朝の新幹線で地元に向かっている。高崎まであと20分。熱い紅茶をすすりながら、パソコンを開いた。キーボードの指を動かし始めたところで、携帯が鳴った。「悪い知らせ」だった。

 

 昨日のマスコミ報道で、イラクで拘束された香田証生さんに「身体的特徴が似ている」と米軍が言ってきた遺体が別人であったことが判明した。ホッと胸をなでおろしたのも束の間、もう一体、別の遺体の存在が米軍から報告されていた。「悪い知らせ」は、その遺体が「本人に間違いないこと」が、指紋の照合によって確認されたというニュースだった。

 

 香田さんの拘束が明らかになって以来、日本政府としては(不眠不休で)情報収集と犯行グループとの交渉(?)にあたってきた。今回、日本人青年を人質に取ったグループは、同様のケースで過去に何人もの外国人を殺害している。恐れていたとおりの最悪の結果になってしまった。

 

 ご遺族の方々のショックは想像もつかない。テロリストグループに対する激しい怒りを感じると同時に、改めて「テロリストの不当な要求には、けっして屈していけない」という気持ちを強くした。政府は(移動の自由を禁止することは出来ないとしても)二度とこういう事態が発生しないように、最大限の予防策を張らねばならない。それにしても、香田さんは、なぜ、イラクに入ってしまったのか。そのことが悔やまれてならない。