午後6時。「スーパーモーニング」のインタビューが終わるや否や、議員会館事務所を飛び出した。東京駅から東海道線で横浜へ。横浜から相鉄線に乗り換えて二股川駅で降りた。駅の改札口近くの広場ですでに声を張り上げていた県議補選の候補者の街頭演説会に合流した。真面目で誠実な人柄にとても好感を持った。約30分、2人で交互にマイクを握りながら、回りを通りすぎる人々に支持を訴えた。

 

 東京に戻ったのは午後9時過ぎ。(*あれえ、午後11時頃になると思い込んでいた。)奥さんが作ってくれた遅めの夕食を2人で食べ、少し食休みをした後でパソコンを開いた。「あ、そう言えば、午後9時から先日収録したTVタックルをやっているはずだ」と気がついて、チャンネルを合わせてみた。が、ほとんど終わっていた。(笑)読者から寄せられたメールをチェックすると、「今晩のTVタックルを見ました。あなたの発言はまるで選挙には不透明なお金がつきものみたいなことを言っているように聞こえる」とか、「政治とカネの問題について、あんなふうに民主党の議員をやり込めるなんて失礼です。」(*そんなシーン、あったかなあ)といった意見がいくつか届いていた。

 

 そう言えば、以前、テレビで政治とカネについて発言した時も、同じような内容のメールをもらった憶えがある。「山本さんはいつも歯切れがいいのに、政治とお金の問題になるとなんだかハッキリしない感じがします。山本さんのようなタイプの議員までルール違反をやっているとしたら、本当にガッカリです!」

 

 この際だから、この件について少し書いておこう。永田町にも、政治活動に関する現行の全てのルールを守り、政治資金は1円1銭まですべて記載し、公設秘書給与のことで頭を痛めたことはただの一度もなく、さらに選挙に使った資金は100%透明で、選挙の法定費用をびた一文でもオーバーしたことのない国会議員、すなわち「自分の政治活動に一切のグレーゾーンがなく、正しい政治活動のあり方について悩んだことなど皆無」という政治家は、もちろんいるに違いない。そして、もしそうした政治家が世の中に存在するとすれば(*少なくとも自分は会ったことがないが)、現在の政治文化を創りあげた与党自民党ではなく、野党の側にいる可能性が高いことは間違いなさそうだ。自分のことを応援してくれている人々には申し訳ないと思うが、山本一太はそんな「聖人君子」ではない。この10年間は、自分が引き継いだシステムを変え、古い政治文化から脱却するための戦いだった。思い通り進まない悔しさで、眠れない夜も度々あった。

 

 それでも、「自分の政治活動のすべてを透明にしたい」「今のシステム(政治文化)を作り直して、政治とカネのスキャンダルの根を絶ちたい」という気持ちだけは本物だ。そのために一生懸命、努力してきた。リスクを取る覚悟もある。真剣に変えたいと思っているからこそ、テレビ画面の前で、「自分だけは100%クリーンな若手政治家だ」みたいなカッコいいセリフは言えないし、そんな虚言は吐きたくない。自分自身の中に「過去の活動」や「制度の矛盾」で悩んでいる部分があるのに、他の政治家の疑惑追及なんて(少なくとも自分には)出来るはずがない。

 

 歯科医師連盟による橋本派への1億円献金問題は、同じ政治家として本当に恥ずかしいと思う。政治とカネの問題に関しては、長期政権の下で「闇の構造」を作りだし、放置してきた自民党の責任が最も重いことは間違いない。が、野党議員から、「政治とカネをめぐるスキャンダルは、すべて与党自民党の責任であり、自分たちとは一切関わりのない話だ」みたいなコメントを聞くと、(大人気ないとは思いつつ)ついつい「つっかかってしまう」自分を発見する。

 

 これ以上、あまり細かいことは書かない。が、自分は「オレは与党の長老議員や他の汚い政治家と違って完全にクリーンだ」などと公言する政治家を、けして信用しない。たとえば、今晩のテレビで自分の発言を聞いた視聴者の多くは、「なんだ。山本一太も不透明なところがあるんだな。長老と同じじゃないか。やっぱり民主党議員のほうが清潔だ。自分よりクリーンな政治家にあんなこと言うなんて不見識だな!」と思ったかもしれない。でも、こうしたやり取りは、政治の「当事者」であり、様々な事情が分かっている与野党の国会議員(特に問題意識のある若手議員)には違った響きを持って伝わったはずだ。「ふうん。あいつ(一太)は、政治とカネのことを本気でやろうと思ってるんだなあ」と。あ、もうこんな時間(午前12時40分)か。この続きは次回のレポートで。