「衆議院議員に鞍替えする」とか「知事選に出馬する」などということは、これまで一度も考えたことがない。またそんな可能性は将来にわたってないだろう。参議院議員が、総理からも、一般有権者からも、政界の2級市民として扱われていることは紛れもない事実だ。が、個人的には衆議院議員に対してコンプレックスを持ったことはない。過去のレポートでも何度か書いたように、立法府の国会議員というものは、知恵と意志と行動力さえあれば(ポストの有無にかかわらず)必ず活躍出来る。それを証明することが、自分のインセンティブ(やる気)の一つになってきた。

 

 むしろ、6年間という安定した任期を持つ参議院議員だからこそ「常在戦場」の衆議院議員とは違う活動が出来る。長期的な視点で様々な問題に取り組むことが可能だ。今でもその考えは変わらない。実際、参議院という既成の枠にとらわれず、新しいタイプの「上院議員のイメージ」を身をもって示してきたつもりだ。今日も、「一太さんのところでインターンをやりたい」という東大生が訪ねてきた。メジャーリーグ(衆議院議員の事務所)をあたったほうがいいとあれだけ言っておいたのに。

 

 そうはいっても、最近の参議院自民党の惨状は目を覆うばかり。ほとほとイヤになることがある。在庫一掃整理をやるために大臣は一回と決まっている参院自民党においては、実力のある議員ほど知事への転身を目指す。これは自然の流れだ。(亡くなった父もそうだった。)知り合いの政治評論家やジャーナリストから会う度に言われるフレーズ。それは、「一太さん、あんたみたいに元気な政治家が、なぜこんなところでくすぶってんの。早く衆議院に行きなよ!」というものだ。普段は気にもとめないこの言葉が、最近、やけに心に響くようになった。

 

 午後。議員会館のエレベーターを降りたところで、民主党の松井孝治参院議員にバッタリ会った。ため息をつきながら、こんなやりとりを交わした。「松井さん、参議院って窮屈でいやになっちゃうよ。野党だともっと自由でしょうね。」「いや、こっちのほうも同じようなもんですよ。」数時間後に松井事務所から「栄養ドリンク・セット」が送られてきた。激励(?)かなあ。お心遣い、痛み入ります。

 

 とにかく、自分を取り巻く環境が悪いなどと愚痴をいってみても始まらない。息がしにくければ、活動しやすい状況に作り変えればいい。それが座右の銘でもある「Make it happen」(メイク・イット・ハプン:ゼロから実現する)の精神だ。参院改革のために残された時間は3年と半年しかない。

 

追伸:

1.夜は1ヶ月に一度の「勉強会」に出席。気鋭の評論家、ジャーナリスト、若手官僚、金融スペシャリスト等々...。相変わらず、強力なメンバーだった。イラクの現状について、かなり意外な報告を聞いた。ここでは書かない。

2.先日、ある人から指摘を受けた。「一太さん、あなたの所属するグループのボスにウケがよくないよ。気をつけたほうがいい。きっと参議院の偉い人に疎んじられてるからじゃないかな。」うちのボスのことは好きだけど、仕方がない。いわゆる「負の連鎖構造」が変わらない限り、現状からは抜け出せないだろう。

3.どこかの実力者に、「山本一太のあんなスタイルは、ずっと続かない」と言われているそうな。発想が違う。最初からずっと続けようなんて思っていない。政治の世界では何が起こるかわからない。いつ何があっても後悔しないように、常にリスクをかけて発言し、行動している。毎日が真剣勝負だ。