午後11時前に青山斎場の外務省葬へ。葬儀が始まる前に会場に入り、奥参事官と井上書記官の遺影の前で手を合わせた。最後の献花までいたかったが、地元で行われる恩人の葬儀にも参列しなければならない。後ろ髪を引かれる思いで葬儀場を後にした。

 

 斎場の出口に向かう途中で、JICA(国際協力機構)の某部長に会った。「いや、奥参事官は気さくな人柄なんで、JICAのスタッフにも人気があったようです。時々(新宿で飲んでるんだけど、これから来ないか)なんて声をかけてくれてたらしい。今日の葬儀にも、数名のJICAスタッフが手伝いに来てます」と話していた。それにしても、この悲劇が起こる前も後も、2人の外交官について悪い評判はひとつも聞いたことがない。改めて「損失の大きさ」を痛感した。

 

 東京駅のファーストフード・ショップで、ホットドッグとコーンスープを注文。早食い競争のようなスピートでやっつけ、午前11時過ぎの新幹線をつかまえた。熊谷駅で降り、待機していた秘書の車に乗り込んだ。約1時間半のドライブの後、もう一つの葬儀会場に到着した。

 

 亡くなったのは、県議を8期32年務めた群馬の元大物政治家。豪放磊落。裏表がなく、義理と人情に厚い典型的な上州人だった。亡くなった父とは、県議時代の盟友。8年前、その親友の息子が参議院選挙に初挑戦した時も、先頭に立って応援してくれた。県内外に呼びかけて資金を募り、ブラジルに「群馬の森」を創りあげた。




 政界引退後も、群馬の森を地球規模のプロジェクトに育てるのが夢だと話していた。今頃は、むこうの世界で父親とコンビを再結成しているに違いない。親子2代にわたり、本当にお世話になりました。合掌。