参議院自民党幹事長である青木幹雄氏は、会合でよく次のような意味の発言をする。「小泉総理の影響は参議院自民党には届かない。参議院のことは参議院で決める。」実際、総理も参議院のことは青木氏にまかせ、口を出さない姿勢を取っている。以前にも書いたが、これは、小泉さんが参議院を軽視しているからに他ならない。

 

 参議院自民党は前例主義と年功序列の村社会。1人1人の個性の抹殺という犠牲の上に、村の意向を集約する1人の村長(むらおさ)に権力が集中するというカラクリになっている。当然のことながら参院自民党の辞書に抜擢や革新という文字はない。幸い現内閣では、参議院出身の2人の閣僚(片山総務大臣と鴻池防災・特区担当大臣)が目覚ましい活躍をしている。片山総務大臣は参議院というより自民党きっての政策通。理屈だけでなく腕力も強い。鴻池大臣は参院自民党の国対委員長だった。1年間、副委員長として仕えたが、実にチャーミングな人物。侠気があって義理人情に厚い党人派だ。しかしこの人事はけして抜擢ではない。参議院のしきたりに従って順番の回ってきたこの2人が、たまたま優れた政治家だったということだ。

 

 小泉首相は、自民党の総理として初めて、派閥のリストを無視して閣僚を選んだ。それも2回も!適材適所で若手や女性、また民間人も大胆に起用した。しかしながら、最初の組閣でも、その後の内閣改造でも、参議院の人事(参議院の大臣ポスト)については、「参議院の意向を尊重する」とかで一切干渉しなかった。これは小泉さんが、「衆議院の大臣のほうで派閥均衡でない斬新な人事が出来れば、参議院はどうでもいい。ポストも少ないし、マイナーな参議院のことは国民も特に気にしないだろうから」と考えていたからに違いない。

 

 小泉総理が政界の2級市民として扱われている参議院を重視していないからといって、別に憤慨しているわけではない。総理が改革の姿勢を貫く限り、小泉さんを応援する気持ちにも全く変わりはない。ただ、やる気があって能力のある自民党の参議院議員なら、小泉首相の参議院への対応をそう解釈しているはずだ。そのことだけは総理に認識してほしいと思う。

 

 さて、参議院といえば、一昨日、久々に清風会(参議院森派)の緊急総会が召集された。8日の総裁選挙を控えて昼に行われた清和政策研究会(自民党森派)の総会の直後だった。幹部の先輩議員から次々に、「今回の選挙でいかに青木幹事長にお世話になっているか」「青木氏が派内でどんなに苦労しているか」という主旨の言葉があった。小泉再選を支援するグループとしては、もちろん今回の青木氏の決断には大いに感謝しなければならない。政治には常に様々な思惑があるとしても、リスクをかけて小泉支持の流れを作ろうと努力してくれていることについては、こちらも信義をもって応えていくべきだと思う。が、「ありがたい」フレーズ、ちょっとしつこいんじゃないか。まるで我々のグループのボスが青木氏であるかのような錯覚を持った。

 

 ため息をつきながら、近くに座っていた世耕弘成参院議員に「今日は青木派の会合だったんでしょうか」というメモを回した。会合の後、世耕氏が笑いながら近づいてきて言った。「いや、あのメモの下にこう書いて戻そうと思ってたんですよ。(一太さん、知らなかったんですか?)って!」相変わらず絶妙のユーモアセンス。やっぱりタダものではない。

 

 さて、参議院森派事情は次のレポートでその2を書くことにして、本日の記念すべきイベントについて触れておこう。午後1時過ぎに高崎市の葬儀に参列した後、黒い背広と黒いネクタイをお気に入りのキャップとジーンズに取り替えた。そのまま、高崎市のお祭り広場で開催された第4回「高崎野外ロック・フェスティバル」に参加した。会場に着いてビックリ。思ったよりずっと大きなイベントだった。主催した高崎青年会議所(JC)の担当者によれば、入場者は1万人を超えていたそうだ。

 

 出演バンドはアマチュア、プロにかかわらずハイレベル。出番はなんとあの人気パンク・ロックバンド「ロード・オブ・メジャー」の次だった。持ち時間は約20分。3人のミュージシャンをしたがえ、数千人の前で政治をテーマにしたオリジナル曲3曲を熱唱した。出来はともかく、楽しかった。感激した。このチャンスを与えてくれた高崎JCのメンバー(仲間)に改めて感謝、感謝。ライブの後、会場のプレハブ控え室でJCのスタッフと音楽ならぬ地方分権について議論した。え?歌うのはもちろん仕事ですよ。自分にしか出来ない新しい形の政治活動です...ああ、来年も出られるといいなあ。そのためにも、CD「かいかくの詩」をオリコンチャート100位以内に入れなければならない。

 

追伸:「ロック・フェスティバル」の会場に入る直前、群馬県在住の一番上の姉から電話が入った。「レポートの再開、よかったわね。私もちゃんとチェックしてるのよ!」