードウェーから7番街、6番街、5番街…。約50分かけて、国連本部近くのホテルまで歩いてみた。ふうむ。ジュリアー二市長の時代と比べて警官の数も減っていないようだ。少し閑散とした裏通りにはニューヨーク市警のパトカーが止まっていた。

 

 ブロードウェーと言えば、昨晩は友人の演劇プロデューサーと食事をした。仕事や立場は違うが同じミッションを持つニューヨークのライバルはとても元気そうだった。「山本さん。HPのレポート読むと、本当に忙しそうだよね。とにかく従来の日本の政治家のイメージを突き破って、ハチャメチャやって欲しい。(笑)お互い、人生は一回しかないんだから。」場所は演劇関係者が集まる劇場街近くのレストラン。(*日本人客は1人もいなかった。)マンハッタンで一番美味しいと言われているハンバーガーステーキをかじりながら熱く語り合った。

 

 ところで、今回の安倍幹事長代理の訪米日程、特にワシントンDCでのスケジュールはかなり過密だったようだ。同行した若手の萩生田光一、木内実両衆院議員も、「ほとんど、外交合宿でしたね。ハッキリ言って疲れました」と話していた。ワシントンの日程を見せてもらったが、なるほど過密なだけでなく、かなりすごい。チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ライス国務長官というブッシュ政権のビッグ3に加え、対日関係のキーパーソンとのミーティングがずらりと並んでいる。この米国側の「超厚遇ぶり」が示す事実はただひとつ。昨年の幹事長ミッションと同様、米国政府は安倍晋三氏を日本の「未来の総理」として扱った。加えて、ニューヨークではアナン国連事務総長との会談も実現した。この外遊は、安倍さんにとってポスト小泉に向けた「大きな追い風」になるだろう。

 

 昨年の安倍ミッションと違うのは、米国の金融・経済関係者との会談がセットされていたこと。グリーンスパンFRB議長との面談なんかは、同行した塩崎恭久氏の人脈に違いない。安倍氏は「改革路線をスピードアップする」と宣言した。今後は、外交・安保分野だけではなく、金融・経済についてもどんどんメッセージを発信して欲しいと思う。

 

 そろそろミネアポリスに近づいたようだ。この続きはジャンボジェットの機内で書けるだろう。

 

追伸:ここ数日、アメリカのメディアは「北朝鮮が核実験に踏み切る可能性」について報道している。日本に戻ったら(菅座長と相談して)早速、「対北朝鮮経済制裁シミュレーション・チーム」の会合を持たねばならない。万一、北朝鮮が核実験によって(名実ともに)「核保有国」になった場合、それは日本にとって、東アジアのパラダイムが「180度変わる」ことを意味する。この最悪のシナリオを防ぐため、日本はそれこそ「最大限の外交努力」をしなければならない。圧力カードの行使や安保理への働きかけを含めて…。