夕方から3つの会合を大急ぎでハシゴした。都内のホテルで行われた某議員の資金パーティーに顔を出し、これから参院比例候補者との対談に向かう。急いで栄養補給だけしておかないと。そう思って麹町のモスバーガーに飛び込んだ。二階の奥のテーブルで、カツオバーガーと紅茶を口に運びながら、このレポートをしたためている。

 

 ここ数日、読者の方々から多くのメールを受け取った。事実だけ言うと、ほとんどのメールが、小泉総理の訪朝を評価し、「家族会」の小泉首相に対する言動(非難)を批判する内容だった。最初の小泉訪朝によって5名の拉致被害者が帰国して以来、こんな論調が起こったことはない。2日ほど前に行われた自民党の拉致対策本部でも、出席議員の一部から「家族会の反応は納得出来ない」という意見が出されたと聞いた。本部長である安倍幹事長が、「(安否の分からなかった10名の家族の方々は)24年間も同じ状態だったのだから、あのように感情的になってもしかたがない。あの方々は民間人なのだから…」とかばったらしい。会議室に入っていた学生インターンのメモにそう書いてあった。

 

 HPに寄せられた意見の中に、「5名の拉致被害者の方々の態度は、とても立派だった」というのがあった。最愛の家族と引き離された1年7ヶ月は、不安と焦燥の日々だったに違いない。時折、その苛立ちを言葉にすることはあっても、被害の当事者であるこの5人が、特定の個人をやり玉にあげて批判したり、小泉首相の悪口を言ったりすることはほとんどなかった。特に、ご主人と2人のお嬢さんの帰国が実現しなかった曽我ひとみさんと一緒に行った会見で、お互いに相手のことを気遣う姿に感銘を受けた。「曽我さんは気の毒だったよね。小泉さんに頑張ってもらって、なんとかならないかなあ。」回りの仲間は皆、同じことを言っていた。

 

 「あなた方が米国議会に働きかけても、小泉・ブッシュの信頼関係をもってしても、この問題は解決が難しいのではないか」という意見も随分あった。それは分かっている。分かっているが、曽我さんや安否不明の10名の方々のために、一人の国会議員として何か出来ることはないだろうか。もちろん、曽我さんを引っ張り出して一緒にメディアに露出したり、応援することを政治的に利用したりしない形で。一筋縄でいかないことは理解している。が、小泉総理がブッシュ大統領にかけあって「ジェンキンス氏の来日を実現する」という可能性だってないわけではない。

 

 あ、紅茶が終わった。もう一杯だけおかわりを注文して、それから某業界紙の「対談」に出かけることしよう。