夜の新幹線で東京に向かっている。藤岡市の若者たち(10数名)との会合は、なかなか楽しかった。ほとんどのメンバーが20代後半。仕事は建設業、農業、不動産、ソフトウェア関係とバラエティーに富んでいた。どうも「山本一太を囲む会」(?)にしてもらえるらしい。時々集まって、藤岡の新しい「ブランド」を考えようということになった。ところで、車内販売のカート、早く来ないかなあ。熱い紅茶が飲みたい。
午後4時30分。小泉総理の平壌での記者会見が始まる時間だ。前橋の親しい若手社長が経営する企業の事務所に飛び込んだ。応接間のソファに座って、総理の言葉に耳を傾けた。ううむ。ここまで…か。
日朝首脳会談の結果を振り返ってみると…まず8人の拉致被害者家族のうち、ジェンキンス氏と2人の娘さんを除く5人の帰国が実現した。1年7ヶ月もの間、引き離されていた2つの家族が再会出来た。このことは本当に良かったと思う。残念だったのは、小泉総理の直接の説得にもかかわらず、ジェンキンス氏と2人の娘さんが日本に来るのを断ったこと。その代わり、とりあえず第三国(中国の北京?)で、ジェンキンス氏等3人と曽我ひとみさんの面会がセットされることになった。ただし、安否の分からない10名の拉致被害者の問題については、金正日軍事委員会委員長が、小泉総理に対して「再調査を約束する」ということにとどまった。核開発の問題についても、北朝鮮側から「6者協議で話されている以上の譲歩」を引き出すことは出来なかった。
拉致、核開発、そしてミサイル。日朝に横たわるこの3つの大きな問題を打開するためには、首脳会談しかない。だから、小泉総理の再訪朝の決断自体は間違っていなかったと思う。が、今回の訪朝は「5人の家族の帰国」という一定の進展はあったものの、(残念ながら)期待したほどの成果をあげることが出来なかった。(訪朝前に過度に期待が盛り上がってしまったという事情はあるが…)
もちろん、今回の再訪朝ですべての問題が一気に片づくなどということは、最初からあり得ないと思っていた。が、この訪朝の評価は、(1)米国との交渉を通じ、近い将来にジェンキンス氏等3人の家族の来日を実現出来るかどうか、(2)金正日委員長が確約したという「安否の分からない10名の本格的調査」がどういう形で行われるのか、(3)小泉首相が金正日委員長に面と向かって「核廃棄をすることのメリット」を強く申し入れたことが、今後の六者協議の中で北朝鮮の態度の変化にどう結びつくか、という3点にかかっている。その流れを見極めるまで、この訪朝が成功だったか、それともマイナスだったのかを判断するのは早計だと思う。
今回の首脳会談で、小泉首相が「日朝平壌宣言を遵守する限り、経済制裁は発動しない」と約束したことが問題になっているようだ。が、このことは何ら日本の選択肢を縛るものではないと考えている。北朝鮮が交渉を頓挫させたり、日本の安全保障の脅威になるような行動を取った場合(日朝平壌宣言を守らない場合)には、外為法や特定船舶入港禁止法案を「発動」する自由を全く縛られていないからだ。
総理はとにかく訪朝し、金正日委員長と会談した。重要なことはこの事実を踏まえ、首脳会談で生まれたモメンタムをどうやって拉致問題と核問題、特に安否の分からない10人の方々の救出につなげていくかということだ。今後の北朝鮮との交渉では、「圧力のカード」が欠かせない。2度目の首脳会談の交渉結果がどうなろうと、(この法案の衆議院での審議を視野に入れ)来週月曜日には鳥取県境港を視察する予定だった。もちろん、当初の日程どおり決行する。自民党有志6人で練り上げてきた「特定船舶入港禁止法案」は、何があっても今国会で成立させねばならない。首脳会談の結果を受け、与党内も急速にその方向で動き出したようだ。
追伸:安否の分からない10名の方々の家族は、総理訪朝によってもたらされる具体的な情報に大きな期待を寄せていたに違いない。そこは本当に気の毒だと思う。金正日委員長が確約した「再調査」のプロセスを、出来るだけ早く、期限を区切った具体的なやり方でスタートさせねばならない。それは小泉総理の双肩にかかっている。責任重大だ。