最新の報道によると、北京で行われている日朝の政府間交渉は「拉致問題についての協議を続ける」ということで合意したようだ。が、同時に今回の会談で一気に「解決の目処がつく」ような事態は期待出来ないことが明らかになってきた。とりあえず、日朝双方から出された具体的な提案(?)をそれぞれ持ち帰って検討するという流れだろう。会談の中で、北朝鮮側は「改正外為法の成立」に対して激しい反発を見せたらしい。経済制裁のシステムを整えるための動きが、北朝鮮政府の姿勢に影響を与えている(抑止メカニズムとして機能する)ことが、改めて証明された形だ。

 

 今から5年前。月刊文芸春秋に(民主党の浅尾慶一郎参院議員と共著で)「北朝鮮企業リスト」(文春編集部がつけたタイトル)と題した論文を発表した。その論文の中で、日本の輸出規制システムを強化して、アメリカ型のキャッチオール方式にするべきであること。さらに、外為法を改正して、日本政府単独の判断で経済制裁を発動出来る状態にすべきであることを訴えた。そう。外為法改正は自分にとって5年越しの懸案事項だった。

 

 論文の発表と並行して、(山本・浅尾コンビで勉強会を重ね)独自の輸出規制法案(キャッチオール法案)と外為法改正法案まで発表した。同時に、与野党の議員に呼びかけ、超党派の「北朝鮮に対する戦略的外交を考える会」(これも山本キャッチコピーです)というのを立ち上げた。会のメンバーとともに、2つの法案を何とか審議のテーブルに乗せようと努力した。が、両法案ともに、某実力者の手によってあえなく潰された。あの時、改正外為法が成立していたら…核問題や拉致問題は、その後「違った進展」を見せていたかもしれない。日本の対北朝鮮政策における「失われた5年間」だった。続きは次回のレポートで。