本日は国会開会日。午前と午後の2回にわけて参院本会議が開かれた。午後3時40分からの本会議では、小泉総理の施政方針演説を含む4演説が行われた。午後5時前。本会議場を一瞬抜け出し、自民党国会対策委員会(いわゆる国対)の部屋に立ち寄った。参院自民党の国対スタッフは、真面目で優秀な人材が揃っている。参院自民党にとっては頼りになる「縁の下の力持ち」だ。

 

 机に向かって資料を作っていた国対の若いスタッフと、こんな話をした。「毎回思うけど、なぜ総理の施政方針演説を衆参両院でやるんだろうね。衆議院のほうでやった演説と一言一句違わないんだから、全く意味がない。なんとか一回で済ませられないもんかなあ。」「その問題は、過去にもかなり議論されたんですが、いざやろうとなると、いろいろ問題があるんですよね。」

 

 会話の途中で、顔見知りのある新聞記者が入ってきて、自分の顔を見るなりこう言った。「あ、チンピラ議員だ。チンピラ議員がいる。」施政方針演説のやり方について議論している最中だったので、一瞬、何を言ってるのかわからず、「え、何言ってるの?」と聞き返した。記者からは、こんな言葉が返ってきた。「経済制裁でしょ。経済制裁なんてやれるもんならやってみろって感じだよね。00を担当しているとさあ。」(*この発言は一字一句ほとんどそのままだ。その場にいた国対スタッフに聞けば分かる。)なるほどそういう意味かと思って、怒りがこみあげてきた。が、こんなところで怒るのも大人げないと自分を抑えつつ、「まあ、いいから、もう行きなよ。」と引き取ってもらった。

 

 政治家になってから多くのジャーナリストと付き合ってきた。メディアが政権と健全な緊張関係を保たねばならないのは当然だ。相手がどんなに辛辣に自分の政策を批判しても、意見が違っても、そのことを理由に怒ったりしたことはない。立場は違っても、心から尊敬出来る記者もいるし、友人として親しくしているマスコミ関係者もいる。が、この「チンピラ発言」だけは断じて許せない。

 

 顔見知り(特に親しいというわけではないが)だということで、冗談のつもりだったかもしれない。この人物が、けして悪い人間だとも思わない。が、政治家と記者の間にも「最低限の礼儀」というものがある。ましてや、政治家として真剣に取り組んでいる政策(経済制裁法案やシミュレーション)を「チンピラ的行為」と言われては、聞き流すわけにはいかない。安倍晋三本部長をはじめ、外交戦略として「圧力をどう使うか」ということを真剣に考えているグループ全員を「チンピラ呼ばわり」したのも同然だからだ。

 

 こんなことを言われて、自分がまさか怒らないとでも思ったのだろうか。そんなに大人しい政治家に見えたとしたら、山本一太も相当なめられたものだ。(*相手が政治家だったら、また回りに国対スタッフがいなかったら、その場で怒鳴りつけていたことは間違いない。)このエピソードは、来週の「シミュレーション・チーム」の会合で全員に報告する。

 

 政治家はある種の権力(自分の場合は全く大したことないけど)を持つことになる。それだけに、「傲慢になったり勘違いしたりしてはいけない」と常に自分自身に言い聞かせている。マスコミ人だって同じはずだ。悪いけど、こんな態度で、こんな暴言を吐くジャーナリストが、仲間の信頼を得ているとはとても思えない。こんな記者とは二度と話したくない。

 

 ああ、あのシーンを思い出すと本当に不愉快だ。明日は朝から地元に入り、夜は草津温泉に一泊する予定だ。熱い紅茶でアンガー・マネージメント(怒りのコントロール)をやり、早めにベッドに入ろうっと。怒っても、自分が損するだけだ。