夕方。東京に戻る新幹線の車中からのレポート。車内販売のカートを呼びとめ、(どんなに暑くても)熱い紅茶を買った。背広を脱ぎ、ワイシャツのボタンを緩めると、自然にため息が出た。ふう。ちょっと心地のいい疲労感だ。紅茶を一杯味わってから、パソコンの電源を入れた。

 

 本日朝8時。高崎駅の東口で「新世代総理を創る会」のキャンペーン・カー(新世代号)が待機していた。赤とグレーのツートンカラーの車体と真っ赤なマイクロフォン。看板には「新世代総理を創る会」という大きな文字。遠くから見てもひと目で分かる。この場所でまず久々の街頭演説。車体の上に設置されたステージでマイクを握り、参議院選挙の総括と自民党の人事問題について弁をふるった。

 

 その後、数カ所で街頭演説をこなしながら、太田方面へ向かう。午後12時30分から太田市で行われた群馬県商工会議所議員大会に出席。午後は引き続き、伊勢崎、前橋方面で遊説&街頭をやった。奇抜な色とデザイン、テーマソング、新世代総理候補リストを掲載したパンフレットを組み合わせた「新世代号」のパフォーマンスは人の目を引く。昼食に立ち寄ったそば屋の若いおかみさんが、「いやあ、目立ちますねえ。最初は救急車か、消防車かって思いました。さもなければ(危ない車)じゃないかって。」 メンバーのチップイン(拠出)で製造したこの車の潜在的な威力を、十二分に感じることが出来た。夏の全国キャラバンが、ちょっと楽しみだ。

 

 さて、昨晩のTVニュースで使われた参議院自民党の人事に関する自分のコメントが、朝のNHKニュースで再度、放送されたらしい。地元で遭遇した自民党シンパの社長からも、群馬県を代表する某経済人からも、さらには県議会の有力メンバーからも、「参議院の人事についての一太さんの発言をテレビと新聞で知った。あなたの行動は正しい。思った通りやったらいいよ。」と声をかけられた。自民党の元市会議長からは、「こんな分かりにくい人事をやっているようじゃあ、有権者の気持ちが自民党からどんどん離れちまうよ。あなたのようなこと言える政治家が必要なんだ」と激励された。

 

 なるほど。自分の行動は「参院自民党」というシーラカンスのような閉ざされた社会では異端に映るかも知れない。が、一般の国民からは常識として支持されている。むしろ、有権者には参院の状況自体が異常だ。自分はけして間違ったことを言っているわけではない。そのことを改めて確信した。

 

 群馬県の商工会議所大会では、そうそうたる地元の経済人たちを前に挨拶した。「どんな組織でも、たとえば企業や会社であっても、政党であっても、大きな失敗や不祥事があった時にはその原因をきちんと調査し、トップがきちんと責任を取る。それが透明性と説明責任を求められる時代においては常識です。このプロセスがない不透明な組織は必ず衰退し、淘汰されるでしょう。」 ひと息ついて、「参議院自民党は今回の選挙で明らかに敗北しました。深刻な事態です。最高指揮官がきちんと責任を取らなかったら、選挙の総括なんて出来るわけがありません。実力者に冷遇されることを恐れて誰もそのことを言葉にしないので、これはおかしいと声をあげました…」と続けた。

 

 その反面、トップに大胆な発想とリーダーシップと責任感がある会社は、困難を乗り切って発展するということ、小泉内閣の下でようやく回復を始めた中央の経済と大企業の好況を、いかに地方経済や中小企業に広げていくかが最も重要な課題であると話した。最後に、「議員会長人事の件で批判したら、様々な恫喝や嫌がらせがありました。が、これからも自分の意見をちゃんと言っていくつもりです。次の選挙まであと3年。外務副大臣にも、官房副長官にも(その他重要ポストには)一切、つくことはないと思います。が、温かい目でご指導ください。(*ここで笑いと拍手が起こった。)」と締めくくった。スピーチを終えて退出する前に、某有力企業の経営者がこう言った。「一太君。ポストのことなんて気にしなくていいよ。君がちゃんと信念を貫くなら、オレはこれからも応援するから。」ああ、やはり上州人は情に厚い。

 

追伸:

1.青木幹雄議員会長には個人的に何の恨みもない。単なる人格攻撃やいわれのない中傷をするつもりもない。今回の人事のやり方を「批判」しているだけだ。自慢じゃないけど、政治家になって以来、自民党の党是に外れた言動をしたり、反党的な行為をしたことは(恐らく)一度もない。それどころか、党のトップである総裁の政策を一途に応援してきた。苦しい時も党にとどまり、自民党議員としてのアイデンティティーを保ちながら発言してきた。その自分(あるいは他の参院自民党のメンバー)が、マネージメント(執行部)のやり方を批判することさえ許されないとすれば、それはまさしく独裁国家、北朝鮮と同じだ。 国会議員の最も重要な仕事は国民に向けて発信すること。一人の政治家の言論をあまりに不条理な形で封じ込めるようなことがあれば、遠慮なくこのHPで書かせてもらう。

2.東京駅から野田聖子衆院議員の事務所に電話をかけた。本人は不在ということだったので、政策秘書の桜子さん(聖子さんの実妹)と話をした。「桜子さん? 山本一太です。聖子さんのHPのコメント、今日の朝刊で読みました。(今回の参院選は敗北。これが自民党の終わりの始まりになることを懸念する)というご意見、全く同感です。しびれたちゃったと伝えてください。」と言うと、「はい。分かりました。が、野田のほうも、一太さんの言動には(難しい立場なのに勇気あるわね)と感心してました。やっぱり、山本一太だなあって。」という返事が返ってきた。ちょっぴり嬉しかった。

3.鳥取県選挙区で圧勝した若手の田村耕太郎氏からメールをもらった。昨日の議員総会には(地元日程のために?)来なかった。メールの内容は書かないし、外に出すつもりもない。が、田村さんの人生哲学が織り込まれていた。そして、けして他人を攻撃しない田村さんの姿勢に感銘を受けた。鳥取県の皆さん、地元にこんなに素晴らしい参議院議員がいて幸せですね。(*石破大臣もすごい政治家だしなあ。)