前回レポートで触れた年金未納問題の続き。誤解のないように言っておくが、86年以降(国会議員になる以前ではあっても)に自分(山本一太)が国民年金保険料を払っていない時期(9ヶ月)があったということは批判を免れない。次の選挙(3年後)に出る場合は、こうしたミスをしたということも含めて、有権者に判断してもらわねばならない。その時点で県民の信頼を取り戻すような活動が出来ていなかったら、淘汰されるだけのことだ。

 

 他人のことはどうでもいい。が、ちょっと不愉快なのは、「未納なし」と発表しておきながら、姑息な操作でミスを繕ったり、期間が少ないから(バレないだろうと思って)事実と違う申告をしている議員がいる…かもしれないということだ。発覚したら、それこそ「ウソをついた」ということになる。その時のダメージは深刻だ。正直に勝る戦略はない。

 

 さて、小泉総理の(国民年金が任意だった当時の)未加入について「ウソの答弁をした」と批判するのはアンフェアだと前のレポートに書いた。「任意」ということは法律上、加入するか加入しないかを選択する自由があったということだ。いっそのこと、衆参の与野党議員が86年以前の年金支払い記録をすべて公開したらどうかとも提案した。恐らく与野党の大多数の議員が「未納」ということになり、これまで「完納」と答えていた議員はすべて「ウソつき、辞職しろ!」という結果になるだろう。

 

 本日、ある読者からメールをもらった。「今日テレビを見ていたら、日本テレビのワイドショーの司会を務める草野氏が2年間の年金未加入を公表しました。筑紫哲也氏に始まった(未納ドミノ)は、田原総一郎氏、小谷真生子氏、小宮悦子氏を含め、他にも大勢います。テレビ朝日の古館一郎氏等のように、公表していないパーソナリティーもいます…」という内容だった。もし、社会的に大きな影響力を持つジャーナリスト自身に国民年金未納の時期があったとしたら(そして、それを公表しなければならないとしたら)、その人物はこの問題について批評する資格がないということになる。ましてや、86年以前まで遡ったら、総理の未加入を攻撃出来る「潔白な」TVジャーナリストが、一体この日本に何人いるだろうか。そんな「魔女狩り」を広げて、一体どんな利益があるというのだろう。

 

 もう一度繰り返しておきたい。メディアが「第4の権力」としてこれだけの影響力を行使する時代にあっては、TVの人気キャスターには一種の公的責任が伴う。が、それはともかく、国民年金加入が法律で義務づけられた以降に「支払いを怠った」国会議員が、そのことをきちんと公表し、国民に謝らねばならないのは当然だ。自民党執行部の考え方は「個々の議員の判断に任せる」というもの。選挙を目前にして、いろいろと政局的判断もあるだろう。が、個人的には(ここまできたら)党として全議員の記録を公表し、説明したほうがいいと思う。システム自体に問題があった。(もちろん政治の責任だけど。)その複雑過ぎるシステムの下で、ずっと与党だった自民党議員の未納が多いのは当然だ。それぞれの責任を明らかにした上で、そのことを堂々と説明すればいい。そうすれば、民主党から「目くそ、鼻くそを笑う」みたいな、つまらない批判を受けずにすむ。

 

 ただし、「個々の議員の判断に任せる」という方針でも、実質的には「党としての公表」とあまり違いはないかもしれない。有権者はこの問題に対する政治家の態度を(間違いなく)投票の参考(一つの物差し)にするからだ。国民の目は節穴ではない。「未納を公表した候補者」と「情報公開をしない候補者」のどちらが評価されるかは、説明の必要もないだろう。ましてや、後になって「ウソがばれた候補者」には、厳しい審判が下されるに違いない。

 

追伸:

1.安倍幹事長が一昨日の講演(?)で、「北朝鮮政府が、8人の家族に加えて、行方不明とされた10人の問題についても解決の道を示すなら、特定船舶入港禁止法案が必要なくなることもあり得る」という主旨の発言をしたらしい。逆に言うと、不明の10名について具体的な進展がない限り、この法律は今国会で必ず成立させるということだ。「対北朝鮮外交カードを考える会」メンバーによる24日(月)の境港視察は、予定どおり決行する。




2.赤坂の喫茶レストランで(一人)で「鮮魚セット」を食べた。今晩の会合はすべてキャンセル。このまま部屋に戻って「安全保障と憲法」の論文と格闘しなければならない。最近、本を読む時間がなかなか取れない。ああ、学生時代にもっと勉強しておくんだった。




3.河野太郎事務所から「新世代総理を創る会」のビラの最終案が送られてきた。「新世代総理候補リスト:日本を変える24名」だって。かなりカッコいい出来だ。ちょっとご機嫌だな。