夜8時過ぎ。CNNから衝撃のニュースが飛び込んできた。8ヶ月にわたりイラク国内で潜伏を続けていたサダム・フセインが、ティクリートで拘束されたというレポートだった。日本時間の午後9時からバグダッドの暫定行政当局で行われたイラク合同軍の記者会見を見た。会見の中で、拘束された人物の様子を収めたビデオが公開された。無精髭をはやし、少しやつれた感じではあったが、紛れもなくあのサダム・フセインだった。

 

 サダムの拘束によって、イラク全土のテロが終息するなどとは思わない。が、サダムが指揮しているといわれる多国籍軍への組織的な抵抗を弱体化させるという点でも、イラク復興という観点からも、大きな意味を持つことは確かだ。ブッシュ大統領やブレア首相にとっては、自らの政治的立場を好転させる追い風になるだろう。これが小泉総理の「天運の一部」であると判断するには、まだ少し早い気がする。が、このタイミングでフセインが捕まった。小泉総理に「何か見えない力」が宿っていると感じるのは自分だけだろうか。

 

 さて、本日も(昨日に引き続き)朝から選挙区に入った。高崎駅で待たせていた車に乗り込み、まずは妙義山の麓にある妙義町へ向かった。大事な弔問をすませた後で、高崎市に戻り、挨拶回りを開始。昼食(ハンバーグ定食)を挟んで夕方まで約7時間、みっちりと支持者の自宅を回った。この時間枠の中でこれだけの軒数をこなせるなんて。地元秘書の機動力には(自分の部下ながら)ちょっと感銘を受けた。

 

 最後の会は、前橋市。昔の事務所があった地域の自治会の懇親会だった。思った以上に人が集まっていた。明るく、なごやかな雰囲気だった。「イラク問題について、お一人お一人のご意見を聞きたいところですが、挨拶の後で高崎駅に急行しなければなりません。(おー、忙しいなという声あり。)総理はもちろん、我々与党の政治家一人一人がなぜ自衛隊の貢献が必要なのか、国民にきちんと説明する努力が不可欠だと思っています。」(ここで拍手あり。)「しょっちゅう、TVに呼ばれますが、時間の調整がつけば、どんなに不利な状況でも、どんどん出かけていって発言するつもりです。」(さらに大きな拍手と笑いあり。)

 

 高崎駅で夜7時過ぎの新幹線をつかまえた。昨晩は12時前に寝ようと決意したが、やっぱり数時間しか眠れなかった。寝不足で身体的にはしんどかったが、こうした地道な挨拶回りも、政治活動の重要な要素だ。握手をするだけで離れる家もあれば、お茶を飲んで話をする場所もある。短い時間に自分の誠意を相手に伝え、同時に自らの存在を最大限にアピールしなければならない。政治家としてのセンスが試される。ある意味では、これも政治の醍醐味と言えるかもしれない。

 

 夜11時を回った。フセイン拘束に関するCNNとBBCのTVニュースを交互にフォローしている。こんなに続けて英語を聴いたのは久し振りだ。ううむ。2週間に一度のペースでBBCラジオの国際電話インタビューを受けているとはいっても、やっぱりヒアリングの力が落ちている。これから毎日15分、必ずCNNかBBCにチャンネルを合わせることにしよう。