午前中から午後にかけて2つの結婚披露宴に続けて出席した。午後3時。予定のスケジュールを急遽変更して、敬愛する地元の元県議の自宅に立ち寄った。本日の午前中、この元県議から電話で突如依頼のあった参議院選挙候補者の選対本部役員への就任について相談するためだった。午前中にかかってきた電話の話によると、今朝行われた県議団の朝食会において、全会一致(?)で「この重要ポストを山本一太参院議員にお願いする」ことが決まったということだった。早速、数名の親しい若手県議に連絡して、会合の様子を聞いておいた。ふむふむ。そういう状況だったのか。

 

 通常、政治の世界の常識からすると、こんな重要な人事の話が、当事者(政治家)に一切相談なく会議にかけられるなどということは極めて異例だ。が、それはあまり気にしていない。心から信頼しているこの元県議が召集したということであれば、いちいち文句を言うつもりはない。何か深い考えがあってのことかもしれない。

 

 自宅の応接室に通され、群馬県の政治を実質的に(?)動かしてきた3人の重鎮に囲まれてソファーに座った。最初からこの申し出はお断りすることに決めていた。が、3年前の自分の選挙でお世話になった大物トリオの前で、ごちゃごちゃと議論するのは失礼だし、この多忙な3人の方々に長い時間を浪費させては申し訳ないと思った。元県議から改めて話の流れを聞いた後、「少し考えさせていただけますか。今晩、電話で結論をご報告します。」と言って、その場を離れた。

 

 東京に戻り、改めて(いろいろな側面から)じっくり検討してみた。が、やはり当初の考えは変わらない。このポストを受けられない理由は幾つかある。来週あたりから、選挙区の仲間の応援のために全国を飛び回ることになる。比例区でも、派閥から担当を割り振られた候補者のために汗をかかねばならない。参院選の公示まで、週末は選挙区にほとんど入れない状況になるだろう。そんな中途半端な状態で、この大役を果たせるわけがない。形だけポストに名前を貸して役に立つほど自分には影響力がないし、そんな僭越なことをするほど自惚れてもいない。さらに、政治王国群馬には(国政にも県政にも、また経済界にも)自分よりベテランで力のある人材が山ほどいる。そういう方々を差し置いて、自分なんかが選対のトップに座れるわけがない。

 

 夜9時半過ぎに元県議の自宅に電話を入れた。礼節を尽くしてお詫びし、この申し出を正式に辞退させてもらった。万一、役職の名前を変えて同じ効果を狙うような動きがあったとしても(そんなことがあるわけがないが)、その種のことはすべて断るつもりでいる。前のレポートにも書いた。選対の偉い役職はいらない。そんな肩書きがなくても、自民党参議院議員としての義務と責任はきちんと果たすつもりでいる。

 

 それにしても、前回の自分の参議院選挙では、選対のトップになってもらった大恩ある元県議だ。義理人情に厚く、人望も抜群。懐も深い。自分がこれまでに出会った最も尊敬する政治家の一人であることは疑う余地がない。だから、断るのはとてもつらかった。この元県議の顔を潰すようなことになったとしたら、本当に申し訳ないと思う。でも、この話だけはどうしても無理だ。ううむ。どこかでこの埋め合わせをしなければならない。埋め合わせなんて出来ないかもしれないが…。