1泊で韓国に飛んだ。韓国の国内政局は極めて不安定な状況。この時期にぜひとも会わねばならない人物がいた。この件について、これ以上の説明は出来ない。とりあえず、韓国滞在中に耳に入ってきた面白い情報を2つほど書いておきたい。

 

 ひとつは中国・韓国関係についての話。日本は(あらゆる意味で)依然として韓国にとって重要な国だ。韓国政府の対日重視の姿勢は変わっていない。が、韓国国民の意識の中で日本の存在感が急激に低下していることも事実。反面、若い世代を中心に、もともと歴史的、文化的に深い繋がりを持った隣国・中国に対する韓国人の関心は益々高まりつつある。

 

 中国への関心は、外交や安全保障分野に限ったことではない。欧米や他のアジアの国々と同様、韓国の政府も経済界も、中国という巨大市場の可能性に熱い視線を注いでいる。ところが、中韓関係の将来が100%バラ色かといえば、そうでもない。両国関係の発展を妨げる負の要因もいくつかある。そのうちの一つが、韓国と中国の間に存在する潜在的な領土問題だということだった。

 

 中国と韓国の国境付近には「朝鮮族」が多く暮らしている。もともと朝鮮半島の北部から中国に移った在中の朝鮮民族ともいうべき人々だ。中国政府は、この地域で民族運動が起こることを懸念しているらしい。古代朝鮮では三国時代の高句麗に隣接する地方だ。独立運動の芽をつんでおきたい江沢民前総書記が、一昨年あたりから高句麗という国家を再定義するプロジェクトを推進しているらしい。高句麗は歴史的にもともと中国の一部だったという解釈を導きだそうという意図のようだ。これが事実とすればかなり乱暴な話だ。当然、韓国のナショナリズムを刺激することになるだろう。ふうむ。こんな話、初めて聞いた。

 もう一つは、韓国政治の展望。韓国の政局はまさしくカオス(混乱)の状態だ。しかしながら、このカオスの中から新しい何かが生まれるという見方が出ている。新しい何かとは、一言でいうと韓国政界の「世代交代革命」だ。与党民主党には、いわゆる386世代をはじめ、もともと若手の国会議員が多い。ノ・ムヒョン大統領率いる新党(ウリ党)も斬新なイメージを強調するために、若い候補者の擁立を目論んでいる。一番大きいのは、最大野党で保守的なハンナラ党の過激派が「世代交代」を叫んでいることだ。

 

 こうした流れを受け、来年の韓国国政選挙では70代はもちろん、60代の現職議員さえ「引退すべし」というプレッシャーが強まっていると聞いた。ああ、日本の政界にも同じ動きを起こせないものだろうか。