午前9時からの「スーパーモーニング」の徹底討論コーナーには、野党民主党の議員はもちろん、2人の軍事評論家を含む10名近いパネリストが集結した。あたかも、ミニ「朝まで生テレビ」のような雰囲気だった。先週の番組については、出演後に、「メンバーが偏っている。あんなのに出るな!」というメールが殺到した。それに比べると、今回は出演者の人選に一定のバランスが保たれていた。番組のジャンルはワイドショーでも、外交や経済の問題を議論するコーナーの担当スタッフの姿勢はかなり真面目だ。イラク派遣に反対するメンバーの見解にも、一部同調出来る点があった。

 

 出演者のコメントを聞きながら感じたこと。それは政治家の責任ということだ。評論家や学識経験者は、どんな問題でも自由に発言出来る。間違った予測や分析をしても、責任を問われることはない。が、国会議員、特に与党の政治家はそうはいかない。イラク問題でも北朝鮮問題でも、政策決定に関与する当事者だからだ。イラク派遣の決断をするのは、評論家でもジャーナリストでもない。改めて国の命運を担う政治家の重責を痛感し、同時に、どんな批判に晒されても「当事者で良かった」と思った。それはともかく、いわゆる有識者にも「世代交代」が必要なんじゃないだろうか。

 

 さて、今回のパネリストの中に、緊急援助の(?)NPOを主催するケン・ジョセフという人物がいた。両親はイラク人で、現在も日本とイラクを頻繁に往復しているらしい。日本語の堪能なジョゼフ氏の口から、日本のマスコミが全く報道しない事実が飛び出してきた。「イラクの一般の国民は、サダム・フセインの独裁政権が終わったことを心から喜んでいる。そして、サダムを倒してくれたアメリカやイギリスには、感謝の気持ちを抱いている。」なるほど、このコメントは9月にイラク国民を対象に行われたギャラップ社の世論調査結果に符合する。さらにジョゼフ氏は、「国民が恐れているのは、米国がイラクから手を退いてしまうこと。自分達の国が、再び混乱の状態になることだ」とつけ加えた。

 

 もちろん、この情報だけで、「米英軍中心のイラク暫定統治がうまくいっている」「イラク国民が現状を歓迎している」などと考えるほどナイーブではない。イラクの治安情勢は益々悪化している。米国にも誤算や戦略的なミスがあった。ただし、メディアからは出て来ない事実もある。一般のイラク人は、現在の統治に不満や不安は持っていても、米国がイラク復興から退くことを恐れている。それはイラクを再び混乱に陥れ、この地域にテロリストの巣窟を生み出し、中東全体を不安定化することにつながるからだ。イラク攻撃に反対したフランスやドイツも、この点では同じ懸念を共有している。

 

 さて、本日のハイライトは東京大学・駒場祭での演説だった。午後1時過ぎに東大の駒場キャンパスへ。西門の前で弁論部のスタッフがネームカードを抱えて待っていてくれた。午後2時からの講演までには少し時間がある。2週間前に議員会館の事務所を訪ねてきた「スッキリ系の」青年と、講演会の司会をつとめたチャーミングな女性部員の2人組(弁論部員:TODAY-2)の案内で、駒場祭を歩いた。すっかり黄金色に染まった銀杏並木が奇麗だった。

 

 ツアーにつきあってくれた2人によれば、東大生の間にはある言い伝えがあるらしい。それは、「東大に入学して駒場キャンパスで過ごす最初の1年の間に(つまりこの銀杏並木の葉が落ちるまでに)彼氏や彼女を見つけられない学生には、一生、恋人が出来ない」という恐ろしいジンクスだそうだ。ちなみに、この2人は試練をクリアーした(?)様子だった。おめでとう!!

 

 その後、広い教室の演壇に立った。午後2時から3時30分まで、外交安全保障、文化戦略、今後の政局等をテーマに、たっぷり「演説」した。講演後の質疑も活発だった。さすがは、100年以上の伝統を誇る名門クラブ主催のイベント。中身のあるいい講演会だった。弁論部の皆さん、ご苦労様でした。国会が少し落ち着いたら、どこかでお茶でもやりましょう!中国プロジェクトの件もお忘れなく。

 

 そうそう、昨日の慶応大学(三田祭)でのパネル・ディスカッションもいい感じだった。とりわけ、岡崎久彦氏のネオコンの分析は興味深かった。2つの大学祭に参加した感想を述べて、本日のレポートを閉じたい。日本の若者(大学生)も捨てたもんじゃない!日本の未来は暗くないぞ!!

 

 追伸:夜は秘密の会合。秘密の会合だから、内容は書かない。