昨晩。東京の部屋でTVをつけた。5月4日に北京市内で行われた「日朝協議」がニュースの主役だった。外務省からは藪中・田中コンビが参加。北朝鮮側と「かなり突っ込んだ協議」(?)を行ったらしい。報道によれば、今回の会談で8名の家族の帰国についての方法やその後の正常化交渉、総理の再訪朝等について具体的な話し合いが行われた模様だ。

 

 この件については改めて書きたいと思う。が、どうも「北の術中」はまっている感じがする。もちろん、術中にはまったフリをしても、家族の帰国が実現すればそれにこしたことはないが…。それにしても、TV画面に映し出された田中均外務審議官の得意気な表情を見ながら改めて思った。我々の世代の政治家は、このタイプの「勘違い」外務官僚(個人的には何の恨みもないが)の跋扈を許してはいけない。けっして。

 

 ここからは出張報告の続き。5月2日にシャトル便でニューヨークに移動。5月3日の朝。着任したばかりの北岡伸一国連代表部次席大使(夫妻)と朝食を食べた。朝になって降り出した雨のせいでタクシーがなかなかつかまらない。約束の時間より30分遅れて、ミッドタウンの某ホテルのレストランに飛び込んだ。北岡大使は、「いや、我々もちょっと遅れたんです。ご心配なく。」とニコニコしながら迎えてくれた。

 

 ちっとも外交官夫妻らしくない北岡夫妻と、米国の政治状況や日米関係等について率直に意見を交わした。話の途中で北岡大使がこんなことを言っていた。「山本さんが今回来られるというのは、ニューヨーク代表部も当然知っていました。が、便宜供与の依頼もないし、かといってワシントンでは安倍幹事長に同行する場面もあったり…公式日程もある。ニューヨークでどんな活動をするのか気にしているようです。それを探るのも私の仕事ですかねえ(笑)」そこで、「うん、まあ、何人か国連機関の幹部に会うだけで、後はそんなに大した日程はないんです。」と答えた。(*9月の国連総会時に戻って来た時には本格的な日程を組もうと思っている。)

 

 一昔前。政治家が海外出張する際には、現地の大使館が日程全体を(実質的に)コントロールした時代があった。まず、本省と大使館が出張してくる政治家のポストや影響力、訪問の目的に応じてABCDのランクを付ける、そのランクに基づいて、その政治家を相手国のどのレベルの人間に会わせたらいいのか。そのためにどのくらいの努力を傾注すべきか。さらには、空港に大使館の誰を迎えに行かせるか。大使公邸で大使主催の夕食会をやるべきか、それとも公使招待の昼食会でいいか。全体としてどの程度の便宜供与をしたらいいのかを決めていた。つまり、大使館が政治家を選んでいた。

 我々の世代の政治家はちょっと違う。だいたい、大使館のスタッフは政治家への不必要な便宜供与の時間を削って、もっと重要なこと(いわゆる外交)にエネルギーをつかうべきだと思っている。国によっては(たとえば韓国のように)正式な外交ルートを通さなくても政府や議会の要人にアプローチ出来るパイプだって持っている。訪問国の通関手続きなどは手伝ってもらえると便利だが、偉い人に迎えに来て欲しいなどとは考えていない。特別なケースを除いて、現地大使に会いたいなどとも思わない。ましてや、大使主催による公邸の夕食会なとという退屈なイベントに出る暇があったら、一人でも多くの相手国の議員や友人と時間を過ごしたい。それが本音だ。

 

 北岡大使夫妻との食事は実に楽しかった。最後に大使に次のようなエールを送った。「当代一流の政治学者である北岡教授が、ニューヨーク国連代表部の次席大使に抜擢された。これは素晴らしい人事だと思っています。ぜひゆっくりお話ししたいと思って、連絡させていただきました。帰国したら仲間の若手議員にも、ニューヨークに立ち寄った際は北岡大使を訪ねるように話すつもりです。」

 

 昔は外務省(現地大使館)が政治家を選んだ。新世代の政治家はこちらで会いたい大使を選ぶ。世界各国で活躍するすべての日本人外交官にこう言いたい。これからは政治家に余分な便宜供与をする必要はない。(*これは政治家サイドも反省しなければならないが…)その分、現地の外交活動に精力を注いでもらいたい。そして、新しい時代の政治家が、「この国に行ったら、ぜひこの外交官に会いたい」と思うような知識とネットワークを身につけてください。そのうち、有志議員を対象に「この大使に会いたいベスト10」アンケートでもやってみたらいいかもしれない。ちなみに、個人的に言うと、米国の加藤大使(今回はゆっくり話す時間がなかったが)や韓国の高野大使なんかは、現地で常に会いたいと感じる数少ない外交官だ。

 

追伸:

1.本日の午後3時から「新世代総理を創る会」の会議。出席者は10名。先日コンペをやった新世代号のデザインがほぼ固まった。パンフレットとポスターの中身も大筋が決まった。このパンフレットとポスターには衆参の次世代国会議員24名の顔写真が入る。「創る会」によるこの「新世代総理候補リスト」には、(会のメンバーではないが)安倍晋三氏、渡辺喜美氏、野田聖子氏の3名にも加わってもらうことになった。ああ、良かった!「創る会」にはすでに素晴らしい面々が揃っているが、この3人のいない「新世代総理候補リスト」では今ひとつ説得力がない。

 「新世代総理を創る会」有志によるチップイン(30万円の個人寄付)を募るため、(会を立ち上げた時と同様に)メンバー1人1人にアポを取り、数日かけて議員会館の部屋を回った。本人と直接会って話をした。以前のレポートに書いたとおり、3名の現職大臣には手紙を届けた。驚いたことに、21名の現職議員メンバーのうち、20名(あと1名は回答待ち)が快く拠出に同意してくれた。「いいよ。山本さんがやることなら、何も言わずに協力する!!」このセリフには感激した。このプロジェクトは必ずフライ(成功)させなければならない。

 「創る会」の会議を終え、席を立とうとしたところで小野寺五典衆院議員がこう言った。「一太さん。この活動は自民党にとって重要ですよ。こうやって党を活性化させない限り、民主党に政権を奪られちゃうからね。」全く同感だ。隣でうなずいていた山際大志郎議員が口を開いた。「そうですよ。自民党の若手は民主党よりずっと中身があることを示さないといけない。」

 

2.北朝鮮問題について、誤解のないように言っておきたい。今後、拉致や核の問題がどう進展しようと、それは某外務官僚の「対話一辺倒ライン」が功を奏したからではない。北朝鮮政府が日本政府との対話に応じてきたのは、安倍幹事長(当時の官房副長官)の勇気ある行動が対北朝鮮外交に「圧力」の要素を加えたからだ。「対北朝鮮外交カードを考える会」が推進してきた2本の議員立法も(この点では)重要な役割を果たしてきたと自負している。ある外務官僚が、「これで拉致問題が解決に向けて進展したら、悪いのは一体誰だったのか!」などと回りに漏らしているという噂を聞いた。事実だとしたら、勘違いも甚だしい。