昨日午後3時。党本部の国会対策委員長室で、中川秀直委員長に会った。ソファに腰かけた中川氏は、「急に呼び出して悪かったね。ちょっと困ったことがあったもんだから」と言いながら、3ヶ月前の新聞記事のコピーを取り出した。そのコピーを読み返しながら、衆議院選挙前の臨時国会で自分を含む若手議員5名が、日本政府単独の判断で北朝鮮への送金・貿易規制を可能にする外為法改正案を成立させるために奔走していたことを思い出した。記事では、山本一太議員がこの法案の協力要請のために中川国対委員長を訪ねた際、中川氏から「やんわりと断わられた」というエピソードが紹介されていた。

 

 この記事が何かの拍子に数日前のTVのワイドショーで取り上げられ(?)、中川氏のもとに抗議のメールがどっさり寄せられたらしい。一貫して「拉致と核問題の解決なくして正常化なし」と言い続けてきた中川委員長としては極めて心外だったようで、自分の正確な発言と真意をきちんと発信したいとのことだった。「こんな文章なんだが、君の了解を取っておかないといけないからね。」

 

 中川委員長の名誉のために言っておくが、中川氏が「法案の通過をブロックした」という事実はない。法案の件で委員長室を訪ねた際の中川氏の言い方は次のようなものだった。「法案の内容には賛成だ。が、会期末で法案審議の日程はギッシリだよ。全会派一致の委員長提案でやらない限り、とても時間がない。」「なんでもっと早く出さなかったのか。」「総選挙への流れは止まらない。総選挙後の特別国会の会期は短いから、特別国会に出しても廃案になってしまう可能性が高い。通常国会に提出するのが一番いい。」

 

 この件で取材に来た記者に、自分の発言をオフレコにしてくれとは言わなかった。かなり正確にしゃべったつもりだったが、この記事によって委員長が「法案を邪魔したかのような」誤解を受けたとしたら、言葉に配慮が足りなかった。申し訳ないことをしたと思う。

 

 中川さんは自分より目下の議員に対しても、けして威張ったり、馬鹿にしたりするようなことはしない。終止冷静な口調だった。国対委員長にはご迷惑をかけてしまったが、いいこともあった。それは中川氏がこの法案に前向きであることが改めて分かったからだ。外為法改正は、民主党の追加マニフェストにも明記された。来年1月の(?)通常国会では必ず法制化出来るだろう。

 

 来週のどこかで、法案化をすすめてきた仲間とともに、この件について「記者発表」をしたいと考えている。懸案になっている「船舶の入港を制限する法律案」についても、12月中にまとめ、通常国会に提出する方針を打

ち出したい。