高崎から東京へ向かう新幹線に飛び乗った。駅のホームで買った温かい缶のお茶を飲みながら、パソコンに向かっている。

 

 このレポートにも何度か書いた。この3年間、自分は小泉総理の改革を「損得抜き」で支持してきた。世の中に完璧な人間も、完璧な政治家もいない。小泉首相のことを完全な改革者だと思ったことはない。さらに、小泉改革プランだって、精緻でない部分がある。加えて、改革が100%計画通りに進んでいるわけでもない。たとえば郵政事業民営化のように、国民に対してもう少し説明の努力をしてもらいたいと思う問題もある。が、小泉総理でなければ、日本再生のための「構造改革」をここまで前進させることは出来なかった。それは厳然たる事実だ。

 

 歴代政権が続けてきた「財政バラマキ」路線を転換し、自民党の古い政治文化を破壊し、「官から民」への流れを定着させ、長期政権の中で培われた利権の構造にメスを入れ、有事法制を成立させた。どれもこれも、小泉首相以外のリーダーでは、けしてなし得なかったろう。永田町の現実に生きているからこそ、見える景色もある。これだけの変化を起こすのに、リーダーとしてどれほどの勇気と決断力が必要か、どのくらいのリスクを取らなければならないかということが、よく分かる。小泉内閣が「歴史的な役割」を果たしていることは間違いない。政権発足以来3年経って、なお40%以上の高い支持率を保っているのは、きっと、国民が小泉総理に対して同じような気持ちを抱いているからだ。

 

 が、ここにきて初めて「内閣支持率」のことが心配になってきた。参院選挙後の分かりにくい人事やその後発覚した旧橋本派に対する1億円献金問題への対応で、もともと良くない自民党のイメージは着実に悪化している。加えて、ここ数日の国会での「政治とカネ」をめぐる論戦のシーンや答弁が、自民党へのダメージを増幅させている。あれだけの政治的嗅覚を持つ小泉さんのことだから、自分などには想像もつかない「深謀遠慮」や「戦略的計算」があるのかもしれない。が、最近の総理の発言には「おや?」と思うことがある。こうした一連の現象が、デフレスパイラルのように(*すでに民主党に遅れを取っている)自民党の政党支持率を引き下げ、それが小泉内閣の支持率をジワジワと落としていく悪循環のサイクルに入りつつある。そんな気がしてならない。

 

 こんなこと小泉さんは百も承知だと思うが、小泉首相には、「挙党態勢」という名のもとに改革をバランス良く遅らせるのではなく、むしろ、改革のスピードを早めながら、そのまま突き抜けていってほしい。何度も指摘しているように、それが小泉内閣の求心力を保つ唯一の方法だと思う。

 

追伸:いわゆる「中二階」の大物議員が、エレベーターでたまたま会った山本一太に「苦言を呈した」という噂が広がっている。一時流布された「青木議員会長から呼び出されて怒鳴られた」というエピソードと同じように、事実無根の話だ。そんなことがあったら、とっくにこのHPで報告している。うーん??すぐにウソだと分かるこの手の噂を流すことで、誰が、どんな効果を狙っているのだろうか。