前のレポートで、山崎拓前自民党副総裁が中国で北朝鮮政府高官と会うことについて、「総理が交渉を指示したとは考えられない」と書いた。整理してみよう。日本政府(外務省)や官邸が知らなかったのは間違いない。また、安倍幹事長も事前に聞いていたとは思えない。総理が山崎氏から訪中の連絡を受けていたのか、受けていたとすれば、いつ、どういう形で行われたのか、それは分からない。

 

 小泉首相は「全く知らなかった」と言っている。小泉総理と山崎拓氏の関係を考えれば、「何も知らされていなかったはずがない」という憶測が出てくるのは当然だ。が、本当に知らなかったかもしれない。万一、何らかの連絡を受けていたとしても、(これは自分の想像に過ぎないが)直前で、しかもかなり簡潔なものであったような気がする。その場合、小泉首相は、「了解した」のではなくて、(山崎氏の置かれている状況も考えて?)「止めなかった」、あるいは「聞かなかったふりをした」ということか??

 

 いずれにせよ、たとえ事前に何も知らなかったとしても、総理は長年の盟友である山崎氏の行動を批判するようなことはしなかったろう。小泉さんは、そういう人だ。昨晩、小泉首相が山崎氏と都内のホテルで会食し、北朝鮮との交渉結果について報告を受けた。報道によれば、北朝鮮側は会談で「小泉総理の在任中に、核や拉致問題の解決し、日朝国交正常化を図りたい」との意向を表明したらしい。問題は、これが本当に金正日書記の意志なのかどうかということだ。

 

 北朝鮮政府が今回、このタイミングで山崎・平沢両氏との会談に応じた理由は、特定船舶入港禁止法案の審議を遅らせる(成立を妨げる)ためではないか。その懸念がぬぐえない。冬柴公明党幹事長も同席した会食の席で、山崎氏が総理にこんなセリフを言っていないことを祈りたい。「船舶の法案はストップしたほうがいい。そうすれば北朝鮮は交渉に応じてくるよ。」もちろん、そんなことは言っていないと信じている。

 

 日本政府の外交カードとして、船舶法は今国会で成立させねばならない。改めてその意を強くした。